【エッセイ】どんな文章も、未来では黒歴史

どんな文章でも、未来では黒歴史


どうして後から読み返した文章って、あんなにも恥ずかしいんでしょうね。書いているその時は、感情を精一杯乗せた良い文章が書けた、と確かにそんな風に思っていたはずなのに、数か月後それを改めて見返してみると、その文章がとても拙く、幼いものに思えてしまう、そんなことが私にも多々あります。創作ノートの類なんか、公開している詩や小説よりも、よっぽど黒歴史だとしか思えないようなものばかりです。

その理由をあえて言語化するならば、自分の至らなかった点が、時間が経ったときのほうが、より目に付きやすく、俯瞰するような視点になりやすいから、ということだと思います。一般に私たちは、ある地点から一定の時間を空けた方が、過去の出来事を冷静に振り返ることが出来ます。しかし、それは裏を返せば、今過去の文章を読み返している私たちは、当然のように、その文章を書いていた当時よりも、文章にのめり込んでいないということです。つまり熱量が違うんです。書いていた時と読み返した時の感情がまったく同じになることなんて有り得ませんし、熱量が同じであることもそうそうありません。つまり、熱量が当たり前のように違うからこそ、文章を後から読み返していて自然に恥ずかしいと感じる。それはきっと、どんなに素晴らしい文章を過去に書いていたとしても、まったく同じことが言えるのだと、私は思います。

だからこそ私は、出来るだけ過去に書いた自分の文章を、もとい過去の自分自身を、全力で肯定したいと思っています。その良し悪しに関わらず、否定したくないと思っています。(否定しないということは、過去を振り返らない、ということではないですが。)というか、過去の自分は、それを一生懸命、精一杯書いたはずなのに、それを恥ずかしいと思うなんて、過去の自分に対して不誠実です。それに、自分以外に自分を無条件に肯定してくれる人なんていませんし、だからこそ自分だけは自分を肯定していたい、ありきたりではありますが、そう思っています。
まあ、不誠実になってしまうのも当然と言えば当然なんですけどね。未来の自分なんてほとんど他人なんですから。
でも本当は、どんな私も、私自身であること。過去の自分も、現在の自分も、未来の自分も、全員が等しく、確かな私自身であること。当たり前みたいなことですが、それでも、何かを恥ずかしがるということは、過去の自分を、自分ではない他人にしたがっているということです。そんな恥ずかしがっている未来の自分に、「いや、その文章は確かにあなたが書いたんだよ、いいじゃないか、他人のふりなんかするなって」とこれからもずっと言ってやりたいと思っています。
だって、過去の文章だとか、過去の自分を否定するのは、とてもとても苦しかった自分さえも否定することだから。

それに、いくら自分では拙いと思っていた作品でも、他の方が良い評価をしてくれることは往々にしてあります。そして、自分の作品を評価するのは、あくまで自分ではなく他人です。他人と自分とのあいだで評価の乖離を感じることは多々ありますが、それでも自分の書きたい文章を書く、後は読んでくれる方に委ねる、それだけを辛抱強くこれからもやり通していけたらと思っています。そして、これからも多くの黒歴史を創り続けていきたいです。何十年後に、その黒歴史たちに身悶えするような、そんな未来を迎えられたらと(なんだか少し飛躍しすぎたかもしれませんが)確かにそう感じています。

 エッセイに加えて、個人的な一年の振り返り

需要が無いのは承知で、この一年間を振り返らせて下さい。興味がなければ読み飛ばしてください。
私が実際に自分の作品を投稿し、公開するようになったのは、今年の四月からです。正直な話をするならば、詩や小説を投稿して、自分の作品が誰にも見られない(正確に言うならば、見てくれる人はいるけれど、多数ではない)ということは私にとって当たり前のように苦しいことではありました。私の作品を見て下さって、好きでいてくれる方がいる、その反面、自分の書いたものが誰にも認められないことで、自分で描いたものや自分の感性さえも強く肯定できなくなってしまう、それはきっと多くの方が感じたことがある悩みだとは思いますが、この一年ずっと、私はそのことをひしひしと感じていました。ですが、それでも投稿を続けてよかったと個人的には思っています。ありがたいことに、ココア共和国に投稿した詩を傑作や佳作に載せて頂いたり、詩と思想の読者投稿欄の入選にも選んでいただけました。また、noteやカクヨムに投稿した小説にコメントしてくださる方もいて、実際に自分の作品を公開する前ではなかったことをたくさん経験させていただきました。ありがとうございます。

来年も変わらず精力的に詩や小説を書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。





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