不思議な縁と、続く理由
ミナコイチャットというサイトを知っているだろうか?
ログイン不要、自分のユーザーネームだけ設定して、他のユーザーが作った好きなルームに入る(ルーム自作も可)、そしてリアルタイムで他のユーザーとチャットできる。というサイト。
そのミナコイチャットで、私が小学六年生の頃、出会った人がいる。
自分より少し年上の、住んでる場所が遠くの女の子。
出会った当時何を話していたかなんてもう正直分からないのだが、なんだかんだでずっと仲良くしてもらっている大好きな人だ。
ミナコイチャットで集っていたルームが消えそうになった時には、頑張って他のツールを活用してLINEを交換して。
そこからずっと話しているのである。
そして、春。
その友人の海外赴任が決まった。
ずっと会いたいね会いたいね、という話はしていたのだが、それを実現させるには少し遠い距離に住んでいて。
けれど、海外に行ってしまうのなら、もっと会えない距離になってしまう。
そこで、五月。
友人が私の住む地に来てくれることが決まった。
10年近くの付き合い。
ネット上だけの、付き合い。
それが、やっと現実で会える。
心を踊らせて、2人で旅行プランを立てた。
観光地、カフェ...たくさん巡る、3日間のプランになった。
そして当日。
想像よりも身長の低くて、そして想像よりも可愛すぎる友人と会えた。
そこからの3日間は一瞬だった。
さよならするのがとても寂しかった。
初めて会うのに、初めての気がしなかった。
新幹線乗り場に消えていく友人の背中を、涙いっぱいの目でずっと見つめていた。
そして数日後、友人が私とのことをInstagramに載せてくれた。
「どうしても会いたくて会いに行っちゃった」と書いてあって、嬉しくなった。
それから。
数ヶ月経ったいま、なんとなくその投稿を見返したら、文章に追記があった。
「出会った頃は小学生だったのに、今はもうお酒が飲めるなんて」「妹みたいで可愛くて大好き」
嬉しさでいっぱいになった。
どうしようもなく嬉しい追記だったので、私は恋人に報告した。
チャットサイトから繋がって、共通の趣味があるわけでもなく、住んでいる地域が近いわけでもない、けれど友人にずっと仲良くしてもらえているのが嬉しいんだと。
そして、友人が私とのことを振り返って、投稿の文章に付け加えてくれたのも嬉しいんだと。
すると恋人は、よかったね、なんて言いながら、
「そうやって縁が繋がっているのは、そうやって思い出を振り返れる人だからだと思うよ」
と、言ってくれた。
そんな返事がかえってくるとは思っていなかったので、少し驚いた。
そして自分の中で、考えてみる。
私が投稿に追記があったことに気付けたのは、友人とのことを思い返し、投稿を見に行ったから。
友人が投稿に文章を増やしたのは、私との思い出を振り返ってくれたから。
出会っていない時でも、何ヶ月も前の思い出でも、お互いのことを大事に思い出せる。
そんな関係性だから、ずっと続いてこれたのかな、なんて思った。
私はそんな気付きを得させてくれた恋人に感謝しつつ、嬉しい追記をしてくれた友人にも感謝のLINEをいれた。
あの時はありがとね、あの時は楽しかったね、
そんなふうに振り返りながらお互いの時を歩んでいける人。
そんな私の周りの人たちを大事にしながら生きていこう、という、書き留めである。
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