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随筆: 少子化 ― 日本の人口が減ることは、良くないことばかりでしょうか? ―

1.   始めに


 私が住む地方の小さな町では、高齢化と少子化が年々進んでいます。自宅近くには小学校がありますが、1学年20名程度であり、隣近所で小学校に通う子どもはごくわずかです。元気な子ども達の声が、いたるところから聞こえてきたのは遥か昔のことになり、どこか心寂しくなります。
 
 さらに近所には若者も少なく、なんと老人会の入会は75歳以上となっているくらいです。そのため、子どもの数が増えて、子ども達の元気な声を聞きたいなとも思います。

 そんな中、政府は「異次元の少子化対策」と名付け、少子化対策に本格的に取り組む方針を打ち出しています。国民のため与野党が協力して、国会で建設的な議論がされることを期待したいです。

 しかし、逆説的に思われるのではないかと心配するのですが、私は下記にこの「少子化問題」について全くの素人ですが、日本の食料安全保障と将来やってくるシンギュラリティの面から、私の考えを提示してみます。

2.   少子化はなぜ問題なのでしょうか?


 少子化はなぜ問題なのですか?こんなことを口にすると、「お前は何も分かっていないな」と言われそうです。そして、「高齢者を誰が支えるのか?例えば、高齢者の年金は誰が負担するのだ?高齢者の介護はどうするんだ?」と言われそうです。

 今の年金制度は働く世代の人々がお金を払い、そのお金を資金として、すでに退職した高齢者を支えるというシステムになっております。確かに、このシステムでは働く世代が減ると、年金をもらう高齢者の世代にとっては大問題です。さらに今、働いている人々も、自分たちは果たして将来年金を貰えるだろうかと不安になるでしょう。

 この年金問題について、私はこのシステム自体が問題であると思います。年金は基本的に受給者がそれまで積み立てたお金に、利息分を少し上乗せして、払い戻しをしてもらうような「貯蓄型」にすれば解決すると思います。少子化が問題になり始めた1990年代から、この制度に段階的に移行しておれば、今になって慌てることも無かったと思うのです。今からでもこのシステムに段階的に変えていけばどうでしょうか?

 また、高齢者の介護については、トイレや風呂などで手助けしてくれる介護用のロボットだけでなく、一人一人顔を覚えて話し相手にもなってくれるロボットが既に実用化されています。(まだまだ、現在のレベルでは介護士がするように、細やかなことはできないようです。)また、すべての介護が、これらのロボットで出来るとは思いませんが、もっともっと改良されて複雑な動きができるようになれば、かなり役に立つと思われます。

3.   人口が減ることが、なぜ問題なのでしょうか?


 昨年(2022年11月)、世界の人口が80億人を超えたと国連が発表しました。また、UNICEF(国連児童基金)の発表によれば、2021年には世界で8億2800万人が飢餓に直面していると述べています。したがって、世界的な視点からすれば、少子化で人口が減ることは、望ましいことであるといえるのではないでしょうか。

 「それは世界的規模の問題であり、日本国内で考えれば、子どもの人口減少は、将来の労働者が減少することになり大変深刻な問題である。」と言われそうです。

 しかし、それに対しても、2045年にはAI(人工知能)が人間の脳とすべての面において同等になる、いわゆる「シンギュラリティ」がやって来るので、事務員を始めとして、弁護士、会計士、医師など知的な専門的職業についている人の大量失業が起きる、と危惧されていることも考える必要があります。

 そうであるなら、人口が減ることはむしろ社会にとって都合が良い面があると言えるのではないでしょうか。

4.   日本の人口が減るとどうなるか?


 日本の人口が減少するとどうなるでしょうか?食糧から見た日本の安全保障、いわゆる「食糧安全保障」が改善すると思います。つまり資源や食糧を海外からの輸入に頼っている日本の状態は少し改善すると思うのです。

(※農林水産省が2022年12月に公表した「知っている?日本の食料事情2022」によれば、2020年の食料自給率は生産額ベースで63%ですが、カロリーベースでは38%しかありません。)

 江戸時代には外国からの輸入がほとんどありませんでした。内閣府の資料によれば「江戸時代には17世紀に人口が増加し、18世紀 には停滞して、おおむね3,100万人から3,300万人台 で推移した。」と記載されています。
 
 もちろん当時とは人が食べる食物もその量も違いますが、日本の人口が3000万人程度であれば、全く輸入しなくても、日本は食料に困らない計算になります。現在では農業技術も発達していることから、3000万人よりも、もっと多くの人の食料を国内で供給できると思われます。

5.   結論


 以上述べてきたことから、「少子化対策」をして子どもの数を増やす政策よりも、次に述べることをして欲しいと思います。それは、現在の子ども達のために、日本の相対的貧困率を少しでも下げて、人々が暮らしやすくしたり、さらに「シンギュラリティ」の時代がやってきた時、その中でどのようにしたら、生きていけるのかを議論して、その対策の政策を考えることです。

 なぜなら既に、厚生労働省が行った「2018年国民生活基礎調査」によれば相対的貧困率は15.7%に達しており、およそ6人に一人が貧困ライン以下の生活をしているからです。
 
(※「相対的貧困率」:国民ひとりひとりの所得を試算し、全国民を所得が高い順番に並べたとき、真ん中の人の所得の半分(貧困ライン)に満たない人の割合を示す コトバンクより)

 まず第一に、子ども達が、自分たちの将来に対して、希望や展望をもって生きていけるような社会を構築するため、政府はその方針作成し、予算をつけてほしいなと私は思うのです。

 全くの素人の考えを提示しました。私の思い違いや間違いがあれば、教えて頂ければ幸いです。

6.   参考にした資料


1)     年金制度について
厚生労働省の「公的年金制度はどのような仕組みなの」

2)     シンギュラリティについて

3)     世界の食料についてUNISEFの資料

4)     農林水産省「知っている?日本の食料事情2022」

https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/panfu1-13.pdf

5)「平成16年度版少子化社会白書」の「第1章 少子化の現状はどのようになっているか     

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2004/pdf_h/pdf/g1010100.pdf

6)内閣府の「相対的貧困率の調査分析結果について」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/soshiki/toukei/dl/tp151218-01_1.pdf



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