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創作大賞2023授賞式の軽食の話

 午後6時半開場、午後7時開始。
 その時間を見て私は咄嗟に思った。

 ごはんはどうする?

 この度、創作大賞2023で入選という結果になり、私は授賞式に出席することになった。noteの運営さんから頂いたメールで日時を確認したら、完全に夕飯時だったのだ。

 もし、食べる時間が無いならば、事前に済ませておかないと私の腹の虫が、会場の皆様にご挨拶申し上げることになってしまう。自己紹介の前に「グーキュルルルル!」では目も当てられない。

 そんなことを思っていると、授賞式の数日前に再びメールが届いた。そこには 

 懇親パーティー(軽食をご用意いたします)

 と書かれてあった。
 小心者の私は「懇親」の言葉におののく。
 私のような若くもない未熟者が、皆さんと懇親などしてしまっていいのだろうか。一体どう振舞えばいいのだろう。もはや食事の心配よりも懇親のほうが心配になってくる。すると、

「軽食って、何が出るのかなぁ~」
 夫が頭の上に花でも咲いたかのような声を発した。
「ねぇねぇ。やっぱりサンドイッチとかかなぁ?」
「んあ?」
 それどころではない私に、夫はなおも続ける。
「お弁当とかかな。もしかしたら意表をついて、まい泉のカツサンドとかもしれないね」

 noteの運営さんがそんな意表をつく必要はない。
 でも、授賞式に出席した全員がまい泉のカツサンドを一斉に頬張るのも、同じ釜の飯を食う感じがしていいかもしれない。

「立食パーティーだったら、どれくらいの量が用意されるのかな。やっぱりまい泉かな?」
 懇親に渾身の力を振り絞らなければならない女房の横で、夫はまだ、まい泉まい泉言い続けている。

「わかったよ。写真撮ってくるよ」

 そう約束をして夫を黙らせ、私は授賞式に向かった。
 note運営の皆さんのご尽力により、つつがなく授賞式を終えることができ、帰宅。
 早速、夫に写真を見せた。

 まずはお酒の写真から。

懇親会が始まって随分経っている写真ですみません。

 左の黒い缶はジャックダニエル&コカ・コーラ、その隣はジンビームハイボール、更にその隣はサントリー角ハイボールサントリー角ハイボール濃いめである。

 中央のワインはコノスルのビシクレタ・レゼルバ。赤いキャップがカベルネ・ソーヴィニヨン。紫色がピノ・ノワール。奥の黄色いキャップがシャルドネだ。手前のロゼワインはおそらくピノ・ノワール・ロゼと思われる。(もし違っていたらご指摘ください)。

 我々夫婦は晩酌によくコノスルを飲む。馴染みの瓶を見て夫は
「うわー、コノスルだ。ワインもあったんだねー」
 と言い、更に横にある緑色の四合瓶の美山錦の文字を見て
「おお! 日本酒もあるんだ!」
 と声を上げた。
 手前に見える開封済みの白い缶を見て、夫は目を見開く。
「龍馬がある!」
 これは味にこだわる人が買い求めるノンアルコールビールで、正式名を龍馬1865という。お酒を飲まない人にも舌で歓談の楽しさを味わってもらおうという、運営さんの心遣いを感じるセレクトだ。他にサントリーのほろ酔いなども置いてあった。

次の写真はビール。

「おお、ハートランドよなよなエールじゃないか!」
 久々の再会を果たした級友を呼ぶように夫が言う。
 緑色のお洒落な瓶はハートランドビール。その横のオレンジに黒の缶はよなよなエールだ。
 よなよなエールは、とても美味しい。夫に1缶お土産に持って帰りたかったが、さすがに「持って帰っていいですか?」とは言えず、私が夫の代わりに2缶飲んだ。あと3本は飲めたが、そんなに飲んだらただの酒浸り女になるのでやめておいた。美味しいビールの前に理性を働かせることのできた自分を褒めてやりたい。

 そして、用意して頂いた軽食はこちら。

クラッカーや小さなケーキなど、色鮮やか。


写真が暗くてすみません。
黄色い生地の中にお肉が包まれている。
歓談が始まって時間が経ってから撮影したので減っている。

 左のピンチョスっぽいものは肉団子とサツマイモがさしてあった。これを口に入れたとき、同じく受賞者の方に
「サツマイモ?」
 と笑顔で話しかけて頂き、
「はい、サツマイモです」
 とフフフと笑いあった。陽気な笑顔でホッとする雰囲気の男性だった。こういう些細な会話が後々心に残るものだ。

 夫から、
「たくさん食べた?」
 と訊かれ、
「懇親に忙しくてあんまり食べられなかったよ」
 そう答えると、眉毛をと口許を八の字に下げ、
「うえー、もったいなーい」
 と言われてしまった。確かにもったいない。
 こういうとき、どうしたって頭の中に大きなタッパーを思い浮べてしまう。素敵なおつまみを記念に詰めて持って帰れたらどんなにいいだろう。口が二つあれば、片方で会話をし、もう片方で軽食を頬張ることができるのに、本当に残念だ。

 あれだけ懇親におののいていたにもかかわらず、蓋を開けてみれば食べるのそっちのけで会話に夢中になってしまった。初対面の方ばかりで緊張し、妙に口が回ってしまった気がする。ビール2缶で酔っぱらうはずもないが、失言などしていないだろうかと不安になる。あの夢のような授賞式から一日が経ち、私は今になって己の言動を振り返っている。





 note運営の皆様のおかげで、貴重な体験をさせて頂くことができました。運営の皆様から、創作活動をする人を応援したいという熱量を強く感じ、ここで書き続けてよかったと改めて思いました。本当に有難うございました。
 こういった場所に足を運ぶことができたのも、読んでいただき、コメントやスキをしてくださった皆様のお陰です。本当に有難うございました。 


お読み頂き、本当に有難うございました!