見出し画像

キャンプの笑い話



■女子テントの外に不審者!

確か高2のキャンプの時だったと思う。あの「ジェンカ」を踊らなかったお陰で普通に1日目が終わろうとしていた。

しかし、寝る時間になって暫くすると、女子から「テントの外に誰かが来ていた」との相談が上がった。男たちがすぐに周辺を調べたが誰も見えなかった。しかし、万が一に備え、男のテントで一緒に寝ようという事になった。

勿論、品行方正な男ばかりだったので(笑)、女子は奥、男子は入り口側と2分した。しかし、テントは定員オーバーのすし詰め状態なので、頭の向きを互い違いにして寝た。つまり、自分の頭の隣には誰かの足がある状態で。


何事もなく迎えた朝、女子のテントも荒らされた様子はなく、一安心した。思い返せば、前の日の夕方、女子がまとまってトイレに行くとき、「なんか怖いから、一緒にきてくれない」と頼まれていた。離れたところでキャンプをしている大人がいたので、女子は何か気配を感じていたのかも知れない。

人を埋めて遊んでいた。


■カップル成立か!

女子との境目には親友の哲ちゃんが寝た。その彼が、翌朝起きてから、小さな声で教えてくれたのだが、夜中に誰かが彼の顔に触れてきたという。それは隣に寝ていた女子だった。

彼は彼女のことをまんざらでもなく思っていたので、僕は彼のために「そういう幸せな瞬間があって良かったね」と祝福する気持ちで聞いていた。すると彼も、暗闇の中、彼女の手をそっと握り返したというのだから、これは、間違いなくカップル成立だ!

「いいじゃん、やったな!」と声援を送ると、哲ちゃんが、「そしたらさー」とニマニマしながら小声で続けた。

「そしたらさー、足の指だったのよー」

彼は更に声を潜め、恥じるように笑い続けた。僕は構わず大声で笑った。

ま、互い違いに寝ていたからね。
しかも、熟睡していた彼女は何も覚えていないようだった。
あれから50年以上たった今も、彼女は、足で哲ちゃんの顔を触ってしまったことも、哲ちゃんから足の指を触られたことも、知らないままだ。

当時のチラシか何かを切り取っておいた。佃公彦のイラスト。


■蚊に食われた数

キャンプから帰ると、哲ちゃんが話しかけてきた。

「いやー、結構、蚊に食われなかったか」

「食われたな。7か所くらい食われてたぞ」と返事をすると、「俺さ、数えたら200か所以上食われてた」と笑った。


キャンプを思い出す時、哲ちゃんの「足の指だったのよー」の話は欠かせない。また、200か所以上蚊に食われた人の話も、いまだ聞いたことがない。

僕と哲ちゃんの間には、山ほど笑う話がある。


(まこと)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?