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「ラ王」の担々麺に本気を出す。

時代が進むにつれ暮らしがよくなっている、という実感がちっとも湧かなくて困る今日この頃(自分の脳みそのせいなのかもしれないけど)。だけどちっちゃい頃からあらためて顧みると、明らかによくなったものもある。そのひとつがインスタント麺の技術的進歩だ。

最近のインスタント麺、めちゃクオリティ高くないですか?

たとえばまだ自分が食べ盛りの学生の頃は、インスタント麺はどれもせいぜいジャンクフードの域を出ないものだった気がする。しかしこちらが社会に出ていろいろ苦い失敗やしょっぱい敗北感なんかも味わってゆく傍らで、インスタント麺は静かにぐんぐんクオリティを上げていったのだ。

デカかったのはやっぱり10年前の、東洋水産からの「マルちゃん正麺」シリーズの登場、いわゆる「マルちゃんショック」であることは言わずもがなである。あの麺のぷりぷり食感は革新的以外の何物でもなかった。そこから群雄割拠のインスタント麺戦争は新たなフェーズに突入し、各社技術革新を急いだ。そして日清「ラ王」が真っ向から勝負をかけてきた。今に至るもその戦火は止まず、うちの台所の棚の中でも激しい陣地争いを繰り広げている。

でもまあそのあたりのことは詳しい人にまかせておくとしよう。今日ここに記すのは、どこの誰かも知らないおじさんが日清ラ王の担々麺に本気を出して向き合った記録である。

今までこういうのって需要ないだろうなと思って、本腰を入れて作ったごはんのことしか書かずにきたけど、普段はふつうにインスタント麺好きでジャンジャン食べているし、台所にはつねに数種類ストックしているのだ。カップ焼きそばなんか絶対欠かさない。

麺とスープは非の打ちどころがない。

本当に自分が幼い頃と較べてインスタント麺の立ち位置は変わった。昔馴染みの「チキンラーメン」「カップヌードル」「どん兵衛」「サッポロ一番塩ラーメン」なんかはたしかにおいしいし今もしょっちゅう食べているけど、あれは「ああいう食べ物」としておいしいのであって、よくも悪くも自分の味覚地図の中で独自の住所番地を確保している。しかし昨今のインスタント麺は違う。「ワシら、お店のラーメンと刺し違える覚悟でっせ」という気迫を感じる。実際自分のような単純な舌の持ち主にとっては、外食のラーメンとほぼ遜色ないところまできていると思う。

とはいえそれはあくまでも麺とスープという構成要素のみに関しての評価であって、碗に移したときの完成度という点では大きく劣る

だって、具がないんだもの。

これがよしんばチキンラーメンならば具なんか要らない。刻みネギに落とし玉子なんかあれば極上の仕上がりである。それはなぜなら「そういう食べ物」として認知されているから。けれどお店のラーメンと向こうを張るには同じくおいしい具がないと、なんか物足りねーなー、ってなってしまうのである。

殊にそれが顕著なのがこの日清ラ王「担々麺」なのだ。辛さや胡麻のまろみなんかはもう少し欲しいところもあるが概ね麺とスープは及第点。むしろ乾麺と粉末スープの素でこれってすごくね? といつも舌を巻いている。

だけに。

それだけに、具がほしい。惜しい、って思ってしまうのである。

本場の担々麺にはスープがない、汁なし担々麺だ、という話をよく聞く。それはいい。汁なしでも具はあるからさみしくない。でも具なし坦々麺はさみしいのだ。

なので、全力で具を載せてみた。

担々麺02

まずは何と言っても欠くべからざる具は肉味噌である。生姜、ニンニクを刻んで輪切り唐辛子とともに多めの油で炒め香りと辛味を引き出し、豚ミンチと刻んだ玉ねぎ、椎茸を炒める。醤油・紹興酒・甜麺醤・豆板醤で味付け。

担々麺03

青菜も欲しい。幸い、昨夜作った縮みほうれん草の胡麻ナッツマヨ和えがあった。過去の自分に感謝。

担々麺01

あとは刻みネギと、麺棒で叩いて細かく砕いた落花生&カシューナッツ(昨日の胡麻ナッツマヨ和えの残り)。

おおー、ビューティホー! 挺好看!

そうそう、粉末スープにシビ辛風味をブーストしたかったので、花椒をあらかじめフライパンで乾煎りしてすり鉢で摺ったものを隠し味に入れてある。そのへんは抜かりないぜ。

ここまでやっても正味の調理時間は30分を切るのだから(ほうれん草は作り置きだけど)やっぱりインスタント麺って素晴らしい。

味わいはもちろん保証つき。

繰り返しになっちゃうけど最近のインスタント麺、安くて手っ取り早くおいしい。今日は妻がお昼早めに出なければいけない日だったからほんと助かった。

肉味噌が次第にスープに溶けて濃厚さを増してきたところに、ちょっぴりごはんを入れて食べたいなと、冷凍の黒豆おこわもレンチンしたりして。

げふー。スープまで残さずいただきました。これは午後の効率落ちるわー。

まあいいか。

インスタント麺でもきちんとそれなりのお昼ごはんになるってところは、少なくとも昔よりいい時代になったのかも。

ごちそうさまでした。

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