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わかりやすい!漢方薬Vo.6〜くすり箱にあると便利な漢方薬④五苓散


曇りの日や、梅雨時期、台風が近づいてきた時に頭が痛くなる、体が重だるくなるということはありませんか?


これは、空気中の湿度が高くなり、からだの中に余分な水分(湿といいます)がそれに反応して、体内の湿度も高くなった時に起こる症状なのです。(中医学の基礎でご紹介した『内湿』です)

この体内の湿を除くのに効果的な漢方薬は「五苓散」です。



五苓散のはたらき


通常、体の中の水分は、尿や汗、その他の分泌物として体外に排泄されていますが、何らかの原因によって尿や汗としてうまく出すことができない場合には、体の中の水分が過剰にたまってしまい、たまった部位によって様々な症状が出やすくなります。


足にたまれば、下半身のむくみとして、脾胃(胃腸)に溜まれば、胃がぽちゃぽちゃする、胃が重いなど、また頭部付近に溜まれば頭痛や頭の重さなどとして感じるようになります。


五苓散は、体内に溜まった水分を血脈中に引き寄せ、一部を尿として排出して体の中の水分バランスをとる効果の高い漢方薬です。


名前の通り、5つの生薬から構成されていて、必要時に飲んでも効果が速やかに出てくれることも特徴です。
(一般的に、生薬数が少ない漢方薬の方が効果は速やかに出ます)


五苓散の構成生薬


●苓猪(ちょれい):溜まった水分をコントローする
●茯苓(ぶくりょう):溜まった水分をコントロールする
●沢瀉(たくしゃ):溜まった水分をコントロールし、下痢を止める     
●桂皮(けいひ):体を温めてめぐりをよくする
●蒼朮(そうじゅつ)または白朮(ビャクジュツ)
:気を補い、水分をコントロールする

この構成を見ると、体内の水分をコントロールする漢方薬だということがわかりますね。
桂皮は、シナモンのことで、体を温める働きがありますが、それほど強く温めるわけではありませんので、水のさばきを良くする程度だと思ってください。

五つの生薬のうち、蒼朮ではなく白朮が使われることもあり、メーカーによって異なります。

五苓散の特性(水をコントロールする)を考えると、水分を排泄するはたらきが強い、蒼朮の方が良いと思われます。 

生薬の構成が『蒼朮(ソウジュツ)』と記載されているものを選びましょう。

 
*白朮は蒼朮よりも、気を補うはたらきが強い生薬です 



服用に適さない方


特にありません


服用における注意点

特にありません


特に注意するべき生薬が入っていないので、お子様にも安心して使うことができます。

五苓散は、下痢や嘔吐がある胃腸炎や夏風邪などにも効果的です。

市販の下痢止めでは、下痢自体を止めてしまうので、ウイルスや細菌が排泄されるのを邪魔してしまう可能性があります。

特に下痢や嘔吐を伴うウイルス性の胃腸炎などでは五苓散が良いでしょう。


五苓散は、二日酔いにも効果的!


からだの中の余分な水分は、日常生活でも増える時があります。

例えば、

●飲み会続きでお酒を飲む機会が増えた時に手足や顔がむくみや水
●お酒の飲み過ぎで二日酔いになりやすい

など。

お酒自体には利尿作用がありますが、食べ過ぎ飲み過ぎで胃腸のはたらき事態が低下してしまうと、一時的に湿がたまってしまい、頭痛や吐き気、ふらつきなどの症状が出てしまうのです。

飲み過ぎた!と思った時には、五苓散を飲んでおくと良いでしょう。

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