見出し画像

今日は、君を探さない

最近、同居人が”ゼルダの伝説”をプレイしている。
Switchの、新しいやつ。

わたしは、プレイしているのをぼおっと見たり、眺めたりしている。
羨ましい、というわけでも、やってみたい、というわけでもない。
わたし自身は、ああいう類の「上手さ」とか「賢さ」が必要なジャンルは苦手で、中学生のころ「時のオカリナ」をやっとのことでクリアした。
たぶん、「ムジュラの仮面」は難しくてクリアできなかったと思う。
どちらにせよ、ゲームが「上手く」て「賢い」兄の手や頭脳を借りたことに違いはない。

幼いとか間抜けだとか、おとなになれないだとか、いろいろ言われても仕方がない、と思っているけれど
上手さが必要なものが、上手くできないとイライラしたりする。
だから、Switchで出たゼルダの2作品は、どちらもやらないことにしている。
わたしはFFとかテイルズとか、お話しを読みながら進めていけるタイプのRPGが好きなのである。

話は逸れたけれど、最近のゲームは本当にすごいなァ。と思う。
我々昭和生まれは、ゲームとかディスプレイが「すごく」「キレイに」なっていくのを強く体感しながら生きてきたわけだけれど、
64の「時のオカリナ」だって、最初はすごく感動したよね。

そして今回のゼルダは、主人公の”リンク”がスゴイ。
あんなことも、こんなこともできてしまう。
フィールドだって、空に島があったりするわけだし
天井とかすり抜けちゃうし、重たいものをびょいーんと持ち上げたりしてしまう。
まさに無敵。
ゲーム画面を見ているわたしからしたら、リンクにできないことはない、と思ってしまうくらいに。
そんなにいろいろできてしまったら、さぞかしカンタンにクリアできるのでは?と勘違いしてしまいそうなくらいに(そうではないのが、また近年のゲームのすごいところ

しみじみと、リンクはすごいなァ。と思う。
あんなにいろいろなことができてしまったら、周りからさぞかし頼られてしまうだろうなあ。
それはそれで、なかなか大変だろうな。
もしわたしがこのゲームの舞台、ハイラルに暮らしているんだったら、村人とか、コログ族がいいな。または、気ままな妖精とか。
リンクにも、ゼルダにもなりたくない。過酷すぎてしまう。

もし、リンクにこんなにたくさんの能力がなければ、と想像する。
そうしたら、リンクは「もっと頑張らなくてもいい人生」を選べたのではないか、と想像する。
そして、すぐに首を振った。
リンクは、「ゼルダを探す」「ハイラルを救う」という運命、あるいは目標を持っているのならば、この持ちすぎてしまったような能力は、絶対に必要なのだ。

つまり能力は、目標に対して必要なものを持てばいいのである。
君は気づかなかったかもしれないけれど、ハイラルを走り回るリンク(ボコブリンの帽子を被っている。めちゃくちゃかわいくて羨ましい)を見ながら、そんなことを考えていた。

村人には村人の、
コログ族(よく動けなくなってリンクに助けられている)にはコログ族の
それぞれの役目とか、能力がある。

隣の芝生はいつも眩しい。
わたしは尊敬できる友人や、周りの人の”当たり前”を目の当たりにしながら、いつもいつも「足りないなァ」と思ってしまう。

「目標」という言葉はずいぶん身近で、子どものころはよく目標を立てさせられた。
壁に貼られた場合を除き、すぐに忘れた。
「目標」というものが好きではない。というか苦手だ。
忘れるし、叶わないと情けないし。

でも、本当に嫌いだったのは「目標のために努力ができない自分」だったかもしれない。
間違えて欲しくないのだけれど、「目標を持てない自分」ではない。
子供の頃、安易に組んでいた目標だけれど、おとなになったらそう易くはいかない、ということもわかっている。
「目標を持てない自分」を、ずいぶん蹴飛ばして痛めつけてしまったけれど。

いま、なんとなくわかる。
リンクが、ゼルダを探して、ハイラルを救うように
そして、そのために必要なチカラを手に入れたり、与えられたりするように

わたしも、なにかに向かって進むのだ。
そしてそれが「目標」で
「目標に向かう」ということだけが、わたしを抱きしめてくれるのかもしれない。

だから、「今日は休もう」を目標にして、抱きしめる。
ふわふわの毛布に、包まれて眠る。

今日も、リンクはハイラルを駆け回っている。
たぶん、ゼルダのことをは探していない。
ゼルダは「わたしを探して」と言っていたそうだけれど、見つける前に色々やらなくてはいけないことがあるのだと思う。
必要な村に行き、祠に行き、装備を整え

「あとひとつ、祠をクリアしたら終わろう」
君は言った。

今日の、未来の目標に向かって
今日も、リンクはハイラルを駆け回っている。




この記事が参加している募集

今こんな気分

スタバに行きます。500円以上のサポートで、ご希望の方には郵便でお手紙のお届けも◎