見出し画像

【感想】2022/09/19夏へのトンネル、さよならの出口

2022/09/19


●印象、全体的に


・ジェネリック新海誠かと思いきや、それは先入観だと反省してみるも、視聴後はジェネリック新海誠(貶しではないです。新海誠大好きなので)
・致命的に覚えにくいタイトル。視聴後から考えてみてもあまりパッとしないタイトル。
・年下のラノベ作家の作品。映画見る前に知ってしまった。知らなくても良い情報だった。でも、邪魔な先入観でした。視聴してみたところ、めちゃくちゃ出来が良かったです。尊敬してます。
・主人公とヒロインの声が声優ではなく俳優。冒頭ではちょっとガッカリかと思ったけど、10分もすれば慣れたので全然問題ナシ。



●良いところ


・ヒロインはとにかく可愛すぎる。かわいい。

・主人公とヒロインのファーストコンタクト、重要。
ここでよくある、「初対面なのに馴れ馴れしい」「初対面でそんな会話はしないでしょ」という地雷は踏まれずに、無難な、あり得る範囲の会話から始まって、加点。
ヒロインは親に捨てられた様な扱いを受けて、そんな中で描いた漫画の応募をしようとしたけど臆して中断。そして雨に打たれてしまい、雨から必死に原稿を守りながらも、臆病な自分に心底ウンザリして、捨てられた自分(平凡な自分は、それ故に自分のトクベツを親にアピール出来なかった)にもウンザリしていたところに、主人公と出会い、善意を振り撒こうとする主人公に刺々しい態度をとる(納得の範疇)。
しかしながら、どうにも主人公の家庭にも事情がある様で、似ている境遇の似た者同士(同族)かもしれないと思って、攻撃するのは辞めた。出だしとしては問題ナシ。
傘を貸す主人公についても、「傘を貸す自分」を見ているわけじゃなく、ちゃんと相手のことを考えて貸そうとしているくらいには相手をよく見ているし、ちゃんと納得できる理由を立てて貸している。主人公の洞察力と本当の優しさと頭の良さを感じられる場面。

・転校生で「お前はあの時の!」をやるのは素晴らしいテンプレート

・借りたものを返すという目的から始まるやりとりは、さりげなく見えて素晴らしい

・クソ親父、いかにもテキトーなクソキャラを出そうみたいな無茶さも無くてよい。娘の死を引きずってて、酒を飲むと荒れて、それも原因かで妻にも逃げられて、息子に八つ当たり。息子が家出したら泣きついてくる、みたいなところも一貫して残念でとても良いです。終始自分のことしか考えてない性格を反面教師にして、真逆の育ち方をしたのかな。

・再会してすぐに失踪してみせる事で、傘を返されるタイミングが逃される。何の感情も無いかもだけど、生きてるか心配されるのはドキッとするね。

・一緒にウラシマトンネルを攻略する為に、結構調べられることは片っ端から本気で調べてたのが良かった。そこまで思いつかなかった、ってところまでやってくれて素直に感心した。
現象から実験は1日一個くらいしか試せないので、自然に毎日会える関係になるのもスムーズで素晴らしかった。

・ラッキースケベ(?)も、あざとく無い。あれだけ関係を積み上げた途中でさりげなく差し込まれるのが自然で上手いし、美味い。メールもかわいい。

・ウラシマトンネルでメールを待つ間、トンネルの中で7時間待つ花城あんずさん可愛い。蹲ってて、名前呼ばれるのも自然で上手い。

・貴方の事を知る必要がある、って水族館デートするのもよい。そこで本当に主人公の話出来るのもよい。

・108秒で引き返そう、が出来なくて夜明けになってそのまま花城あんずさんの家に行くって展開は一応、思うところはあるけど胸は躍る。
漫画家の夢を言い当てるシーン、やはり主人公は賢い。漫画褒められて驚くヒロイン可愛いし、その描写が凄すぎる。
その後、押し倒し返すのも素晴らしいし、貴方の見ている世界が見たいって、絶対に貴方と一緒にトンネルに入りますって念押し気味に牽制してるところも良い。

