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小説

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短編小説、ショートショートです。ミステリ、恋愛、ファンタジー要素強め。
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記事一覧

死んだはずの元婚約者が戻ってきたから、お前はもういらない?じゃあ好きに生きますね…

あらすじ 私と王子の結婚前夜、ある女性が訪ねて来た。彼女は王子の元婚約者で、死んだはず…

綾部まと
5か月前
10

【短編小説】ロマンスのレッスン

 深津さんと会うことにしたのは、マッチングアプリで「好きな作家はフランツ・カフカ」と自己…

綾部まと
8か月前
9

【漫画原作】五菱銀行 怪奇事件 専門課「呪いの銃①」(創作大賞 中間選考を通過しま…

あらすじ銀行員の東金は、取引先の経理担当・水無瀬から「怪奇事件を解決すれば資金を運用し…

綾部まと
9か月前
21

五菱銀行 怪奇事件 専門課「呪いの銃②」

第二話・C学園前  学園を出て駅へ向かう坂道を登りながら、森は口を開いた。 「これ、意外と…

綾部まと
9か月前
7

【漫画原作】Darker Banker 第三話

三話(立花視点)【広尾小学校 図書室】 「どうしたんですか?」 「……なんでもない。水瀬、…

綾部まと
9か月前
3

五菱銀行 怪奇事件 専門課「呪いの銃③」

第三話 ・C学園   夜の学園は金曜夜のせいか、生徒も先生もいなかった。こうなると無駄に広…

綾部まと
9か月前
8

【小説】すごい冷蔵庫

 丸の内オフィスにある一階の冷蔵庫に入ると、猫になるらしい。 「成宮さん。あの噂、本当みたいですよ」 学生インターンの東也(トウヤ)が、真横から話しかけてきた。熱中するといつもそうなのだが、彼は身体を私の方へ少しずつ寄せて来た。私はデスクでコーヒーとパソコンを交互に見つめながら、話半分に聞いているふりをしていた。「大学三年生の爽やかイケメンは得だな」と思った。どんなアホな話をしても、愛らしく見えるのだから。若さを消費する方法に、個人差はある。どうやら彼は貴重な一日を、冷蔵庫に

【小説】夜の美術館

夜の美術館に取り残されたのは、どうやら私だけじゃかったらしい。 「お前、佐藤れな?」  声…

綾部まと
10か月前
16

【漫画原作】Darker Banker 第二話

二話(水瀬視点)【広尾小学校 地下廊下 階段前】 「うわ!」  勢いよく振り返ると、 呆…

綾部まと
10か月前
10

【漫画原作】Darker Banker 第一話

あらすじ銀行員の立花は取引先の区役所の職員から、小学校で起きている怪奇事件を解決するよ…

綾部まと
10か月前
15

自殺をしてみた(おわりのはじまり1)

私は遺書をリビングの机に置いた。それに背を向けて、足早にベランダの縁まで歩いていき、はる…

綾部まと
2年前
8

密告の密告

私は理屈の上ではストーカーは良くないと考えていた。しかし、阿部凛から頼まれては断れない。…

綾部まと
2年前
9

【小説】銃とチョコケーキ

最初の弾丸が胸に当たった瞬間。 私はトシ・ヨロイヅカのバースデーケーキのことを考えた。 …

綾部まと
1年前
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【小説】テレビ塔の嘘

嘘は良くないと、理屈の上では分かっていた。 「A社の部品がテレビ塔で使われるみたいです」 中海銀行名古屋支店のオフィスで、私はアオイさんに話しかけた。彼は法人営業第二課の先輩だ。来週頭に東京本部への異動が決まっている。私は続けた。 「今日の業務後、一緒に見に行きませんか? A社、アオイさんからの引継先ですし……」  いいよ、と彼は快諾した。彼は二十八歳で美男子だ。銀行員にしては珍しい長めの茶髪、少年のように輝く大きな目。白いシャツからは逞しい小麦色の腕がのぞく。私は偽りの笑