見出し画像

現代社会と福祉 「応能負担」と「応益負担」というサービスの利用者負担について説明しなさい。

 応能負担とは、その人が負担できる能力に応じて負担するというもの。措置制度や日本の租税方式にもこの考え方が取り入れられている。しかし、負担能力が高いほど、負担額も大きくなり、中高所得者層には負担感がある。
 これに対し、応益負担は、サービスを利用した総量に応じて費用を負担するというもので、社会保険方式にも対応するもの。しかし、収入の多い少ないにかかわらず同じ負担を強いるため、低所得者には負担が重くなる。
 介護保険では、利用者負担では応益負担(1割~3割負担)、保険料の支払いでは、一部応能負担(所得段階別の保険料など)が取り入れられている。
介護保険制度施行前の老人保健(老人医療)制度の問題点に社会的入院がある。社会的入院の原因のひとつとして、医療保険は、社会保険方式による応益負担であり、中高所得者にとっては、特別養護老人ホームなどに入所するより入院のほうが利用者負担額が低かったため、長期入院を行い医療費の高騰につながっていた。
 一般会計の歳出のうち社会保障費関係(年金、医療、介護)は約3割を占めている。少子高齢化が進んでおり今まで太平洋戦争時以外は、右肩上がりで増えていた人口は減っていくと予想されている。社会保障費が年々増加する中、税収は減少。将来的に持続可能な制度にするために、利益の再分配が必要である。
 社会のあり方は変わり、非正規雇用者等に代表されるように、収入や貯蓄の差、貧富の差が拡大している。低所得者と高所得者では一万円の重みが違う。年金は減り、必ず必要になる医療・介護を応益負担のままにすると生活が成り立たない人が大勢出てくるのではないか。全員生活保護で面倒をみるつもりなのか。日本は破綻する前に、負担のあり方について見直すべきである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?