見出し画像

君と夏の終わり

まだまだ暑いけど、気付けばもう8月も後半なんですね。
今年は(も)夏らしい事しないまま夏が行っちゃいそうです。
夏の終わりって何だか切ないの。
何故ってあの夏を思い出すから……。

あの夏の日、夕立にあってずぶ濡れになった私達は、君の家へ行ったんだよね。
君のTシャツ、肩がずり落ちそうだったよ。
でも……そのTシャツが心地良かったのは、さっきまで汗と雨で気持ち悪かっただけなんだからね!

雷が去って、また太陽が顔を出したけど、私達はそのまま部屋で寛いでいた。
そう……寛ぎきっていたのね……。
あろう事か私は……

屁をこいた。

親しき仲にも礼儀あり。
如月りろ、一生の不覚。
でもさ……ははっ。
しょーがないじゃない……。

何とか音は消したのだが、それが予想を遥かに超える香り。
これはこのままごまかしきれないと腹をくくった私はこう切り出した。

「あの……さ……」

全部言う前に、君は気付いてくれたね。

「ん? 何だ……ぐわあぁっ!!!!!」

あの時の君ののけぞりっぷり、決して忘れないよ。
人って本当にあーなるんだね。

優しい人だから……。
だから気付かない事にするとか出来ると思ってた。
それはきっと勘違いじゃない。
ただ、強烈過ぎたんだね!

「おっ前! 屁ぇこいたな!!!!」
「はぃ」

換気だ換気だ! と叫びながら、涼しくなった部屋の窓を一気に開け放した君。
その後、何故か殺虫剤を出して来て部屋中に噴射していたね。
でもどうして殺虫剤?

「まるで俺の心の故郷、ロンドンみたいだな」

殺虫剤の大量噴射で薄ら白い煙に包まれた部屋を見ながら君がぼんやり言った時、あぁ、あまりの匂いで脳に支障をきたしてしまったんだなと理解しました。
やんわりと、これは匂いを消すものではないと教えてあげたら、

「あぁ! まだダメだ!」

と微妙に噛み合わない返事をした後で、君は「トイレの消臭クイックパンチ」と「ファブリーズ」を両手に持って来た。

「うわああぁ……!」

苦痛の声を出しながらそれらを噴射。

そうして、風の精霊、殺虫剤、トイレの消臭クイックパンチ、ファブリーズの力を借りて、何とか部屋に平和を取り戻した君。

それが私の、今のダンナです。
このオチ、けっこーあるけど嫌いです。
結局ノロケかよ~みたいになるから。
まぁそんなワケで、夏の終わりは切ないのよ。

※追記
タグ付してたら「屁ッセイ」ってタグが出て来たんだけどなんぞw
やっぱりみんな屁のエピソードの一つや二つあるんだね!

この記事が参加している募集

夏の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?