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何かを継ぐという話

地域の課題に向き合いながら過ごす日々、特別何かができるわけでもないけれど今日も目の前の課題に向き合ってみる。最近の大きなトピックと言えばぶどう栽培に挑戦したこと。
2023年3月にお世話になっているぶどう農家さんが農地を手放すことを決意。その噂を耳にしてなんとか手入れをして続けることができないか模索。
周囲からは「絶対にできない」「やるならちゃんとやった方がいい」と言った意見もあった。しかし、自然の物は待ってはくれない、放置すればまた始めることは難しくなる。まずは実証的に勉強の意味も込めて狭い範囲でもいいからやってみることとした。素人集団のぶどう栽培の挑戦が始まる。たしかに始めてみれば簡単ではないことがすぐに分かった。まず初めは剪定作業、農家さんに言われたとおりにやったつもりでも「まだまだだ」とやり直し。ぶどうが成る姿を見ている今だから分かることも、当時は意味不明。ビニールの屋根も自分たちで張らなければならない。その他ぶどうの花の手入れ、房づくり、間引きなどなど。手間がかかって経験が求められるものばかり。通りでぶどうが高いわけだ。7月中旬ごろにはやっとぶどうに色が付き始め、ぶどうのいい香りが畑に漂う。そこで現れるのが猿やハクビシンなどの獣。自分が手入れをしたものが被害にあった時の気持ちは、聞いていてわかっていたつもりでもかなりのショック。獣の侵入するルートを1つ1つ潰していく日々が1か月ほど続く。そうしてなんとか獣害の被害も食い止め、9月より出荷をスタート。孫世代が育てる「まごぶどう」として世に出すこととなる。

そんな中で農地を手放した農家さんから、ぶどうが足りなくなったから販売用に使わせてほしいと相談があった。例年販売していた2400房を手放したのだからさもありなん。もちろん使ってもらった。
さて私たちが守ったのはぶどう畑だったのだろうか、それよりもさらに大事な何かを守り、維持することの一助になったように感じる。「いつもよくしてもらってるから」「毎年来てるから」「ここのが一番おいしいから」様々な理由で農園に紐づている人の縁。それらを維持していた農家さんの思い。ぶどう畑を継続する人がいなくなるということは土地や人に紐づき培われた縁が失われるということなのだろう。生業以上にそこにある見えない財産や思いを引き継ぐことこそが何かを「継ぐ」ということなのではないだろうか。


2023年8月のハイライト

地域のおじいさんが手放したぶどう畑にてぶどうを栽培
ぶどうの師匠時夫さんから指導を受ける図
猿によによる畑の被害の様
猿の侵入経路の確認
電気柵の強化
横瀬中学校職場体験にて



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