内田華子

微生物・命の煌めき、発酵食作りや野山の恵みを暮らしに活かすことの喜びを綴って行けたらと…

内田華子

微生物・命の煌めき、発酵食作りや野山の恵みを暮らしに活かすことの喜びを綴って行けたらと思います。 https://lit.link/hanakouchida

マガジン

  • 南部玉味噌

    東北の北上高地に伝わる南部玉味噌の造りを探求してまとめています。

  • 天然麹菌

    私の探求テーマである天然麹菌採取にまつわる記事を綴って参ります。 種麹屋さんの培養種麹を否定するものではなく、一つのロマンの追求として温かい目で見ていただけたら幸いです。 稲麹や大気中からの麹菌採取や南部味噌玉の玉味噌や大陸由来のクモノスカビや毛カビなども含みます。

最近の記事

種から育てた自家製かんずり

かんずりは新潟県妙高市で作られている赤唐辛子と米麹を使った柚子胡椒のような薬味調味料。世界的にも米麹を使った発酵唐辛子は珍しいのだとか。 昨年試しに作ってみたところ、ことの他美味しく出来て本来なら3年寝かすところが一年と保ちませんでした。程よい辛さの唐辛子を沢山育てたい! 友人から信州松本で育てられた韓国唐辛子の種をいただいたので昨年夏にたくさん育て、大寒に入り10年に一度という大寒波も手伝って良い雪さらしが出来ました。 少ない情報を手掛かりに試行錯誤の美味しい作りをお伝え

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    • ライ麦物語

      始まりは遡ること3年前、滋賀の発酵友達から自然栽培のライ麦を探しているとメッセージが入りました。 いつも何かにつけてお世話になっている花巻のやえはた自然農園さんにお尋ねすると、東和町で麦を育てている青年がいると紹介していただきました。 喜多さんのライ麦は滋賀の友人の元ですくすくと育ち、翌年の夏、「ありがとう。パンでも焼いて」と私の元へやってきました。 早速、友人の育てたライ麦でサワードゥを起こし黒パンを焼きました。 自宅の小さなミルで製粉するので粗挽きになるもののとても

      • 紅麹を使ったピンクな出麹

        今年20回目の製麹はピンクな出麹。 種麹を使わずしてまさかの展開劇をお伝えします。 紅麹との出会い 行動規制が解かれ久々の上京、中華マーケットで紅麹を見つけたんです。  紅麹は中国や台湾、沖縄で使われる麹。麹と言ってもアスペルギルス属ではなくモナスカス属です。豆腐餻のあの紅色と言えばピンと来る方も多いと思います。高コレステロールや高血圧に効果を示すサプリメントや天然由来の着色料として使われています。成分表示を気をつけて見ると苺を表現している飲み物やお菓子に良く使われていま

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        • ソイメレンゲクッキー作り

          お味噌作りの季節ですね。 今年も仲間と育てたミヤギシロメと、昨年夏に採取した天然麹(同定検査で黄麹菌であろうとお墨付きをいただいた)の米麹で仕込む予定にしています。念願の自家採取の麹菌、どんなお味噌になるのか今からわくわくしています。 お味噌作りの副産物さて、皆さんは大豆を煮た茹で汁はお味噌の種水の他にどのような利用をされていますか?お味噌汁やスープに使うなどが一般的でしょうか。 豆類の煮汁には(豆製品はもちろん高麗人参やごぼう、お茶などにも)サポニンという成分が含まれて

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        種から育てた自家製かんずり

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        • 南部玉味噌
          5本
        • 天然麹菌
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        記事

          天然麹甘酒に見るオリゼーの謎

          庭先で採取した麹菌と思われるカビを検体に出したところ、Aspergillus・oryzae(黄麹菌)と同定されました。 そこに至るストーリーはひとつ前のnoteに。 https://note.com/hanako_uchida85/n/nada34bcb44a1 猛毒を持つオリゼー と酷似したフラバスではなく、オリゼーに近いと同定されたと言うことは、カビ毒の心配はないのではないかと言われるも、釈然としないのは「Aspergillus oryzaeと推定された」の“推定”の二

