『クリスマスの翌日』
12月25日が終わり、人々はお正月の準備に取り掛かります。
新しい年を迎えるワクワクで、世界中のすべてがスピードアップする気分です。
クリスマスはまた来年のお楽しみ。
もみの木は飾りを外されて、なんだか恥ずかしそうで少し寂しそうに見えます。
さて、サンタクロースは一年に一度の大仕事を終えて
久しぶりに朝寝坊をしてしまいました。
「ホーホッホー。朝の10時じゃないかあ。こりゃあ眠ってしまったなあ」
いつも朝の6時には起きているサンタクロース。
4時間も寝坊するなんて、よっぽど疲れていたのですね。
辺りは静かです。
トナカイや妖精たちも、まだ眠っているのかもしれません。
だってクリスマスまでの1週間は、ほとんど眠っていなかったのですから。
雪景色の朝は音がすべて包み込んだように静かで幻想的で、暖炉の火がはぜる音と自分の鼓動の音がはっきりと交互に聞こえます。
窓の外ではダイヤモンドのように輝く雪の花びらが、キラキラと
舞い踊っていました。
トントントン。
ノックの音が聞こえました。
「ホーホー。どうぞー」
「サンタさん、おはようございまーす!」
ドアが開くと、ずらりと並んだ8頭のトナカイたち。
そして先頭のもう一頭はもちろん赤鼻のトナカイ『ルドルフ』です。
「クリスマスはお疲れ様でした。本当、今年も子供たちが喜んでくれて
嬉しかったです」
「ホーホッホー。みんなで頑張った甲斐があったね。みんなありがとうね」
「それが、ワタシタチは一軒だけプレゼントを渡しそびれてしまいまして」
「えっ?それは大変だ。その子はきっと今頃泣いているぞ。どうしよう。
私としたことが、あれだけリストを何百回も見直したのに。本当だとしたらこんなことはしていられない。すぐに準備して、みんなすぐに出発だ」
トナカイたちは顔を見合わせていました。
なんだかクスクスと笑っているではないですか。
「ダイジョウブですよ。渡しそびれていたプレゼントは、ここにあります」
「はい、サンタさん。いつもプレゼントをあげるばっかりで、もらっていないでしょ?」
サプラーイズ!
トナカイたちの大きな声で、サンタクロースはもう一度目を覚ましました。
「サンタさん、メリークリスマス!いや、アフタークリスマス!
お疲れさまでした!」
ルドルフは、大きなプレゼントをサンタクロースに手渡しました。
「これはひどい。プレゼントもお前たちの顔もはっきりと見えないぞ。
老眼が進んだな。メガネを作り直さなくちゃ」
サンタさんの目はぼやけて歪んで、そしてじんわりと温かくなるのでした。
寒い寒い、12月26日のお話。
おしまい
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