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ハッピーファーストインタビュー 元フットサル日本代表キャプテン北原亘さんのリーダーシップ(後編)

HappyFirstCollege1期(2021年10月~12月)にご参加頂いた北原さん。フットサル日本代表としても、日本で唯一のフットサルプロチーム「名古屋オーシャンズ」でもずっとキャプテンを務めてこられました。人に勇気や元気・感動を伝えられる存在でありたい。HappyFirstCollegeでも一貫してそう語ってこられていた北原さん。そのリーダーシップ、キャプテン像をインタビューさせて頂きました。
※幼少期~大学時代のエピソードは前編をご覧ください!

前編では、フットサルチームを立ち上げてキャプテンとして様葛藤したところまでお話頂きました。

日本代表時代の北原さん


#4:大企業を辞めて、フットサルのプロ選手になる。

ーーー名古屋オーシャンズ(※日本唯一のプロフットサルチーム)に入られたきっかけは?

当時、新卒で大手飲料メーカーに就職して1年経ったぐらいの時に、「日本初のプロフットサルチームができるからどうだ」って声がかかったんですね。その時、すごく悩みました。要は、「挑戦」をとるか「安定」をとるか、という話なんですけど。。。
相談した8~9割の方が「反対」でした。名古屋オーシャンズに行ったとしても、1年後首を切られるかもしれないし、チームだってなくなるかもしれない。それなのに、安定を捨てて行くのか?って。
あまのじゃくなので、「だったらそこの1~2割で、輝ける存在になれれば、自分の人生は輝く」と思いました。でも、不安もありました。だから、キャプテンをやりたいって思ったんですね。キャプテンをすれば、県知事やスポンサーのトップに出会ったり、プレゼンテーション力も身に着くだろう、例え、1年で首を切られたとしても、そこから何か学べるだろうって思ったんですね。


ーーー挑戦される前に、リスクマネジメントとして、セカンドキャリアのことまでイメージされていたのですね。北原さんをキャプテンに指名したのは監督なのですか?

はい。学生時代に対戦したことがあるチームの監督だった方で。学生時代の私の姿を見て、「任せたい」って思ってくれていたようです。先輩でも後輩でも、伝えるべきことを伝えるっていうことを評価されていたようですね。

ーーー当時から、先輩後輩関係なく、「チームのために」を大切にされていたんですね!

ただ、当時は主張が強かったですね(笑)

ーーーそこから名古屋オーシャンズで何年ぐらいキャプテンを・・?

名古屋オーシャンズでは6年ですね。
1年目は、全国リーグが立ち上がる前で。皆初めてプロになった人ばかりが集まっていました。そこで、練習試合を含めても、1年間で負けが1つしかない、という圧倒的な成績を残せたんですね。取れるタイトルは全部取りました。

名古屋オーシャンズ時代の北原さん


#5: プロ1年目。キャプテンとしての壁。圧倒的な結果を残したけれど・・・

ーーー1年間で、1回しか負けてないってことですよね?それはすごい結果ですね!

でも、1年経って、契約更改が始まったのですが、
試合に出られなかった選手が、1人を残して全員辞めて行ったんです
来年からFリーグっていう全国リーグが立ち上がる。名古屋オーシャンズは日本唯一のプロチームだから、お金をもらってフットサルができるんです。なのに、
「フットサルがつまらなかった」って辞めて行ったんです。

なんでって、思いますよね。
それでも僕は、その時、「そんな覚悟ならプロになんかなるなよ」ぐらいに思ってしまっていました。

ーーーそんなことが・・・

もう一つ、自分のリーダーシップに向き合うきっかけがあるのですが、1カ月間のオフシーズンを挟んで、翌年のシーズンの合宿とかが始まるんですけど、その時に、外国人選手全員から、口を聞いてもらえなかったんです。
色んな誤解があったことが通訳を通じてわかったんですけど、、、
そこですごく悔しかったのは、1年間彼らとプレーしてきたのに、「北原がそんなこと言うわけない」って思ってもらえなかったんだと。信頼してもらえる関係を作れなかったんだと。そのことにすごくショックを覚えました。
信頼されてたら、直接相談してもらえただろうなって。

ーーーそうでしたか・・・

そのシーズン、1敗しかしていないっていう、すごい結果を残したにも関わらず、チームメイトが全然幸せじゃなかった、ってことに気付いて
その時に、自分のマネジメント、リーダーシップって間違っていたんだって思い知らされました。

ーーー深いご経験ですね

はい。すごく苦しみました・・・

#6:プロ2年目 自分のリーダーシップと深く向き合う


ーーーー次のシーズンはどうしたんですか?

