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72才が社労士試験に合格した訳



(はじめに)

私は72才で社労士試験に合格しました。合格した令和5年の合格者最高年齢は76才なので、上には上の方がいますが、それでもかなりレアな部類だとは思います。
なぜ72才という高齢でも合格出来たのか? それを少し探ってゆきたいと思います


まず70代で受験をする人が少ないと思います。データが60代以上でしかなく、70代で受験した人と合格者の人数が不明なので、推測になるのですが、そもそも70代で受験しようと思う人が少ないと思います。70代で合格しても、その資格を生かす時期が短い。仕事としてやってゆくには遅すぎる、
そして体力的にも難しい、記憶力に自信がない、などの理由で受験をする人が少ないと思われます。

60台前半であれば挑戦する人は結構いると思われますが、65歳を過ぎれば挑戦する事を諦める人が多いと思います。

私の場合は、体力、記憶力などに
ついてあまり考えもなしに挑戦した訳ですが、合格後のビジョンも余り無かったです。要するに漠然と何か出来るかな、とその程度でした。

(訳その1)
 時間的アドバンテージ


挑戦したのも別の記事でも書きましたが、最初は軽い気持でした。何もせずただぼんやりと毎日を過ごしていては頭がボケるので、目標を持ち勉強することで何かを結果的にやれたらいいな。それぐらいの感じで始めたので、合格そのものは明確に目指した訳ではありませんでした。

とにかく69才で仕事を辞め、1日中時間がある、そんな状態で毎日のんびりと勉強を始めました。しかしやっているうちにだんだん合格を意識し始め、熱が入って来たという訳です。

そうなんです、72才合格の第1番目の訳は1日中勉強できる環境にあることなんです。65歳までの人は多分仕事を持ってるので、勉強に充てる時間が少ないのです。
これは大きな違いです。高齢なのに合格できるのはすごい! なんて人は言ってくれますが、そんな事はないです、勉強にかけられる時間がすごく多いんです。

かと言って私は1日中勉強したかというと、実はしてない。というか出来なかったです。なぜかというとまず集中力がない、体力もない、飽きっぽい、など沢山の要因があります。これは子供の頃からだと思いますが、長時間勉強した記憶がない。というか本気で勉強した記憶もあまりないのです。
ひょっとしたら今回が人生始めての本気の試験勉強だったかも知れません。
しかしこんな私でも毎日、勉強しました。時間は1〜3時間ぐらいです。あとは後述する作業かスマホやテレビ、読書で時間が過ぎてました。なので合格までに3年かかったのです。1日10時間勉強出来れば1年で合格可能だとは思います。

この分析は仕事を持ってる人にとっては、あまり参考にはならないですけど、65才以上の無職の方は
参考になるのではないでしょうか。
若い人と比べて時間的なアドバンテージがあります。たとえ記憶力が衰えていようとも、若い人の何倍もの勉強をすれば対等に競争できて合格は可能です。


(訳その2)
 諦めなかったこと



1回目の受験成績は選択◯択一☓(36点)でした。まあこの成績なら撤退もあり得るのですが、この時私はこう考えました。「選択式はクリアー出来た、択一式もコンデションが良ければもっと点が取れた。」
実は午後の択一式に臨む前、私はお腹が膨れて頭の回転が悪くなってはいけないと思い、昼食を飲み物とパン1個で済ませました。ところが午後の試験が始まり、2時間ぐらいが経ったところで、お腹が空いてきて試験に集中できなくなりました。今まで空腹で勉強したこともなければ、試験中(模試も含めて)に空腹になったことがなく、始めての経験でした。空腹の中、試験問題に集中する事が、こんなに困難だとは思いませんでした。腹が減って目が回りそうなくらいでした。なのでそこからは試験問題を読むことも、回答をすることも不十分に終わりました。試験後見直したら、なんでこの問題を間違えたのかというのがたくさんありました。完全に作戦の失敗です。
つまり不合格の原因を勉強不足だけとは考えす、コンデション不良も大いにあると考えたわけです。
(本当は負け惜しみの言い訳なのですが)

