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欧羅巴の古い教会 青い神殿

以前、ヨーロッパを旅行した時のことだ。

いつもながらあまり観光情報も集めず、ただ歩き回った。

古い街並みを歩いていると突然巨大な教会が目に入った。

天を突くような尖塔を備えた黒ずんで古い教会。

考える間もなく足が向き、吸い込まれるように入っていた。

暗い中を歩き、広い場所に出た。

歩き疲れた目に、はっとするような神聖な光景が映った。

数か所の弱い照明に浮かび上がる礼拝堂の景色。
大理石を中心とした白い大きな柱や彫刻。
高い天井や壁に描かれた宗教画。
正面の壁に見えるのは巨大なパイプオルガンだろうか。

薄暗がり中、何人かの人々が静かに歩いている。

漂う荘厳な雰囲気。
数百年の間、多くの人々が祈りを捧げた場所。
同じ祈りの場所だが、日本の神社やお寺とはまた違った感じの神聖さ。

キリスト教徒ではないので、やはり異教徒から見た感動なのだろう。

高い窓から差し込む明かりは、神々しく、今にもそこに天使が見えそうな気がした。

長い年月をかけて作られた教会。
神を身近に感じる場所。
外界とは違った空気。

昔からの多くの人々の祈りの気が頭上に漂っている気がした。

なにか温かな気を感じる。

疲れも忘れてずっと立ち尽くしていた。



絵 マシュー・カサイ「欧羅巴の古い教会 青い神殿」水彩




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