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乗り越える

しんどいことがあった。
別に突発的に起きたことではなく、前々から「これはしんどそうだな」と思っていたイベントを実際に迎えたところ、思ったよりしんどかったという話。

しんどさを乗り越えなきゃ、と思った。
私はハッピーで元気な私が好きなのだ。
そうあり続けるために、このしんどさを乗り越えようと。

お気に入りのコーヒー屋さんでコーヒーを飲んだ。さすがに自分で淹れる元気はなかったから。
前から食べてみたかったレーズンバターサンドも注文した。私はバターサンドが大好きなのだ。

家に帰って姉が作ってくれていたカレーを食べた。
誰かが作ってくれたごはんは優しい。

あとは、つとめて普段通りに過ごした。
部屋の掃除機をかけ、お風呂を掃除する。
パソコンを開いて今受けている案件を進め、noteを書く。
本当はnoteを書く元気もないかもしれないと思ったけど、「いつもと同じ」ことをすることにこだわってみた。


自閉症の方のこだわり行動の理由の一つに、「いつもと同じであること」に安心感を感じているためだというものがある。
普通の方より視覚や聴覚などの感覚が過敏であることが多い自閉症の方にとって、日々の生活は刺激の連続。
その中で、「絶対に変わらないもの」を持つことで、そこに安心感を抱くことができるそう。
だから彼らは、一つのことにこだわる。いつもと同じであることに。

それを知ったとき、とても理にかなっているなと思った。

人を人として強くするものの一つが「日常」だと思う。
毎日あたり前のようにそこにあるもの、自分の安全基地になるもの。それが日常。
日常の変化を人は嫌う。
日常は変わらないものだからこそ、人に安心感を与える。

だから、しんどさを乗り越えるためには日常を送ることが大切だと思う。

本当は何もしないで布団に入って眠ってしまいたかった。眠っている間は考えずに済むから。
だけどあえてそうしなかった。

しんどさを乗り越えるため、粛々と普段通りのことをしようとしている自分が、かつて関わってきた、何人もの愛しき自閉症児たちに重なった。
私にこの方法を教えてくれたのは彼らだ。


ざっとこれくらいのことを実践して、しんどさを乗り越えるための進捗4割くらい。まだだいぶ残ってる。どうしたもんか。
夕飯の時間なのに、私にしては本当に本当に珍しく食欲すらわかない。
とりあえず子どもたちには食事を作り、自分はお茶をすする。

あー、しんどさに飲み込まれるかも。
どうしよう、どうしようと思っていたところに、伸ばしっぱなしにしていた次男の髪の毛が目に入った。

「髪、切ろっか。」
突然の母の提案に、一瞬キョトンとした次男は、すぐに笑顔になった。
「かっこよくしてね!」

私に似た硬めの髪の毛にハサミを入れる。
量が多いから、最初はザクザクと。徐々に細かく。3歳なのに主張が激しいもみあげも短くカット。
最後に前髪。私好みのオン眉ぱっつん。

上出来。
今まで散髪は私の担当じゃなかったんだけど、なんだ、できるじゃん、私。

鏡をみて、次男がうれしそうに笑う。目にかかっていた前髪が短くなったから、私譲りの二重の瞳がよく見える。
次男の魅力の一つである、豊かな表情の変化がよく見えるようになって嬉しい。

自分の成果に満足したところで、自分がかなり元気になっていることに気が付いた。
だんだんとお腹もすいてきた。
子どもたちが寝た後の夜の10時に夕飯を食べた。美味しい。
姉と談笑することができた。

あー、大丈夫じゃん、私。
これで進捗8割。
残りの2割を取り戻すためには、優しい人の手を借りることにした。

それでも8割達成。上出来、上出来。
多分、少し前に私にはできなかったと思う。
それができた。自分で自分自身を元気づけることができた。

大丈夫だ、私は大丈夫。
私の心は私が生かす。それができるようになった私は、また一歩したたかな人間に近づくことができた気がする。

しんどいこと、これからもあるだろうけど、乗り越えていこう。
自分の力と、人の手も借りながら。
そうやって乗り越えて乗り越えて、私はハッピーで元気な自分を保って生きていきたい。

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