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日本は必ず覚醒して、憲法改正もなし遂げる、それをやらないような政治家は選挙で退場いただく、

日本は必ず覚醒して、憲法改正もなし遂げる、それをやらないような政治家は選挙で退場いただく、
2023年01月03日
嵐山は、私にとって我が家の庭であると言っても過言ではない。
何しろ、数年前には1年の内100日も嵐山の春夏秋冬を撮影していたのだから。
元旦に行く事も多い。
今年もそうだった。
運よく京都駅から4人掛けの座席に座れた私は、昨日、発売された月刊誌正論2月号を読んでいた。
冒頭の櫻井さんと織田さんの対談特集。
読みふけっていた私は号泣しそうになった。
櫻井さんも「聞いていて涙がでそうになりました」と。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
最近、月刊誌「正論」は読み残す事が多かったのだが。
日本国民で活字が読める人たちは、最寄りの書店で今月号を購入して、正月休みの間に精読しなければならない。

日本よ覚醒せよ 公の精神取り戻せ
麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男×ジャーナリスト櫻井よしこ

50兆円を国防に投じても安上がり
--「必要最小限」に対してそれぞれの命を賭けろなんて、自衛官に対して失礼な話ですね。
織田 
安倍晋三元総理は「毅然として、全力を挙げて尖閣を守れ」とおっしゃっていた。
日本の防衛の基本政策と矛盾しているような気もしますが、これは基本政策のほうを変えるべきでしょう。
皆、この矛盾に気づきながらも黙っている。こういう矛盾を指摘する責務が、私にはあるのかなと思っています。
櫻井 
いま、日本ほど危険な状況下に置かれている国はそう多くはないと思われます。
こうした中で、自衛隊の方々が危険だと感じられている感覚と、論理的に裏付けする軍事の知識、そして世界の国々が軍事力で自国を守ってきたのだという歴史の知識、それらを国民の教養の土台として持たねばならない時代がきていると思うのです。
そうした教養が欠けているので、国会での議論も…。
織田 
上滑りしていますね。
櫻井 
そこで織田さんが代表する軍人の提言が目に見える形で、政府の各所に届けられなければいけないと思います。
現にあるNSC(国家安全保障会議)でも防衛大臣は常に出席していますが、制服組トップの統合幕僚長はなぜ常に出席しないのか。
織田さんの提言が、そうした制度も変えていくきっかけになってほしいと思っています。
織田 
国際社会は力によって動いているのが現実です。
日本人は目をそらしたがりますが、プーチン露大統領のような力の信奉者は力しか信じません。
いま日本は、非常に厳しい環境下に置かれています。
何しろ三つの核保有国に囲まれた国なんて、日本だけですから。
櫻井 
しかも三つとも独裁国家です。
織田 
さらに日本は三つの領土係争を抱えています。
この状況の中で安閑としていられるほうが、どうかしています。
日本を取り巻く国際情勢は戦後未曽有の危機にあるのだということを、繰り返し訴えていくしかないと思っています。
戦争が起きてからでは遅いのです。
櫻井 
亡くなった安倍元総理が優れていたのは、少し先の世界を見通しておられたことです。
「自由で開かれたインド太平洋構想」も、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)にしてもクアッド(日米豪印の枠組み)にしても、戦略的にボールを投げておられた。
先の台湾の統一地方選で、なぜ蔡英文総統の率いる民進党が負けたのか。
なぜ台湾の人たちは虎視眈々と台湾を狙っている中国に親和的な国民竟に投票したのか、これは日本にとっても教訓となる話です。
台湾はいま、中国から集中的にサイバー攻撃を受けています。
織田 
年間に14億回もの攻撃を受けていると報じられています。
櫻井 
なのに台湾の人たちには、中国が本当はいかに怖い国かという情報が行き渡っていないのです。
蔡英文総統に対する批判ばかりが耳に入ってくる。
そうした情報戦に負けた結果が、今回の統一地方選での民進党敗北だと思うのです。 
ここに至るまで、なぜ日本は台湾に向けて戦略的なボールを投げてこなかったのでしょうか。
アメリカはペロシ下院議長はじめ政治家が次々と訪台し、上院を中心に「台湾政策法」の審議が進められていて米台同盟に近い関係が生まれようとしています。
それに比べ、わが国は何をしているのか。
蔡総統は福島などからの農産物輸入も国民の反対を押し切って解禁しました。
「これでTPPに加盟できる」という期待が、台湾側にはあったのです。
それを受けて日本としては、せめて台湾加盟の是非を検討する作業部会設置の提案くらいすればよかったのに、しなかった。
それで蔡総統は国内で「日本にハシゴを外された」とみられてしまったのです。
政治的なメッセージを発するのに予算は必要ありません。
安倍元総理の「台湾有事は日本有事」発言も、1円もかかっていないのです。
政治家も私たち言論人も、先を見通して戦略的なメッセージをどんどん発信していかねば。
織田 
おっしゃる通りで、このほど防衛省のシンクタンク・防衛研究所が出した「中国安全保障レポート2023」によれば中国は近年、影響力工作を活発化させています。
その目指すところは認知戦であり、台湾が「もうダメだ」と白旗をあげたらその時点でゲームセットなのです。
それを習近平総書記は狙っている。
そうならないよう日本はどう対処するかといえば、「日米で何かあれば一緒に戦うよ」という姿勢を台湾に見せることです。
見せるだけでなく、実際に作戦計画を立てて訓練し、人的交流も行って本当に「見える化」しないといけない。
台湾を中国に取られないということが日本の国益ですから、そのためにどうすればよいか、答えは自ずから明らかでしょう。
ちょっと先のことを読めばいいのです。
櫻井 
そうです。
政治家の皆さんには一寸先のことではなく、日本の将来を周辺国の流れの中で見るという目配りを日常的にしていただきたい。
織田 
中国におもねってか、一寸先も見ないようにしている人も中にはいますよね。
仮にも台湾が認知戦で中国に取られてしまったら、人民解放軍は間違いなく台湾に進出してきます。
2022年夏、ペロシ訪台に合わせるように中国はあわてて「台湾白書」を22年ぶりに出しましたが、以前の台湾白書では「統一した暁にも、台湾は独自の軍隊を持っていい。人民解放軍は台湾に進駐しない」と明記されていました。
しかし今回の白書ではその記述が消えている。
台湾に中国空軍が進駐すれば、半径300マイルの制空権を中国に握られてしまう。
そうなると日本のシーレーンが抑えられて、食料や石油輸入の大部分が止められる可能性がある。
そこまで読めるにもかかわらず、多くの政治家も危機意識を持っていません。
絶対に台湾を取られないためにどうすればいいか。
中国が認知戦を仕掛けてきているのですから、こちらはアンチ認知戦で対抗する必要があるでしょう。
櫻井 
台湾有事には日本も動く、日米台で連携して対処するのだという構えを見せる必要があります。
それは台湾のためだけではありません。
織田 
それが日本のためでもあります。
櫻井 
そこに日本人は気がつかなければいけません。
台湾のためにやってあげているのではなく、日本のためにしているのだということです。

