7月10日 ②

 犬の調子が悪い。
 食べるのでまとめ買いしたウェットフードも食べなくなった。栄養が足りているのか心配。好きな筈のトマトや納豆、豆腐にもそっぽを向く。スイカはテンションが上がるらしい。昼には米に緑イ貝やゴマを混ぜたお焼きを、夜には豆腐ハンバーグを作ってみたら何とか食べた。
 耳を痒がるので見ると、皮膚の色がグレーになっていた。元々凄く綺麗なピンクだったのに…。黄疸の不安が募る。歯茎もやたらと出血する。おやつはいつも以上に欲しがるが、心配しかない。
 仕事が決まらず、彼と居る時間が終わらないのは、仕事を理由に彼の傍で過ごせない後悔をしないための、天の計らいかと思えて来る。
 では彼に何かあった時、仕事をしていない私はどうなるのか…。先代犬を失った後、悲惨だった過去の生活を振り返る。不安以外浮かばない。
 何をどう捉えるべきなのか…。答えてくれる人は誰もいない。先祖が夢枕で教えてくれるわけもない。
「なるようにしかならん」
 最近言われなくなったが、既に何度ももらった母の言葉に縋る。
「神は悪いようにしない」
 何かで読んだ言葉に縋る。
「根拠のないことは想像力で乗り切る」
 これはいつか、私が自分自身に言い聞かせた言葉か…。
 明日は唯、その時間を楽しめますように…。それだけを思って今夜は眠ろう。
 結果がどうあれ、私には、必ず通らなければならない道があるはずだ。それがどれで、何処にあり、いつ見つかるのか想像も出来ないけれど、今、出来ることをする。それがすべて。
 
 公演を再開した舞台のチケットが手に入った。先行の抽選販売で買えたのは久しぶりで、このところ先着販売に命懸けで臨んでも手に入らないことの方が多かった。面接と先着販売の日時が被り、観劇は断念しなければならないかとがっかりしていたら、既にチケット確保のメールは届いていて、未確認だったことに気付いたのだった。
 何かが微妙に動きつつある。止まない雨はない…というのはこういうことも含むのかも知れない。
 各地で大きな災害を引き起こしている梅雨の豪雨。天気予報では、この辺りに続く雨もひと段落しそうだが、私の就活がひと段落するのは一体いつなのか、予報自体が予想できない。

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