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高齢者に対する支援と介護保険制度 介護保険制度の意義について述べなさい。

 平成12年4月に介護保険法が施行され、約23年が経過。平成17年改正の目玉は、介護予防の重視。平成20年改正では、介護サービス事業者の法令遵守等の業務管理体制の整備。平成23年改正では、地域包括ケアの推進。利用者やサービス提供事業者、または社会から求められるように見直しを行ってきた。介護保険制度が創設され社会にもたらしたものとは何か。
 高齢者介護に関する従前の制度の問題点は、老人福祉では市町村がサービスの種類、提供機関を決める(措置制度)ため、利用者がサービスの選択をすることができない。市町村が直接あるいは委託により提供するサービスが基本であるため、競争原理が働かず、サービス内容が画一的となりがちだった。老人医療では、介護を理由とする一般病棟への長期入院の問題が発生。特別養護老人ホームや老人保健施設に比べコストが高く、医療費の増加を招いていた。
 平成24年の福岡市役所が行った、介護保険・介護サービス利用者アンケートの報告書によると、介護サービス事業者の選び方については「ケアマネジャーにすすめられた」が51.9%で最も多かった。ケアマネジャーへの満足度は、「満足している」が58.9%と過半数を占めて最も多く、次いで「ほぼ満足している」が28.3%と続いており、両方を合わせた『満足』は87.2%と約9割を占めている。この調査からは、信頼の置けるケアマネジャーからすすめられ選択をしている点で、自己決定が行えているといえる。
 今まで介護は家族で行う事が当然だった。少子高齢化、平均寿命の延長に伴い負担が大きくなった。誰が面倒を見るのか、ボランティアなのか。そこには余裕がなく虐待や尊厳の蹂躙があった。介護保険制度を利用する人やその家族でもなく、または供給する側の利益でもなく、一番は最後まで個人として生きられることに最大の意義がある。
 
(参考文献)
(1) 平成24年3月 福岡県福岡市役所保健福祉局介護保険課
介護保険 介護サービス利用者アンケート 報告書

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