「何も学ばない」を学んでみる
「また出たよ、1月恒例のお題が……」
そう思った人も多いのではないだろうか。今回の「今年学べたいこと」のように、「今年こそ」系は1月には多く見かける。
少しだけ思い返してほしい。果たして「今年学びたいこと」に掲げたことが、「今年学べたこと」として、年末に振り返ることができただろうか。
私の経験から話すと、ほぼない。
1月に立てた目標なんて、きれいさっぱり忘れているからだ。
じゃあ、目標を立てなくてもいいのか。それはそれで寂しい気がする。一方で目標を叶えることを全てにしてしまうと、途端に人生は息苦しくなる。
そんな時は岡本太郎である。困った時はだいたい彼が答えを持っている。
ここで注目したいのは、「夢を叶えた」とか「勝ち取った」とかは一切言っていないことだ。その過程こそが、重要なのだ。
例えば、受験勉強である。浪人して第一志望に落ちたとする。でも浪人時代にかけがえのない友人(社会人になってからも意外と長続きする)を得て、半分ニートのような期間を過ごすことで、学校でも社会にも属さないことが怖くないメンタルの強さを見つけた人もいたのではないだろうか。
自己肯定や自己受容に走るわけではない。そんなキモいものは、宿命的にダサい目を経営者(笑)が主催する、オンラインサロンにでもやらせておけばいい。
だから、達成するかしないかはさておき、とりあえず目標を立てた。
「今年は何も学ばないことにする」。
我ながら、天邪鬼な性格だなと思う。意識が高い社会人が集まるnoteには、英語とか、ダイエットとか、コーヒーほにゃららの(お金を払えば取れるような)資格を取るとか、そういったものがあふれてるんじゃないかと思う。
でも、頑張り続ける人生に、うんざりしてきてる人も多いんじゃないだろうか。もう必要に迫られて、何かを学ぶことに疲れた。そもそも、何かしなきゃいけないのか? 今のままではダメなのか? 「これを学ばなきゃ、やばいな」と思ったら、学ぶことにすれば良いのではないか。
だから、私は率先して、「何も学ばない」をしてみようと思う。行きたくない誘いは行かない。やりたくない仕事はやらない。私はほぼフリーでやっているから、それだと限りなく収入がゼロになるのだが。そうしたら生活コストを減らせばいい。
私のささやかな趣味といえば、ゲーム『ポケットモンスター』のジムリーダーであるアオキさんの推し活だけ。彼についての動画を見たり、二次創作の小説を読むことだ。他の人からどう思われるかはさておき、実にお金がかからない趣味だ。
もうすぐ30代後半に差し掛かろうとしている。高校受験、大学受験、メガバンクでの会社員生活、経済メディアへの転職、3人の子供の出産と育児。怒涛の人生を送ってきて、少し息切れしているのかもしれない。
空いた時間は、SNSでバカみたいにつぶやくのではなく、あえて何も呟かないようなことをしようと思う。面白くもない本を読んだり、有名でもない場所に行ってみたり、何も得るものがないかもしれない。ただポケットモンスターのアオキさんについて詳しくなって終わるだけかもしれない。
でも、そんなもので良いのだ……まだそう思えない自分がいるからこそ、ここに書いているのだろう。今年の学びたいこと、それは何も学ばないこと。さて、12月にどうなるやら。
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