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大仏開眼への道13~晩秋×黄昏ホルモン

10月10日は目の愛護デー

だから何だというわけでもなく、10月末いつもの眼科診察の日がやってきました。8月の終わりに黄斑浮腫の薬を注射して以来だったので、この2か月でどうなっているのかとても心配でした。薬の効果が切れて悪化していたら注射。今回は打たずに済んだとしてもその次は…大人だって子どもだって、誰だって、眼に注射を打ち続けるなんてイヤイヤ状態になるはずです。
診察前の視力検査は近視用レンズをかけて1.0でした。きょうの調子はまずまずです。
眼圧と眼底写真を撮って資料がそろったところで眼球防衛隊N医師の診察開始です。
N医師「久しぶりですね どうですか調子は。ちょっとみせてくださいね」
診察台に顎を載せると強烈にまぶしい光が目の中に差し込みます。
N医師「ん-前と比べて良くはなっているけれど…いや悪くなってるのか、どっちかなこれ」
ええ?良いのか悪いのか、N医師それはどういう意味ですか?
N医師「前回の眼底写真と比較するとね、今回の方が浮腫の山は低いんだけどね 見えるかな」
パソコンのモニターをくるりと私に向けると山岳地帯の地形図のような2枚の眼底写真を見せてくれました。
「2か月前は山の頂が険しいでしょう。こっちの右側が今回の写真で、浮腫の山がなだらかで低くなってますよね。これはさらに低くなっていく途中なのか、逆に平らだった地面が再び盛り上がって来ているのか」
そうか、2枚の写真を比較しただけではどちらが高いか低いかだけで、2枚目のベクトルが上向きか下向きか判断できないというわけです。途中経過がもう1枚ないと、どちらの方向に進んでいるのかわかりません。
N医師「いま注射すべきかというと、そこまでではないのでね。変化を確認するためにきょうは注射せずに少し間を置いてまた見せてくださいね」
そう言ってN医師は12月の末に診察予約を入れました。
私は注射を打たずに済んだことで少し浮かれた足取りで家路につきました。

女性ホルモン追加して~!

眼科の翌日は朝8時半から血液検査、そのあと内分泌内科でM部長の診察です。
検査の結果HbA1cは6.6。前回と比べるとまあまあの数字でした。しかし。
M部長「前からお伝えしていますが、悪玉コレステロールが良くないですね。しばらく様子を見てきましたが、この数字が定着して続いているのでもう看過できませんね。薬飲みましょう、悪玉コレステロール下げる薬」
この1年ほど肝臓の数値が悪いと指摘はされていたのですが、なんとか逃れようとのらりくらり、言い訳ばかりしていました。しかしもう逃げられませんよ、悪玉コレステロールを下げる薬を飲まなければならない時期が来ていますというのです。
M部長「前回は新型コロナウイルスに感染した後でしたからね、そのダメージも考慮して見逃していましたけれどもね。このままだと動脈硬化の危険が避けられないから脳梗塞とかになったら大変ですからね。薬で予防できるものは薬を使いましょう。元気な老後を送るためにもね」
ああ、いま私の目の前に、老後の私が無様な姿で転がっているのがはっきりと見えます。
私「もう観念するしかないですか。先生、1度この薬を飲み始めたらずっと続けないとだめですか」
医師は私の往生際の悪さを見抜いてこう言いました。
M部長「最初は普通の人の半分の量にしましょう。どんな薬にも副作用はつきものですから、発疹が出たり筋肉の痛みが出る人もまれにいるので、まず半分の量を飲んでみて。次の検査で結果を分析してどれだけ効果があるか、副作用が出ないか、それでまた方針を決めましょう」
そう言われてしまうと私は薬を拒否できなくなってしまいました。
私「先生、その悪玉ってヤツは食事のせいですかね」
M部長「いや血糖値も下がってきているし血圧も100-60で問題ないから食生活ではないかな。子宮体がんの手術をしているし年齢的なこともあって女性ホルモンがどんどん出にくくなって減って行くから、これからは男性みたいに動脈硬化が進みやすくなりますよ」
へえ、そうなんだ。男性ホルモン多いと動脈硬化の危険が高くなるのか。わたしの体は女性ホルモン減っているのか。ああ、喉から手が出るほどホルモンパワーが欲しい。
そういえば今年の酷暑の夏、汗をかくと枕やTシャツからおじさんのニオイがしているようで気になっていたのです。今までの汗とは全く違うニオイ。女性ホルモンが減って男性ホルモンが増えたから…M部長の話とニオイの記憶が結び付いた瞬間でした。
M部長「動脈硬化や肝臓、腎臓も弱って人工透析になったら大変よ、そもそも1型糖尿病だからいろんな合併症が起きる可能性が高いからね」
もはや食事制限をしても、運動をしても、自分の努力だけでは老いてゆく体はコントロールができないお年頃なのです。薬の力を借りながらでも、少しは老後を楽しむ余力を残しておこう。悪玉コレステロールってやつらを蹴散らすために、ちょっとまじめに薬を飲むことにします。
老化には抗えずとも我が魂はギラギラと燃えている。朝日じゃなくて晩秋の夕陽のごとく…同世代ファイト。


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