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実態は、このような状況だった2019年末に武漢ウイルスが世界にばらまかれたのは単なる偶然だったのだろうか

2019-10-29に発信した章である。

以下は10/24の産経新聞に、絶体絶命の中国経済、と題して掲載された石平さんの論文からである。
中国国家統計局が18日に発表した2019年7~9月期の国内総生産(GDP)は、前年同期比6.0%増で過去最低を更新した。 
もちろん、ここでの「最低」は実際の「最低」でもない。
政府公表の18年の経済成長率は6.6%だったが、中国人民大学の向松祚教授が明らかにしたところでは、この年の本当の成長率はわずか1.67%。
だとすれば、今年7~9月期の本当の成長率は1%すれすれのところに落ちているはずだ。
数十年間にわたった鳴り物入りの高度成長はほぼ終わったとみていい。 
これまでの中国経済は、個人消費率が37%前後という絶望的な消費不足の中で、輸出と固定資産投資の拡大で何とか高度成長を牽引してきた。 
しかし、10年以来始まったインフレの中で労働力コストが高騰した結果、安さで勝負する中国の対外輸出品は競争力をなくし、昔のようには売れなくなった。
そして折からの米中貿易戦争が追い打ちをかけた結果、以前は毎年25%以上の伸びを誇った中国の対外輸出は今年の9月には何と3.2%の減となった。
中国国内の表現で言えば、高度成長を引っ張ってきた輸出という1台の「馬車」が完全に止まった。 
もう1台の「馬車」である固定資産投資の場合、「止まった」とは言えないが、昔と比べればずいぶん弱まった。
これまでに民間の不動産投資や政府の行う公共事業投資はすべてやりすぎて飽和状態となっているから、投資の拡大は失速するしかない。
10年までに毎年25~30%まであった固定資産投資の伸び率は今や5%台、昔の勢いはもはやない。 
輸出も投資も落ちた中で、消費が伸びていれば経済成長は何とかなるが、残念ながら以前からずっと弱かった消費は昨年からさらに冷え込んできている。
自動車市場の1つを取ってみても、全国の新車販売台数は昨年7月から連続15ヵ月の前年同期比減。
車市場の崩壊が始まった。 
経済成長を牽引する消費と輸出と投資の拡大という「3台の馬車」は3台ともに駄目になっているから、経済は成長しようがない。
そして、輸出と投資の縮小は失業の拡大と賃下げに直結して消費のさらなる冷え込みを誘い、消費のさらなる冷え込みが産業のさらなる衰退を招く。
こうした悪循環の中で中国経済のさらなる落ち込みはもはや避けられない。
来年あたりからは確実にマイナス成長となっていくのではないか。 
経済の衰退に伴う社会危機の拡大はなおさらの大問題だ。
貧富の格差が広がって国民の不平不満が募る中、そして2億6千万人の「流動大口(出稼ぎ労働者)」がいる中で、経済のさらなる減速によって失業が拡大し、低所得層の収入水準がより一層落ちていくと、社会的不安の拡大は避けられない。 
行き場を失った億単位の出稼ぎ労働者(すなわち流民)の動向によって、中国社会の安定は根底からひっくり返される危険性があるのである。 
それから、中国の進める国際戦略としての一帯一路構想やアジア支配のための軍事拡大戦略はすべて、経済成長という土台の上に成り立つものだ。
この土台自体が崩れていくなら、習政権一枚看板の「民族の偉大なる復興」は夢のまた夢に終わる。 
今月1日に建国70年の華やかな記念式典を行ったばかりの中国は、経済・社会の危機に直面しているのだ。

実態は、このような状況だった2019年末に武漢ウイルスが世界にばらまかれたのは単なる偶然だったのだろうか* 
今後、下り坂をひたすら転落していく宿命にあるのだろうが、この巨大帝国の末日を見届けたい、と思う。

 

 

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