真夏日の、ごまだれ担担サラダうどん。
何だか忙しいのだ。困るのだ。イヤなのだ。働きたくないのだ。
まあそれはそれとして、この数日妻がもらってきた食材でにわかに冷蔵庫やキッチン周りがパンク状態になり、対策に追われている。
内訳は手打ちうどんと野菜である。
うどんのほうは妻の友人夫婦からのいただきもの。男性のほうが知る人ぞ知る「カリスマうどん作家」のような人で、折にふれあちこちで極上の手打ちうどんを打ってふるまっているのだが、その大人気うどんをいきなり「少食な人の二人前×10」も送ってくれたのである。
嬉しーい。冷凍庫がみっちみち。
野菜は例によって義母からだが、妻の誕生日が近かったということもあってか、高知弁で言うと「こじゃんと」、遠州弁で言うと「ガンコに」いろいろ持たせてくれた。時期遅れのタケノコなんかたぶん5本じゃきかないな。冷蔵庫の真ん中でトンネル開通工事に使う巨大シールド削岩機みたいに束になって鎮座している。
そんなわけでせっせとうどんと野菜を食べなければならない。皆さんご存じのアレで収入が減った今は食費が浮くのでありがたい限りだけど、この食材をこうしてこれに使って、これはこうして、とパズルのように頭脳を回転させねばならない。
まあでも、野菜とうどんって言ったらまずストレートに考えてサラダうどんだな。そうだ、マヨめんつゆじゃ芸がないしごまだれにしよっか。じゃあ肉味噌も炒めて担担麺風にしようっと。それが本日のランチのプラン。
肉味噌に使う挽き肉のストックがなかった。切り落としをさらに切り落とす。
冷凍庫に豚や合挽きのミンチが一個も凍っていなかったので、代わりに切り落としを細かくして使うことに。うちでは使い勝手を考えて切り落とし肉は薄べったく広げて数枚重ねた状態で凍らせているので、凍ったままザクザクと刻んじゃうことができる。かしこー。
醤油と紹興酒をひと垂らししたらもうあとはお決まりの手順。刻みニンニクと生姜、唐辛子を熱したところに投入して炒める。
肉汁が透き通ったら豆板醤、甜麺醤を鍋肌でひと炒めしてからめる。化粧油も忘れずに。八角や五香粉を振っても本格的になるけど、うちは奥さんがキライなので入れない。
キュウリも刻んだ。サニーレタスもちぎった。後は極上手打ちうどんをきっちり規定時間ゆでて冷水で締めればできあがり。
ごまだれをなぜかずっと遠ざけていた。
実は長いこと、市販のごまだれを敬遠していた。なぜか自分でもよくわからないけど、自己分析するに、あの使いみちの少なそうな感じが苦手だったんだと思う。
なんでしょうか、ドレッシングとか合わせ調味料はできるかぎり基本の調味料から自分で調合したい人で、この料理専用、というようなものをいちいち市販を買って揃えたくないのよね。手抜きに感じるのもあるし、毎回お仕着せの味にまとまっちゃうからつまらない気もする。なんか自由がない気がしちゃったんだな。
そんなこと言ってめんつゆは切らさないのに勝手な心理ですよね。
今回、生野菜を新鮮なうちに変化をつけて毎日わしわしと食べてゆくにはやむをえない、と覚悟を決めてごまだれを購入。ダーッと全体に回しかけてズズズーっとすする。
あーちくしょー、手堅いなあー。ごまの旨味で全部堅実にまとめあげてきやがるなー。さっぱりしていてコクもあり、栄養価も高くて午後からもがんばれそう。あんまりがんばってないけど。
もらってきた国産ニンニクも地味にパンチ強い。
計算外だったけどいいほうに転んだのが肉味噌。細かい粒の挽き肉だとうどんをすするときに気管に誤って入ってゲホッとむせることがあるけど、あらみじんにした切り落とし肉ではその心配はほぼなくなった。かと言ってうどんにからみにくいということもない。今後も挽き肉の代用はこれでじゅうぶんできるな。ただし豚に限るけど。
そして、真打はやはりうどん。この人の打つうどんは市販のパックうどんより少し細めだけどキリッと角が立っていて、つるっと喉ごしよく、それでいてかめばもっちり、その細さからは想像できないコシがある。実に官能的うどんなのだ。
近畿地方は梅雨の中休み、という言葉が白々しいほどきっちり晴れて気温30度を越す真夏日になったけど、精力つけて乗り切れそうな、いいお昼ごはんでした。
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