なのでもう1年勉強して、万全のコンデションで臨めば、合格も可能ではと判断し、2年目の受験生活に突入した訳です。

それから1年間勉強し模擬試験も択一式は合格ラインに乗って来ました。そして迎えた2回目の試験ですが、何と前日眠れなくなってしまい、2〜3時間ウトウトしただけで
試験会場に向かわなければいけなくなりました。

結果、選択式☓(社一で1点足らず)択一式☓(40点.しかも1問マークミス) でした。
帰宅後の自己採点は、手応えがあったにも関わらず、ケアレスミスの連発でした。ここで又、考えました。寝不足さえなければ合格してたと。勉強不足とは思わずに。
(これもまた負け惜しみの言い訳) 

又々、コンデションさえよければ
合格出来るかもと思い、3年目に突入しました。結果的にはこれが良かったです。諦めなかった。
しつこく粘ったのが良かった訳です。結果論かも知れませんが、事実でもあります。
よく言われるように、諦めたら終わりです。

そして3年目も諦めず、毎日勉強したのですが、流石に3年目なので勉強も飽きて来て、モチベーションの維持が大変でした。家に閉じ籠るのにも嫌気が指し、アルバイトも少ししたりして、気分転換をするのに大変でした。流石にもう気持も限界に達して来て、今度も不合格なら受験は止めようかなと思うようになりました。
模擬試験の択一式ではコンスタントに合格ラインに乗るようになり、あとは試験日当日のコンデションと選択式の幸運だけだと思いました。
そして迎えた試験日の前日、お酒と睡眠薬の力を借りて、何とか睡眠時間だけは確保しました。
年に1回だけなので、又しくじるわけにはいかないのです。手段を選ばずコンデション作りをしたのです。
ところが試験日当日は寝不足ではなかったのですが、何とあがってしまったのです。午前中の選択式で自分が興奮しているのが分かりました。試験であがったのは、生まれて初めてです。
私は人前でのあがり症で特にスピーチなどは死ぬほど苦手なので、あがりまくります。でも試験ではあがった事はなかったのですが、今回はあがりました。それだけ必死だったのだと思います。
そんな中でも何とか頑張ったのですが、今度は午後の択一式でスタートの問題文の訂正の説明に5〜6分時間を取られ、いつも時間一杯でしか解答できない私は焦りました。手応えも悪く、これは今年も駄目かという思いの中試験は終わりました。

帰宅後、いつもならすぐに解答速報で自己採点をするのですが、怖くてすぐには出来ませんでした。
しかし何時までもしないのも、どうかと思い恐る恐る自己採点を始めました。すると択一式で又々、ケアレスミスの連発で、心臓が停まるような思いでやり終えました。結果は微妙な点数で、選択式は何とか足切りは免れましたが、択一式が足切りは無いものの合格ライン次第の結果となりました。あとは10月の発表まで悶々とした日々を送ったわけです。

しかし結果的に合格出来たのは、
3年間諦めずに続けたからでした。
平凡な分析ですがこれも事実です。

そして3年目の試験では、どこかの予備校の講師の方が言ってみえた「本試験では、最後の最後まで諦めずに全力を尽くせ。今まで勉強した全てを出し尽くせ!」
という言葉が頭に残っていて、途中不合格という言葉が何度も頭に浮かびましたが、最後まで頑張ろうと思い、終了の合図まで必死でやりました。これも合格した要因の一つだと思います。


