『赤富士さんとサーファー犬 ~素敵な錯覚~』②
「この間、渡り鳥さんが『ウミ』という、湖よりも大きい
水たまりについて教えてくれました」
また始まったと思いましたが、太陽さんはやさしくうなずきました。
「その『ウミ』とやらでは波の音が音楽のように聞こえ、色とりどりの魚たちが踊るように泳いでいるのだとか。夏、に行きたくなるのだそうです。まさに今」
目をキラキラ輝かせた赤富士さんは、ニヤニヤしています。
「まさか、海に行きたい、とか言うんではないよね?」
太陽さんは尋ねました。
我に返ったように赤富士さんは太陽さんを見上げて、
「そのまさかです」
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