もう、今日も夕暮れ。
眺めのいい海岸に出て、最後の輝きを楽しむ。
昼間の猛暑が幾分和らいで、海風が肌に優しい。
今日も夕焼け雲が素晴らしい。残照を神話の世界のように盛り上げている。

なんてきれいなんだろう。
子供の頃から、何度も夕焼けを見上げては感動していた。
瞬く間に光は変化し、黄色、オレンジ、赤と輝きながら沈んでゆく。
寂しいような、悲しいような、不思議な感動。

近くの岩の上に腰かけて輝きを消してゆく水平線を見つめる。
静かに夜の薄闇が近づいてきている。周りは徐々に青に染まりゆく。

空も海も一瞬青に染まる。

夕闇の青は静寂の色。静かで神秘の色だが、人は光がないと寂しい。

夕闇の広がる中、大自然の夕陽に替わって街の明かりが次第に浮かび上がる。

店の明かり、家々の明かり、港の明かり。

人が動くと光は揺らめく。街の明かりは生活の印。

優しく,ホッとする光。人々の声が聞こえてくるようだ。

どの明かりのもとにも、夜を迎え、ほっとした笑顔があるのだろう。

今日も一日が終わっていく。

この平凡な幸せを味わう。