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スピリチュアル嫌ってた私がツインレイ信じるしかなくなった話 03

【2022年12月】創作と異常な執着

それからというもの、毎日が創作の日々だった。

短編映画の台本を直したり試し撮りしながら、アーティスト様と毎日メールで楽曲についてのイメージを固めていったりした。
まるで自分も本物のアーティストになったような気分だと話したら、そのアーティスト様は、”プロとアマチュアの境界線なんて決まってない。本気で音楽に取り組む人は皆プロと呼んでいいのではないか”と言ってくれた。
俄然やる気が出た私はどんどん創作活動を進めていった。

しかし、夜になると決まって初恋の彼を思い出してしまっていた。時には涙に暮れてパニックを起こす日さえあった。どうしても、忘れたいのに忘れられない。本当に苦しかった。死んでしまいたいほどに。
時々、夢の中にも彼は現れた。でも、夢の中でさえ彼は何も言ってくれないのだった。目が覚めると憂鬱な気分で、行き場のない想いが自分の心を突き破って、1分1秒ごとに部屋に散らかっていく感じがした。

そしてついに私は、彼に連絡をとる決意をした。といっても、連絡手段など分からない。そこで、やってはいけない方法をとってしまった。もう、それ以外に何も考えられなかった。SNSで彼のことを探し始めたのだ。
いわゆるネットストーカーと呼べるのではないかと、本当に自分が恐ろしく、思い出したくはない。でも、この話を語る上では避けられない過去である。
数日後、私は彼らしき人物をSNSで見つけてしまったのだった。

【2023年3月】10年の恋、消滅

浮かれて私は彼に話しかけた。知らない人のふりをして。

本当にどうかしている。迷惑極まりない行為だった。今なら分かるのに、当時の私は何も分からなくなってしまっていた。
心底、申し訳なかったと思う。

最初のうちは、楽しく会話ができた。でも、彼は徐々に私のことを怪しいと感じ始めたようで、周りの人に相談していたらしい。ついに私は正体がバレて、その場にいる全員から白い目で見られ拒絶された。当たり前のことだった。

私は自分がしてしまった過ちにようやく気付き始めて、すぐに彼に全力で謝罪し反省した。
本来なら、そこで私を無視して拒絶してもいいはずだったが、彼は根が真面目で優しいのだろう、返信をして心情を説明したうえで一切の関係を切ってくれた。
”あなたのことが怖いです”と言われたのだ。

その時、初めて彼からハッキリと本音を聞けた気がした。ショックは受けたし、自己嫌悪に狂いそうではあったものの、心のどこかで、「やっと終わった」と脱力している自分がいた。

ようやくこの、永遠に死ぬまで終わることのない絶望から、抜け出した。
そう気付いた時、ふっと全身から憑きものが取れたように、心身が軽くなった気がした。
どうして今まで、あんなにも彼のことに執着をして過去の関係性に依存して、おぞましい想いを渦巻いて苦しんでいたのか。一瞬で分からなくなった。

身勝手だと思うかもしれないが、私にとっては命がけの、人生の目標なのではないかと思っていた大きな事柄が、突然目の前から全部消えてなくなったような感覚。
数日後、私は完全に彼への恋心が消滅していることに気が付いたのだった。

<続く>