摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~「痩せたい」と「食べたい」のその先へ~688
私は、何もかもを脱ぎ捨ててやり直したかったけれど、たとえそうならなかったとしても、それでも今出来ることを一つ一つやっていくしかないのではないかと、思っていた。
週末のお昼前、電車の中はそこそこ混雑していた。みんな、どこかへ出かけるのだろう。私のように、あてもなく電車に乗っている人はいないのかもしれない。
誰かと会う約束や、何かのイベントに参加するとか、あるいはショッピングを楽しむのかもしれない。それとも、どこか有名なお店でランチを食べるために何週間も前から予約をしている人だって、いるだろう。
私には何もなかったけれど、もうそういうことは気にしないことにした。
私には何の予定もなかったけれど、そういうことは気にしないと心に言い聞かせた。
……そう、結局のところ私自身は何もなくても、誰との予定もなくてもそんなに気にならなかった。ただ、何もないことを気にする人たちがいるのではないか、ということが気になって、そしてそういう人たちを気にする自分が気になるのだった。
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