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          天然麹甘酒に見るオリゼーの謎

          自家採取の天然麹菌いよいよ検体へ

          今年の目標の一つに、天然麹菌を検体に出すことを掲げていました。この土地で自ら採取した麹菌で仲間と育てた大豆の味噌を仕込みたい。その為にはまず、カビ毒を産生しないAspergillus・オリゼーであるとのお墨付き、つまり同定検査が必要です。 自宅の庭先から採取梅雨時に森での採取ではAspergillus・ニガー(黒カビ)の洗礼を受け、今年は何をやっても黒が出て来る年でした。 7月25日 軒先のない家なので玄関のポストの上に蒸した玄米を置いて採取開始。 黒く見えているのは椿の

          自家採取の天然麹菌いよいよ検体へ

          玉味噌から”すまし”を作って見えたこと

          南部地方の味噌作りは春先に味噌玉を吊るし天然のカビを麹として作っていました。玉を作ってから仕込むので玉味噌。              米麹を使わない先人達が命を繋いできた味噌の味を知りたくて冒険の旅へ。 そして玉味噌から生まれた調味料の“すまし”とはどんなものなのか。 3度の夏を経てようやく完成した自家製玉味噌を使って“すまし”を作ってみました。 玉味噌の口開け初めて作ろうとした時には味噌玉を吊るす時期に悩みました。文献を見ると2月中旬とかお彼岸の頃とか。春先であることは

          玉味噌から”すまし”を作って見えたこと

          古代ギリシャ土着信仰の聖なる飲み物キュケオンに菌が使われていた?

          占星術は殆ど見ませんが、子供の頃は星座の謂れギリシャ神話が面白くて結構ハマっていました。(私事ですが乙女座です。) 乙女座が農業の神であることを最近改めて知り、仲間と畑を始めた必然性を感じたりしていたのですが、その乙女座のデーメーテルとその愛娘ペルセフォネー(コレー)を神と崇める古代宗教儀式に使われる飲み物「キュケオン」に思いもよらぬ菌が使われていたことに着目してみました。 ギリシャ神話 乙女座冥界の王ハデスは妃探しに難航しており、兄である大神ゼウスに相談したところ農業(穀

          古代ギリシャ土着信仰の聖なる飲み物キュケオンに菌が使われていた?

          池間島おばあの天然麦麹

          clubhouseでご縁が繋がり宮古島の離島・池間島で作られてきた天然麦麹が我が家にやってきました。 何処の地域でもそうであるようにその土地で伝承されてきた作りをする人は次第に減り、池間島の天然の麹菌で麦味噌を仕込む最後の1人となってしまったおばあ。 そのおばあも歳を取り、この麹作りを最後にするというタイミングで一緒にその作りを体験させてもらった石川りかさん。 北海道から宮古島へお嫁入りした彼女は製麹経験はなく、しかもいきなりの天然麹作りに戸惑い、発酵と和ハーブを研究するそ

          池間島おばあの天然麦麹

          天然麹菌採取のロマン

          梅雨の時期は天然の麹室。 「黴雨」(ばいう)とさえ表記され、製麹に適した湿度と温度の得られる季節です。神の国日本はカビの国であるとも言えるでしょう。 天然麹菌採取は私の追いかけているテーマのひとつです。新規実験と昨年Tumblrに綴っていた内容も含みますが此方に辿りやすくまとめて参りたいと思いますので長文となりますがお付き合いのほど宜しくお願い致します。また、記述に誤り等ございましたら探求の途上故ご指摘いただければ幸いです。 映画のワンシーンから庭先での採取へ『千年の一滴

          天然麹菌採取のロマン

          フィールドノートでの味噌玉作り

           映画「タイマグラばあちゃん」でその名を知った戦後の開拓地岩手県川井村にタイマグラ。 昭和の終わり頃、最後に電気が通じた集落だと聞いています。  開拓民の皆が山から降りて行った中、向田久米蔵さんとマサヨばあちゃんだけが残り暮らしていました。  そこへ山小屋を開くことを夢見て、大阪から1人の青年が移り住んできたのでした。それが山小屋「フィールドノート」の奥畑充幸さんです。 山小屋の常連客だった陽子さんと結ばれ息子さん達と私達を迎え入れてくれています。 http://www.

