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コツコツ - なんでコンドーム自販機を巡ってるのか分からない 8

私は学生の頃と現在の自分とをよく比べる。なんで学生の頃とばかり比べるのだろう。自分が精神的に幼いから?とも思ったがそうではなく、私は会社員の経験が無いため、会社の中での自分の成長を知らない。つまり大人になってから自分の成長を実感していないからだと分かった。

人は1人でも成長をするが、集団の中にいた方が自分の成長に気づきやすいのだろう。私が集団で過ごしたのは学校しかない。仮に私の年表を作ると、小、中、高、大学まではわかりやすい区切りがあるのだが、そこからの区切りが全く無い訳では無いが、薄い。だから今と過去の自分とを比較するとなると、学校に通っていた自分まで遡って比較してしまうのだ。
だが学校で過ごしていた時期は子どもであるため、単に未熟で色々な事が出来なかった。それなのに子どもの頃のまま大人なっても「自分は○○ができない」と思ってしまっていた。

できないと思い込んでいた事に、スポーツがある。私は運動神経が良くない。だから、できないことしかない体育の授業が嫌いだった。そしてそのままスポーツも大嫌いになる。嫌い過ぎて、体育の授業以外でスポーツをやったこたがない。
それなのに、大人なってから大縄跳びをする機会があり、嫌でしかなかった。子どもの頃、大縄跳びは苦手で、よく流れを止めていた。やがて順番が来てしまい、いよいよ自分の番。嫌だ嫌だと思っていたのに、私はすんなり飛べていた。
飛べたのは、縄の動きをよく見て、入るタイミングが分かったから。そこでふと気がついた。あれ?私、体育の授業でスポーツのやり方を教わったことが無いぞと。

バレーボール等の球技は、ルールは超簡単に何となく教わったが、サーブはどうやって打つのか、どうやってボールを受けるのか、全く教わってない。いきなりやれと言われていた。走るのもいきなり走れと言われ、早く走るための何かは全く教わらなかった。
今思うと私が受けていた体育の授業は、全員出来ることが前提で始められていた。それじゃ出来ない人がいて当たり前。しかもクラス全員の前で「できない人」にされるので、嫌でしかない。
大縄跳びも「縄の動きをよく見て」とは言われたが、よく見て、どんな時に縄の中に入ったらいいのかは誰も教えてくれなかった。もっと具体的な指示があれば、子どもの私も大縄跳びを楽しめたのかもしれない。

こんな風に子どもの頃の記憶を上書きできないままにしてきたものがもう1つある。夏休みの宿題だ。
夏休みの宿題の中でも、すごく嫌だったのが、日記とドリル。2つとも毎日少しずつやればよく、少しずつやる分には苦労する量ではない。しかし、それが出来ない。毎年夏休みの終盤になってまとめてやっていたので、うんざりした思いしか残っていない。
これが上書きされないまま大人になったので、私はコツコツ小さな事を積み上げるが苦手だと思い込んできた。

だが、今ずっと私が続けているコンドーム自販機巡りはコツコツ、コツコツの塊みたいなものだ。Googleマップで自販機を探して、実際に行って、写真を撮って、SNSにUp。
あまりに何も考えなくても続けられているので、自分がどれだけコツコツとした作業の積み重ねをしているかに、全然気が付かなかった。
そういえば他にも、アダルトショッブに勤務している時はTwitter担当になり、毎日休まず下ネタ呟いていたし、今の仕事でも、毎日事務仕事をいくつも掛け持ちし、コツコツとルーティンワークをしている。

子どもの頃の夏休みのドリルと日記が嫌いだったのは、毎日勉強を黙々と作業を続けられるほどの精神力が成長していなかっただけだと思う。それをコツコツ作業するのが苦手と思い込んでしまっていた。
だけど今の私はコツコツ作業するのは苦にならないし、むしろ得意だ。中高年になってから自分の得意に気づけたのは、新たな自分に発見をしたようで、とても嬉しい。
また今はもう、これを仕事に活かそうとは少しも思わないので、自分のために自由に使える能力として、のびのび使えるのもいい。

嫌いなこと、出来ないことばかりの自分だと思って生きてきたが、遅すぎる自分への発見は、自分だけにしか分からないけど、少しだけ自分に胸を張れることが出来たようで、こっそりと嬉しいものだ。

photomemo: かなり前からSNSで見かけていたけど、どこにあるのか全く分からず、何年も忘れず、チマチマと探し続けてようやく見つけた自販機です。

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