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映画「薔薇の素顔」を本気で褒めたい

映画「薔薇の素顔」(原題:color of night)の世間の評価が低いのに納得がいかず、本気で褒めたいと思います。

◆ネタバレも含めて書いてしまっているのでご了承ください。

◆数ヶ月前に一度観たきりなので細部は忘れているのですが、面白かったのはよく覚えているので自信を持って(?)書きます。

◆でも、何のかんの言っても結局私の場合、相手がすごく年上で年の差のある2人の恋愛に親近感を覚えているだけの可能性も否めません。

◆レビューというより、好きなところを褒めていくスタイルです。



この映画を観ようと思ったのは、たぶんエロい映画としてあちこちで紹介されていたからだと思う。
ところが、いざ観てみたら謎めいたミステリ仕立てのストーリー自体も面白くて、いやーこれは公開当時(1994年)評判良かったろうなと思って調べたら、最低な映画を決めるでおなじみのゴールデンラズベリー賞にて最低作品賞を受賞、その他にも8部門もノミネートされている‥‥。

なぜ?!
この映画そんなにだめ?!
この前の「fifty shades of grey」と同じパターン?!(fifty〜も観終わったあと最高だと思って、さぞかしみんなも感動して色々書き込んでるだろうと検索したところ、評判がめちゃめちゃ悪かった。世界中で。)


軸となっているのは、登場人物ほぼみんなが抱えている問題というか困難についての精神分析と治癒についてなのだが、その一人一人の症例がまず興味深かった。
一例一例取り上げるだけで映画一本作れるんじゃないか、という。
主人公のキャパ(ブルース・ウィリス)は精神分析医なのだが、映画の冒頭、目の前で起きたショッキングな出来事から自身も強烈なトラウマを抱えて苦しんでいる。そのトラウマが引き起こした症状が「世の中の赤い色だけが見えなくなる」というものなのだが、これも設定として面白い。
適当な例えかどうか分からないが、三島由紀夫の「音楽」みたいだ。


序盤からどんどん筋に引き込まれていって、うっかりエロ映画だと思って観始めたことを忘れそうになっている時にローズという若い女が登場し、「あ、そうだった、そっちがあったんだった」と思い出すぐらい、筋立て自体が楽しめる。


悪評の一つに「ローズの変装がバレバレ」ということが言われているようだが、私は単純なせいか全然気づかなかったので、終盤で明かされた瞬間「えー!!」と驚けて楽しかった。一緒に見ていた人は「変装はわかってたけど、それでも全ての謎が解けるわけじゃないから、特に問題でもなかった」と言っていた。


ローズが登場してからはラブシーンが何度も出てくるのだが、中でもローズとキャパが初めてキスするシーンがすごく素敵だ。
2人で食事をした後、ホテルの玄関でタクシーを止めようとするローズの腕をキャパが掴んで引き止める。ひとこと二言、短いやりとりをしている時に突然キャパが抑えきれなくなったようにローズにキスをするのだが、周りに人がいるため、キスをしながらローズの腰を強く抱き寄せて柱の陰に行くのがまず良い。
柱の陰でキャパの気持ちが激しくなってきて、ローズの肩にキスしながら薄いワンピースの肩紐を下ろすのだが、そのシーンが良すぎて私としては最高にアガる。
更にスカートも捲り上げようとするのだが「あ‥待って、こんな場所でそこまでは‥‥」と観客(私です)も思うが、キャパ自身も、捲り上げようとしながらも途中で自分を抑えてスカートの裾を離す。
その欲情の上がり方と抑え方の微妙な表現がもう最高だった。素敵。


数日後に2人は本格的にセックスをするのだが、そこも当然のことながら良い。
ああ、このぐらい年の離れたおじさんにこんな抱かれ方したら、超・感じちゃうなと思う。ブルース・ウィリス本人がどうかはわからないが、キャパとしての彼は、甘えさせてくれそうで、安心感も持てそうで、現実にいたら好きになっちゃいそうかも。声も素敵だし。(挟まなくていい感想)


ただ、セックスシーンで本当に一つだけ、流れる音楽が余りに大仰でギャグみたいだったのだけが残念だった。「こ‥‥この曲は無くないですか?」と心で思いながら観てしまい、今ひとつ入り込めなかった。
記憶が確かじゃないが、その後のセックスシーンでも同じ曲が流れてきた気がする。「またこの曲‥‥?!」と笑いそうになってしまったのが本当に残念。
(製作者は笑いを取るつもりじゃなかったんでしょうけど)


でも、この映画の中で何が良かったといって、ローズが本当にキャパのことを好きだったことが明かされるところだ。ちゃんとお互いに愛し合っていたのだ。
しかもローズはキャパの傷んだ心を癒し、キャパもローズを癒やせていたという構図も良かった。
理想的。
このあと2人で幸せになるといいな。


書いている内にまた観たくなってきた。




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