          フィールドノートでの味噌玉作り

          黒麹のマルベリージャム

          今年からclubhouseで暫しば話題に上った黒麹の製麹(せいきく)をしています。 黒麹菌は沖縄で見つかり、泡盛や焼酎作りに使われる麹菌学名はAspergillus・リューチューエンシス 琉球王国のリューチューですね。 この黒麹の特徴は、胞子の色が黒いことだけではなくクエン酸を産生することにあります。 柑橘系の甘酸っぱい黒麹甘酒は、通常の黄麹菌で作った甘酒の甘さが苦手と感じる人にも人気が高く、クエン酸の疲労回復効果に期待出来るわけですからこれからの季節に需要が高まると思われ

          黒麹のマルベリージャム

          とうもろこしから唐黍糖水飴

          自家製の緑豆もやしがあまりにも美味しいので、他でも出来ないかなと吊るしポップコーンに目が止まり、とうもろこしでもやしを作ってみることにしたんです。 昨年ビオファームカメガモリで育てた丸いポップコーン用のとうもろこしです。この子でもやしが出来るかなぁとやってみました。 豆じゃなかったんですよね笑。 でも命のスタートボタンは押されました。 もやし作りは乾燥豆を水に漬けて戻し、日々腐らないよう日光を遮断した環境で腐らせないよう管理し根っこを育てます。 はい管理を怠り、数日鋳物の鍋

          とうもろこしから唐黍糖水飴

          野生と微生物とウイルスと

           微生物・天然菌・野生麹カビ・野草・森林・昆虫・野生動物… 人は生き抜くために自然の生物を狩猟採取し、やがて農耕を覚え安定的に食料を確保出来るようになった。  衣食住その全てを自然から得ていた時代から人工的に素材を生み出し、食材までも造り出す時代へ。  危険な野生動物も人が飼育すると家畜となり、長い年月を経てあるものはパートナーとなり、あるものは人の血肉となり、ある種は爆発的に増殖し駆除対象となり、あるものは絶滅危惧種となった。  栽培を繰り返すうちに野草はアクの少ない

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          岩手県野田村・白礼干さんの南部玉味噌 

          今もなお南部玉味噌を作るおばあちゃんを訪ねた時の記録です。 思えば沿岸の白礼干さんに出会ってから3月11日に味噌玉を吊るすようになりました。 南部玉味噌作りのおばあちゃんを知る野田塩で有名な野田村は岩手県北部の沿岸地域。NHKの朝の連続ドラマ「あまちゃん」の舞台となった久慈市の近くに位置します。 岩手日報の一面に季節の風物詩的として吊るされた味噌玉と共に映るおばあちゃん。北田白礼干(ハレニ)さんの存在を知りました。 その時のことを書いたTumblrのリンクを貼ります。 玉

          岩手県野田村・白礼干さんの南部玉味噌 

          「タイマグラばあちゃん」澄川監督との出会いと25年味噌

           南部玉味噌を追いかけていたら「タイマグラばあちゃん」やってきた。 探し求めていると向こうから歩み寄って来てくれることがあるもので、思い掛けぬ出会いとマサヨばあちゃんの味噌のお話し。 なぜ今の時代にあって南部玉味噌を追求するのか庶民の私でも画面をタップすれば遠くの物が届く。お金さえ出せば大抵の物は手に入る時代になぜ自然界から野生の麹カビを捕まえようとしたり野草やどんぐりを食べてみたいと思うのか。  米も純粋培養された安心安全な種麹も手に入る時代に野生麹で味噌作りをしようと

          「タイマグラばあちゃん」澄川監督との出会いと25年味噌