最初は自分が間違っていたって、謝ることから始めました。今思うと、最初にルールを決めて独裁的にやったからこそ得た結果っていうのもあると思うので、それまでが間違っていたかどうかって分からないんですけど・・・。でも2年目からは、自分もキャプテン2年目。新しく入った若い選手にも皆でチームを作っていきたいので意見を言って欲しいって伝えました。一人一人を知ろうって、話を聞くようしました。今までのリーダーシップから、大きく変えようと思ったので、すごくバランスは難しかったですけど・・・

ーーーでも、プロなので勝つことから逃げられませんよね。その中で試合に出られない選手たちに何と声をかけたんですか?

誰がチームに不満を持つかと考えた時に、試合に出られない若い選手だなって思ったんですね。それを考える前提として、チームをどうしていきたいか、と考えて。。。
よく、講演とかでも集団走に例えて説明するのですが、私の自論なんですけど。400Mトラックを10人で1分以内に全員走り切るとしたときに、どういう配置だったら全員入れるかなって。その時に1年目は、自分が先頭で50秒ぐらいで走って「皆オレの背中を見て頑張れ、ついてこい!」って思ってたなって思うんです。それをした結果が、ギリギリ1分以内に入れるかどうかの選手たちが、「無理だよ、ついていけないよ」って思ったんだなって気付いたんですね。

2年目は後ろからこぼれそうな選手を押し上げようとしたんですけどそれも違うなって。どうしてかというと、前でタイム設定がしっかりできないと、そもそものペースが全員1分以内に入れない設定になっている可能性があるんです。前に、結果にコミットできるサブリーダーを置いて、自分は後ろから皆を支えて行こうと。そういう風に決めましたね。

ーーーわ~、本当に深いお話ですね・・・。それから日本代表でもキャプテンを務められてらっしゃいますが、一番北原さん自身のリーダーシップが変わったのが、この時ですか?

そうですね、リーダーシップっていろんな形があっていいよねって思ったのが、この名古屋オーシャンズの1年目~2年目になるときですね。ここから、「あり方」とかいろいろ考えるようになって、自分の中でしっくりくるようになったのが4年目~5年目ぐらいですね。


ーーーそれは、2年目のスタイルを続けてきて、それにしっくりきた感じですか?

いえ、その時には、メンバーによって、『あり方』は変わらないんだけど、『やり方』は変わるんだなっていう事に気付けてきましたね。


#7:目指すチームの「あり方」がブレなくなった。


ーーー「あり方」とは、どういうことでしょうか?

自分の中で明確に落とし込んでいたのは、例え試合に出られなかったとしても、1年で契約を切られてしまったとしても、このチームにいてくれてよかったって思えるようにしたいなって思っていて、それが全員に対して出来てたわけじゃないんですけど、それが、個々人によって、やり方を与えて引っ張っていくような方法がいい人もいるし、方法はひとりひとり違うなって。極論言うと、日本代表とかだと一人一人ヒアリングして皆の納得解とかを出してってやっていると時間がないんですね。ある程度トップダウンで、引っ張ってやるっていうリーダーシップをとっていかないと、短期的にチームはまとまらないので、リーダーシップも組織によって変えていく、というか目指す目的地によって、多分変わるんだろうなっていうのが、今、思っていることですね。


ーーーやっぱりひとりひとりっていうところなんですね~


#8:HappyFirstCollege(ハッピーファーストカレッジ)との出会い

カレッジ朝練風景の1コマ

ーーーHappyFirstCollegeに入ったタイミングはどんなタイミング?

タカさん(※代表の石原孝尚)から紹介されて興味を持ったっていうのがきっかけでした。

ーーータカさんとの出会いは?

サッカー関係者の食事会で知り合いました。その時に、組織って理念と成果のバランスって大事ですよね。でもサッカーチームって、成果だけを大事にして、理念が忘れられてることって多いですよねっていう話をタカさんにしたところタカさんも共感してくれて、話をするようになったっていうのがきっかけですね。

ーーーこれまでのお話を伺っていると、タカさんのお考えと近いなって思います。成果も大事だけど、理念も大事だよねっていうことですよね。

北原さんは、ここまでのご経験から自分らしいリーダーシップってある程度確立されて来られていたと思うのですが、HappyFirstCollegeで新しい気付きなどはありましたか?

自身のリーダーシップの考え方は大きく変わることはなかったのですが、コミュニティの質って大事だなって思っていて・・・。
私は参加させて頂いたメンバーと初めて出会った時に、異業種の方なのに、最初から心理的安全性が担保された会話ができたんですね。安心して自分の話ができる感覚でした。これって何なんだっけって考えたら、同じような志や同じような考え方を持ってらっしゃる方々、同質、同族のコミュニティがあると深いところまで話ができる、主張と傾聴のバランスがすごくいいので、組織を作る時に、こういう人達を集めるにはどうしたらいいんだろうってすごく考えさせられましたね。

ーーーそれは今、北原さんが選手を離れて、ビジネスをされてらっしゃる中での人事というか、採用の話に結びつきますか?

