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【詩】書架の中の孤独

「ふと思い付いたんだ。ある日、絵本作家の幽霊と友達になって、けれどもただ、絵の描き方、物語の作り方ばかり教えてもらっているような、そんなつまらないひとりの少年の話を。」
嘲笑にすらなれない仄かな笑いを、いつかの発射残渣のように忍ばせて、揺蕩う水面みたく緩やかに進行する、物語未満のもの。喜劇だ、と呟いて、ひとりでに、にやにやにやにや笑っていた。眩暈に襲われるかのように、追っていたページの文字が、つぎつぎと眼の上を滑っていった。すぐ背にある本棚が、大木を模した怪物みたいに大きく思えた。きっと、気味が悪くて、なんだか、僕に友達がいないのも、至極当然のような気がしてきていました。
もし幽霊が見えたのなら、、、
誰かも分からない貴方の孤独を、さも得意げに盾に取って、そうしたら僕たち、唯一無二の親友になれるのにな。
十月で二十歳になる。檻みたいに僕を覆う本棚しか、世界を知らないけれど、そしてそれは当たり前のように代償行為でしかないけれど、僕は、途方もない世界を描く小説家になりたい。




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