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あっクジラだ! 大空のクジラ雲

公園の広場を歩いていると後ろからパタパタ足音がした。
数人の小さな子供たちがキャッキャッと大喜びしながら走ってきた。

無邪気な笑い声につい微笑んでいるとこちらへ駆けてきて

クジラ!クジラ雲!と叫んでいる。

何のことかなと指さす方を見ると、大空にゆったりと大きな雲が浮かんでいた。

午後の輝きを増した空にはたくさんの雲が浮かんでいたが、その大きな雲はかなり早い動きでまるで子供たちと遊んでいるようだ。

大きな雲だねと言うと子供たちはクジラだよクジラ!と笑いながら叫んでいる。

もう一度その大きな雲を見てみると、確かに形はクジラだ。
その目に当たる部分がにっこりとこっちを見た気がした。

えっ!と思った瞬間、大空にうかぶクジラになった。

ゆったりと気持ちよく大空を泳ぐクジラ。
地上で喜ぶ子供たちと遊んでいるようだ。
よく見るとクジラの周りにもイルカのような素早い雲が流れている。

びっくりして目をこすってみた。

目がおかしくなったのかな。それとも頭?
集団催眠にでもかかったのかな。

公園の真ん中で、子供たちは笑いながらクジラに向かって何か叫んでいる。

その光景に、なんだか楽しくなった。

しばらく遊んだ後、クジラはゆっくりと上昇していった。

午後の光の中だんだんと白い雲になり、より大きな雲の中に消えていった。

子供達も遊び疲れたのか、笑顔で話しながら街の方へ歩いて行った。

一瞬、子供たちと思考が一緒になったんだな。

すごく楽しかった。

もう一度クジラの消えた方を見ると、雲が少しずつ夕焼け色に染まり始めていた。



絵 マシュー・カサイ「大空のクジラ雲」水彩



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