はい。自分が社長になったと仮定するなら、能力も大事ですけど、その人の価値観やあり方が自社と一致するのか、とかを考えないといけないなって思いました。

ーーー同じ理念のもとに集まっているからHappyFirstCollegeのような心理的安全性の高いコミュニティができるってことですかね?

はい。そう思います。

ーーー振り返りシートの中で、振り返るってことがよかったって書いてありましたが。。。

そうそう、そうなんです。
忙しいと、毎日、自分の考えとか言語化することってないですもんね。誰と会って何を考えてって、そういうことを振り返るって、普段やってなかったから、それも大きかったですね。

ーーーカレッジの中でタカさんからフィードバックもあったと思うんでけど、北原さんからみたタカさんはどんな人ですか?

3周ぐらいまわっちゃってる人だなって思っています(笑)
普通の人が1周も回れないところを、3周ぐらいまわっちゃってるなっていう意味で(笑)
私とかはまだ1周も回れていなくて。これまでも、構造化して、言語化するってことは本当に向き合ってきたんですけど、それを誰かにわかりやすく伝えるってところが自分の課題だと思っているんですね。
難しいことを難しいまま伝えてしまうんですね。でもタカさんは、難しいことを誰にでもわかりやすく話せる。でも、それって勇気のいることだなって思っていて。わかりやすく話すって、考察しない人からしたら「難しいこと知らないの?」って思われかもしれないじゃないですか。それも超えて、本当にわかりやすく話してくれますよね。人からどう思われるかなんて気にせず。もう、何周も回っちゃってるんでしょうね(笑)

ーーーわかる気がします。タカさんって愚社風賢者ですよね(笑)。
改めて、北原さんが人として大事にしていきたいあり方(Being)ってなんですか?

人に元気や勇気や感動を伝えられる存在でありたい,という思いが
根底にあるんですね。普段の自分の言動や仕事がリンクしているかっていう事を常に忘れずにやっていきたいと思っていますね。

ーー北原さんは引退されてどのぐらいになりますか?・・

今年の3月で6年になります。

ーーでは、今から10年後、どうなっていたいか、教えて頂いてもいいですか?

事前に質問頂いて10年後とか考えていたんですけど、バックキャスティング、フォアキャスティングじゃないんですけど、今、状況が変わりすぎていて、それを考えてやってても意味ないなって思うようになって。10年先に何やってたいじゃなくて、目の前の必要としてくれている人たちに対して何ができるのかっていう事に集中したいなって思っています。

ーーーなるほどです・・・。
北原さん、素敵なお話を、本当にありがとうございました!


北原亘さんプロフィール

北原 亘(Kitahara Wataru)

日本初のプロフットサルチーム、大洋薬品/BANFF(現名古屋オーシャンズ)に創設時に入団し、Fリーグ9連覇、FリーグMVPなど数々のタイトルを獲得。また、クラブチームでも、日本代表でもキャプテンを務める。2016年3月で現役を引退。引退後は5つの組織に所属し、【スポーツ×教育】を追求。
所属:山大実業 /   山大   / Criacao(クリアソン)https://criacao.co.jp/    ポリバレント http://polyvalent.tokyo.jp/  Di-SPORTS https://dispo-lab.or.jp/

経 歴
[大洋薬品/BANFF(2006~2007)]
2006~2007:東海リーグ優勝・全日本選手権優勝地域チャンピオンズリーグ優勝

[名古屋オーシャンズ(2007~2016)]
2007~2008:Fリーグ優勝
2008~2009:Fリーグ優勝・FリーグMVP・ Fリーグベスト5
2009~2010:Fリーグ優勝
2010~2011:Fリーグ優勝・オーシャンアリーナカップ優勝
2011~2012:Fリーグ優勝・オーシャンアリーナカップ優勝 クラブアジア選手権優勝
2012~2013:Fリーグ優勝・ オーシャンアリーナカップ優勝・全日本選手権優勝
2013~2014:Fリーグ優勝・オーシャンカップ優勝・全日本選手権優勝
2014~2015:Fリーグ優勝・オーシャンカップ優勝・全日本選手権優勝・クラブアジア選手権優勝2015~2016:Fリーグ優勝

Fリーグ通算 235試合出場・87得点(FIXO歴代1位)

[フットサル日本代表(2003~2013)]
アジア選手権 :
2007準優勝・2012優勝

ワールドカップ:
2008・2012出場(通算2得点)

2016年3月現役引退

※フットサルって?
分かりやすく言うと、屋内で5人でするサッカーのようなもの。試合時間は20分の前後半。ボールはサッカーボールよりも小さくて弾まない。

※Fリーグって? 
日本フットサルリーグの事。


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