-そう考えてみると、いまの自衛隊に足りないものは何でしょうか。
織田 
自衛隊はこれまで十分な予算がない中で身を削ってきただけに、気力だけで仁王立ちしている「弁慶」のようなもので、後方・兵站部分か圧倒的に欠けています。
現状の自衛隊はいわば「張り子の虎」状態なのです。 
それから自衛隊は今後、「反撃能力」を保持することになりますが、これはミサイルを持てば事足りるわけではありません。
米軍とともに、どこを攻撃するか、またミサイル、航空機の役割分担をどうするか、そうした作戦計画立案、調整を担う要員も必要になってきます。
「反撃能力」保有が決定されると、今後はこれら具体的施策が求められてきます。 
反撃能力は絶対に攻め込まれない、国土を戦場にしないためにも不可欠であり、そのためには金も要員もケチらずにつぎ込まないといけない。
具体的施策には、更なる人員と予算が必要になりますが、財務省に「その分、他の部隊の人を減らせ」と言われかねません。
既にやせ細った人間に対し、減量せよと言うようなものです。
これまでのツケ、つまり後方・兵站を急速に整備しなければならず、同時並行的に反撃能力の整備が必要なのです。
櫻井
安倍元総理も以前「日本には継戦能力がない」とおっしゃっていました。
7年8ヵ月も総理をされた方が公の場でそうおっしやったことの深刻さを、政府全体で受け止めねばなりません。
自衛隊に足りないものは多々ありますが、それは突き詰めれば政治の責任です。
政治と軍人との意見交換を常にしっかりして、総理の近くには常に軍人がいるような仕組みをつくる必要があるでしょう。
政治家は軍事を知らずして正しい安全保障政策を立てることはできないだけに、政軍関係の充実を図らねばなりません。
織田 
ウクライナのゼレンスキー大統領は今でこそ「戦う大統領」ですが、2月24日の開戦の10日前までは、すべてを交渉で解決すると表明し、防衛力の強化をサボっていたのです。
そういう意味で、彼は決して英雄とは言えません。 
ウクライナの教訓に学んで、日本は戦争の抑止にお金をかけるべきでしょう。
今後5年間の防衛費総額が妥協の産物で43兆円になったと言われていますが、抑止のためなら5年で50兆円かけても実は安いものです。
ウクライナの復興には1000兆円以上かかると言われています。
抑止に効果がある、台湾有事を防げる可能性があるものには全部、お金をつぎ込むくらいのことをやってもいい。
2023年には台湾有事が起こるかもしれないと米海軍作戦部長も言っており、ブリンケン米国務長官も台湾有事は予想より早いかも知れないと発言しています。
いったん戦争が起きてしまえば大変なことになる。 
危機を未然に防ぐ者は英雄になれない、と言われますが、国家に英雄はいらないのです。
いま批判を浴びてもともかく十分な防衛予算を確保して、結果的に戦争を起こさせないほうがよほど安上がりで安全なのです。
櫻井
ウクライナ戦争を受けて、日本の防衛論議は一気に変わりました。
たしかにドイツと比べれば日本の覚醒は遅いけれども、日本は必ず覚醒して、憲法改正もなし遂げる、それをやらないような政治家は選挙で退場いただく、来たる令和5年をそういう年にしていきたいと思います。    
(聞き手 田北真樹子/構成 溝上健良)


2023/1/3, at Kiyomizu-dera

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