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八首抄 令和5年8月号

青山 良子 選


休戦が今すぐそこにあるやうな昼月が浮く菜の花畑

臼井 良夫

独り子でありし淋しさえんえんと九十歳を越えても続く
広瀬 美智子

ゆっくりと空に溶けゆく夕焼けを弱視の吾の心に刻む
児玉 南海子

ストーブを二台焚いても動かない私のからだに猫が添い寝す
菊池 啓子

小綬鶏のちょっと来いの声姿見せず呼ぶだけの鳥一度見てみたい
北岡 礼子

庭隅にひっそりと咲くオダマキの花は恥じらう風情を保つ
篠原 和子

マスク着くる義弟おとうとなれど亡き夫に似ていると言はれ吾も嬉しき
佐田 公子


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