2023年12月22日、叡啓大学 ソーシャルシステムデザイン学部 学部長・教授の保井俊之さんをゲストにお招きした特別イベント「いれものがたり×保井俊之」を開催しました(開催概要はこちら)。
社会を前向きに変革する人(チェンジ・メーカー)を育てるため、日々ご尽力されている保井さんの人生は、波瀾万丈です。
平日昼間は国家公務員を35年続け、夜間と週末は研究者という生活を13年間続けた後、2021年から日本初のソーシャルシステムデザイン学部を擁する広島県立叡啓大学の初代学部長となり、ご活躍されています。
当日は、保井さんがご自身の器をどのように形成していったのかというエピソードを掘り下げてお伺いました。
保井さんが壮絶な体験をどのように乗り越えてきたのか、そこから見出した大人が学び続けることの意味についてお話をいただきました。
印象的な内容をまとめましたので、当日の雰囲気を感じていただければ幸いです。
亡き叔父の生まれ変わりとして育てられた幼少期
保井さんは、母の亡くなった弟、つまり叔父の生まれ変わりとして育てられたと言います。この幼少期の経験が、自我形成に深い影響を与えました。
高校時代の吹奏楽部で得られたワンネス
試験秀才となることで、どうにか自身の存在意義を保ちながらも、どこか虚しさを抱えていた保井さんにとって、高校生時代に入部した吹奏楽部は人生の転機となりました。
9.11テロ事件での生き残りと自己探求
保井さんは大学卒業後、国家公務員として財務省で勤務し、2001年にワシントンD.C.に赴任しました。そして、9.11のテロ事件のときに、出張のためニューヨークのワールドトレードセンターの中のマリオットホテルで行われた会合に出席していたと言います。
自己決定と学び続けること
ここまでのお話を踏まえて、保井さんは自己決定と学び続けることの重要性を強調し、これらがウェルビーイングに近づく鍵であると述べました。
自己認識と内省
最後に、自己と他者の器を見るということに関連して自己認識の重要性について語っていただきました。
当日の参加者からの感想
壮絶な人生とそれを第3者目線で捉え、自己変容に向かう心と頭の逞しさに感嘆しました。私自身「なんで私はこんな目に遭うんだろう」と悲観することが起こる人生を歩んでいると感じていますが、自分及び他人から見た自分を別の角度から見る機会をいただけました。自分だからこそできる何かがあるのかもと淡い期待を抱いた夜です。
深く潜る経験があるからこそ、海面に上がってきたときに吐く息も見える景色も違ってみえるのかもしれません。手をつないで一緒に潜り、深い海に入っていく怖さを和らげられる人でありたいと思います。吹き寄せられる感覚に身を委ねることにも、とても共感しました。
器は壊れても金継ぎの技術をコツコツ覚えて施せば、より素敵に甦ります。保井先生のお話を拝聴して、改めてそう思いました。
「自分を外から見て面白がっている」とメタ認知のお話がとても興味深かったです。自分自身の中での気づきが大きく人生に影響していることを知りました。素敵な時間をありがとうございました。
まとめ
上記のほかにも、魅力的なエピソードをたくさん語っていただきました。
私は、保井さんのお話を聞きながら、自分の将来を自分で決めていくことへのエールをいただいた気持ちになりました。
また叔父さんの生まれ変わりとして自我を持つことができなかった保井さんが、高校時代に得た仲間と一緒に美しいものを作り上げるというワンネスの経験は、保井さんの現在のお取り組みにつながっているとわかり、とても共感しました。
私たち「人としての器」研究チームも仲間とともに深く通じ合える社会を目指しており、そこに取り組むことへの思いをより強くする機会となりました。
みなさんも、ぜひ保井さんの器のエピソードをきっかけに、ご自身の「人としての器」の在り方について思いを巡らしていただければ嬉しく思います。
※本イベントのアーカイブは、「人としての器」のクローズドコミュニティ内で共有しています。通常の金曜の夜は”いれものがたり”への参加者限定でコミュニティにご招待いたしますので、アーカイブ視聴をご希望の場合、まずは”いれものがたり”にご参加くださいますと幸いです。