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温室育ちとはエリートのことだった

こんにちは。なかなか梅雨が明けませんね…

いい加減晴れ間が欲しい。

このような長い梅雨はあらゆる作物の生育に影響を与えます。

今年の農産物の価格の高騰が懸念されます。というかすでにじゃがいも、ニンジン、きゅうりなど高騰していますよね。

さて、今回は「温室育ち」という言葉について一般的に使われる意味と現実は違うということを書いていきたいと思います。

一般的にな意味の温室育ちとはgoo辞典によれば、大事にされて育ったために、世間の苦労を知らず、きたえられていないこと。また、そういう人。

という意味です。私も今まではそのような理解でいました。

では農業において、実際の温室育ちとはどのようなものなのでしょうか?

野菜は貧弱?

みなさんは自分で畑をやったことはありますか?やったことのある人はわかるかもしれませんが、農地にただ野菜を植えるだけではみなさんがスーパーで買うような野菜は育ちません。

なぜなら植えておくだけならびっくりするほど虫に食べられたり、天候による影響をまともに受けるからです。穴だらけのキャベツ、U字に曲がったキュウリ、割れてしまったトマト。スーパーで売られている野菜たちは農家が知識・技術・道具を駆使することで晴れて棚に並ぶことが出来るのです。そのままでは生きていけない貧弱な子どもを大切に大切に育てて立派な大人にして世に送り出す。農業は本当に子育てみたいなものだとつくづく思います。そしてそれらの野菜たちは世に出てても恥ずかしくない立派な大人になるためにスパルタ指導され、厳しい選別を潜り抜けたえらばれし存在になります。

みなさんが食べている野菜たちはまさにエリート集団なのです。

*農家の育てている野菜や果物の品種は長い時間をかけて選抜に選抜を重ねた優良な品種で、そもそもが生命として選りすぐりのエリート中のエリートなのです。

温室はヌルいのか?

では温室とはどのようなものなのか?

温室(ここではわかりやすくビニールハウスを想像してください)は確かに野菜にとって育ちやすい環境を作り出すものです。雨風をしのげて、虫が寄りつかない環境は生き残っていくうえで最高の環境と言えます。昨今ではIT技術を駆使した環境制御型の施設がつくられています。作物にとって最適な気温、湿度、水分量、空気の流れ、光の強弱・長短、あるいは二酸化炭素までもがコントロールされています。弱い子供をエリートに育て上げるべく最高の環境を提供するのが温室栽培なのです。また温室栽培を行うことで通常ではありえない時期に作物を育てることが可能になります。そのような環境においても例えばトマトなどはある時期に水分を与えず多大なストレスを与えることでトマトの糖度を上げるというような手法もあります。

エリートを育て上げるまでにあらゆる最善の手をつくす。

果たしてそれは冒頭の大事にされて育ったために、世間の苦労を知らず、きたえられていないこと。また、そういう人。と同じでしょうか? 

私には例えば一流企業への就職を目指す、保育園から大学までエスカレーター式の私立のエリート校に通う子どものように感じます。生まれた時から英才教育を受けて最高の環境で最適な教育を受けて一流の大学を卒業し、一部上場企業へ就職する。私はそのような人たちが苦労をせず、弱々しいかというとそんなこともないと思います。

長々と書いてきましたが、要するにみなさんの食べている温室育ちの野菜は決して作るのが簡単なわけではないし、貧弱な野菜ではないということです。どれも農家が丹精込めて作り上げたエリート野菜なのです。

これからスーパーの野菜コーナー、八百屋さんにならぶ野菜たちを見かけたときにそんなことを考えてもらえると少し面白いかななんて思います。


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