(訳その3)
 独自の勉強法


ここからは具体的な勉強方法についてですが、少し人とは違うかも知れません。1,2年目は独学、3年目は予備校の通信でした。

1年目、やる気満々で書店で購入したテキストを一字一句暗記してやろうと始めたものの、それは流石に無理と分かり1ヶ月足らずで止め、普通にテキストを読み、過去問などを解いてゆくといったオーソドックスな勉強法で3ヶ月程やった所で、テキストを読むことが苦痛なのに気づきました。また読んでも上面だけで頭に残らない状態でした。
そして過去問を見てもテキストのすべてが頭に入っていないと正解できない事に気づき、流し読みではダメだと判断しました。そこで私がやったのは、高齢者ならではの時間がたっぷりあるからこそできた方法です。
テキストのすべての論点を頭に入れるため、テキストをコピーして論点ごとに切り取り、小さな別紙に糊て貼り付けてちょっとしたカードにしたのです。このカードを使い、一つずつ論点を確認して行きました。更に重要な数字や用語は黒塗りし、裏面にその黒塗りした部分の数字や用語を記入しました。つまり選択式の対策も同時にやったわけです。そしてマスターした論点とそうでない論点を明確にしました。これは効果的だったと思います。しかし時間があまりにも懸かるので、正直お勧めは出来ません。いわゆるヒマ人のやることです。頭に入れるには効果的だったのですがカードを作るのに時間を要し、実際の勉強時間が減ったのは事実でした。本末転倒ではありました。

そんな勉強法を2年間やり、流石に飽きてきて同じ教材ではもう出来ないと思い、お金はいりますが予備校の通信を受講することにしました。その通信では動画が配信されるのですが、最初は新鮮でしたが何回も視聴するにつれて、眠気に襲われるようになり、又々通信のテキストのカード作りを始めました。(何と言うヒマ人か!)
その通信講座は究極までのマトメが売りのやつでしたので、カード枚数は最初のよりかなり少なくて済みましたが、基本最初の物と同じです。何と同じモノを2回も作ったのです。(決して人にはお勧めしません、というか仕事してる人は無理ですね)
其のようにして自分と忘却との闘いを続けて来たわけです。

このやり方で合格出来たかというと実は私には分かりません。
ただ模擬試験などに出てくる論点は、いつの間にか見覚えのあるものが多くなってきたのです。過去問なども科目によっては3年間で10回以上は軽くやったと思います。
勉強法には近道は無いと思います、最後は回数ですね。やり方が人によって違うだけです。私は時間があったので、上記の様な半分気分転換の様な作業をしながらした訳です。これは余り参考にならなかったかも知れません。ただ私はこの勉強法でした。


もう一つ書いておきたいのは、足切り回避についてです。1〜2年目の試験で特に弱かったのが、安衛法と労一、社一でした。勉強がいつも後回しになった為でした。
なので3年目はこの3科目を優先してやりました。特に労一は労働諸法を念入りに勉強しました。白書や判例で点が取れなくても、労働法でカバーしようと。また社一もしっかりやりました。択一式の労一でだめでも、社一でカバーしようとしました。これは大正解でした。試験では選択式、択一式で白書や判例は全然出来なくても他でカバーすることが出来、足切りが回避できたのです。


(訳その4)
 神頼み


最後は神頼みでした。仕事を辞めて3年間という長い期間を費やし、不合格のまま社労士試験から撤退することは余りにも悲しい。
かと言って更に勉強を続けるのも、余りにも辛い。そんな思いから、神社仏閣に立ち寄った際にはお願い、お祈りを真面目に行い、御守も買わさせてもらい、自宅の仏壇の父母には普段サボりがちなお参りも行い、さらには最近天国に旅立った猫の遺影にも合格をお願いしました。
こうした願いが神様や仏様、天国にいる父母や猫に届いたのか、何とか合格することが出来ました。
この事は真面目に思っていて、当落上のラインにいた私が、合格した側になったのは、人智を超えたものがあったと思っています。
何かが私を見守ってくれたと感じます。

(まとめ)


以上が私なりに振り返って考えた
合格の分析です。自分でこうして文章にしてみると、これだけ時間をかけてやれば、高齢者でも合格できると思いました。
つまりテキストと問題集を何回も繰返しやり、その回数がある程度までいけば、合格圏には入る。あとは、諦めずに挑戦し続け、選択式で苦手な所が出なければ合格する、そんな所でしょうか。
また私は大威張りで公表するような点数ではありませんが、年齢に免じて大目に見て下さい。
まだ書き足りない事もあると思いますが、思いついたのはとりあえずこれだけで、平凡な事ばかりで全然参考にならないかも知れませんが、その中からこの記事を読まれた皆様なりに何かを得て頂ければ幸いです。


 



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