・夏祭りもヒロイン可愛いし、手を繋ごうとして、ちょっと怯んで、それでも手を繋ぐところ素敵すぎる。

・最初の会話の再現、寒過ぎるだろ、、って思ったけど、家庭環境が補完された会話に更新されてて、お互いの事が知り合えたんだねってわかりやすい。同じ事の繰り返し、リズムは大事。割と好き。

・カフェで漫画認められた話をして、延期しようって言われて、置いていかれるの天才過ぎる。
モヤモヤして会いに行って、親父さんに居ないよって言われた時の顔、最高すぎる。怒ってメールするしかない花城あんずさん可愛すぎる。

・『ほしのこえ』過ぎる、、、って思ったら作者の好きな作品にほしのこえ有りましたね。やっぱり。報われる版のほしのこえならそれも面白いに決まってるので是非やってください。

・妹、最高に可愛かった。会話が何もかも良かった。別れ際も、「いってらっしゃい、お兄ちゃん」で統一されてて、最期の会話と一緒で、ああいうのに弱いなって思った。タイトルのさよならってそういう事かな。

・捨てたものが手に入るトンネル、だからこそ携帯捨てたものが戻ってきてるの面白かった。そしてメールが沢山来るのも良かった。花城あんずさん、違う人と結婚したのかと思ったけどしてなかった。NTR期待はしてしまった。



●難しかったところ


・主人公は、机に伏して心を閉ざして、周りに溶け込もうとしない陰キャ設定なのに、後ろの席の陽キャは馴れ馴れしく主人公の親友ポジとして存在している。よく居る舞台装置。私は舞台装置にも根拠と納得が欲しくなる面倒くさいオタク。キャラとしては良いんだけども、ナンデ?と思う。

・転校生テンプレ再会は素晴らしいんだけど、皆の前で傘の件を言う意味が感じられない。ああいう無茶で無意味な牽制はやめて欲しい。
休み時間で女子追い払った時も男子追い払った時も、昼食断った時も、主人公との関係は一切聞かなかった。だから、休み時間で全ての誘いを断って、リーダー女をぶん殴ったトンデモ鉄壁女が、帰り際に主人公に一言言って去る、の方が周囲への衝撃もあったし良かったと思う。

・ウラシマトンネルに2回目に入った時、花城あんずも居たのは何故? 主人公の後ろ姿を見て気になって後ろから付いてきた、みたいな伏線(あるいは答え合わせ)は欲しかった。

・ウラシマトンネル使い過ぎて、親とか大丈夫か?レベルなのが気になる。親は最早気にしてない描写もあったし、2人ともそういう家庭では無いにしろ、家出の頻度と長さが異常だし、学校予定日でさえサボってそのままヒロインの家に行くムーヴの不健全さ酷過ぎる。

・主人公に置いて行かれた花城あんずさん、なんで頑なに顔を映さなかった?なんでずっとモミジが邪魔をした?泣き顔を描いてはいけなかった?泣いてもよくない?何故?俺は泣き顔が見たかったのに???

・13年返さなかった傘の保存状態良すぎだろ。

・一夏の一瞬の思い出は良くも色褪せて仕舞われてしまう筈なのに、その主人公の為にずっと思い悩むヒロインは愛が重過ぎる。絶対切り替え出来る年月。
主人公好き過ぎて漫画描けなくなる程に??
13年後に列車の遅れを聞いて思い出して、好きですって泣いてしまう程に??(あれ、置いてかれた直後にもやってて欲しいなあ)

・恋愛描写のために、たぶん鹿が3頭死んでる。




余談
自分は桜島麻衣さんが大好きなんですが、桜島麻衣味(あじ)がしたので、かなり助かりました。
黒髪ロングヒロイン、最高っすね。
染みます。


コーラを飲ませていただきたい。コカの。