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地獄のバス通学と痴漢と腹痛。とにかく身体のあちこちがおかしくなった時。頼りになるのはやっぱり同期のアイツ。

※めっちゃ吐いたりしてます。
苦手な人はブラウザバック推奨。

3年の春 無茶苦茶体調が悪い
常に吐き気がする
別キャンパスで休んでいると
もうすぐ付き合うseason2に話しかけられる

「おっ!久しぶりやん」
「時間割みたら俺と結構被ってるのにキャンパスにもバス乗り場にいないからどうしたんかなー?って気になってさ」

「なぁ、なんか痩せた?顔色悪いよ、チョコ食べな〜」

「食べれない」

「なんで?」

「食べると、しんどくなるから」

「どういうこと?」

時間割は部に提出する
それを管理するのが彼だ

「同回生の時間割、勝手に見るなよ」と笑う
もう練習日程くらい自由に決めていい

「なぁ、こっちのキャンパスまでどうやって来てるん?」

「初めはバス乗ってたけどギブ。今はバイクか電車通学」

「まじで?なんで…バイクってそんな危ない事しないでよ」

バイク登校は去年までに死亡事故が多発した
こっちのキャンパスでは正式に禁止されている

何度目かで警備員さんに見つかり学生証をむしり取られて、ゼミ担当の先生に報告され正式に警告されてしまった。

電車の方は毎朝ラッシュの時間帯で、痴漢が多発していた。高確率で朝からゲンナリする。諦めて尻をもぎもぎされていた。

毎日毎日、別人だが繰り返される痴漢に怒りが頂点に達した日がある。
尻をつかんでいる手がジーンズの中に入れられて、我慢ならず手首を掴んで防犯ブザーを鳴らした

満員電車なのに一気に人波が引き、犯人の顔をはっきり見て「気持ち悪い、やめてください」と警告した

「違う、俺じゃない」とワーワー騒がれる

「エロい服装しやがって」
「そんなんだから誤解されるんだろ!」

「うるせぇジジイ!ジーンズにパーカーだろうが!どこがエロいか教えろや!糞が!お前の性癖なんか知らねぇわ!次で降りろや。」

車掌室まで引っ張る。握力メスゴリラ。
車掌側は警察に届けるのも時間がかかるし、本当にこの人なのか?と確認される。
冤罪だったら責任取れる?と言われてカチンときた。

しかし授業で『それでも僕はやってない』を観たばかりだったので何だか慎重になる。

「名刺だせ。電話番号も教えろ」
次やられた時また掴んだ手首がお前なら迷わず警察に行く。だから今回は届けない。そう言って見逃す事にした。

…しんど。
1限に遅刻してまで何でこんな目に遭わないといけないの。生尻触りやがって…今すぐに洗いたかった。

痴漢の生態を調べてなるべく痴漢に遭いにくい場所や時間帯を知る。
結局始発に近い時間帯で通学していた
眠いし、しんどかった
着いた時もちろん大学はまだ開いていない

学校の近くの公園で勉強していた
寒いし、なんだか虚しかった

あと性的なものに激しく嫌悪感を抱くようになった


そんなことがあったと彼に話す

「だからバスには乗ってない」

「なぁ、ソレめっちゃ辛くない?なんで言ってくれないの?」
「バイクは絶対やめて欲しいし、電車は時間もかかるし痴漢被害もめっちゃ嫌だよな」

「うん、もう本当にしんどい。」
「単位はこのシーズンで卒業に必要な分は揃うはずなのに登校できないならもう無理だ」
「短期間のことだし、こっちら辺にアパート借りて一人暮らしする案も実家と相談してる」

彼はしばらく考えてファイルを出す
「これ見て。俺の時間割。」

「ん?なんか授業めっちゃ多くない?」

「めっちゃ単位落としてるからね、だからこの時期もほぼフルで入れてんの」
進級できたの奇跡だね
彼の学部には必修はないのか?

「これ、就活の時期大丈夫なの?」

「んー多分ね!まだ分かんないね」
就活の面接で授業抜ける時は公欠になるからいけるんじゃね?確かに。


本題なんだけど
「それでこっちがお前の時間割ね」

「ここの日をさ、1限俺が早く来て、この曜日2限待ってくれたらあとは自然にバス時間全部一緒に乗れる」

「本当だね」

「バスならキモいおっさんも痴漢もいないよ?
1時間くらいだし、俺、毎回隣に座るよ」

「…」

「そんな顔すんなよ。多分これが1番イイ方法じゃない?どんな状態になっても助けるから、とりあえず今日の帰りで一緒にバスであっちのキャンパス戻ろう?」

「…マジで言ってる?」

「大丈夫だって!お前さ、多分心理的にバスが苦手って思い込んでる所あると思う。安全だって体感できたら落ち着いて乗れるようになるよ。」

「早く来たりしてもらうのは悪いよ」

「いいよ。図書館で課題出来るしサボりがちな俺には逆に有難いかも〜」

「じゃぁ4限終わったらロビーで。」
授業を受けながら、アイツ時間割みて色々考えてくれたんだなと申し訳なくなる。

全部用事は終わって
「お疲れ〜帰って練習行こ〜」と集合する。

乗り場で待っているとバスが来る
一応前の方に乗れた
「タイヤの上じゃないしそんなに揺れないよ、大丈夫」

もうバスの独特の匂いでしんどい
動いてないのに「降りたい」と訴える

「大丈夫、音楽でも聴いて空でも見てなって」
「怖い、やっぱり無理…降りる」
「落ち着けって。慣れてないだけだから。」

ギュッと手を繋がれる
あったかい
「恥ずかしいからやめてよ」
と言って離してもらう
びっくりした

「怖くないから。どんな状態になってもフォロー出来るから落ち着いて」

「うん」
バスぐらい1人で乗れると自分で暗示をかける

「まぁ、あれだけ、体調悪くなるって知ってるから怖いのは分かるよ。でも大丈夫だから」

実際は1人じゃないし1番ダメな状態を知ってる人が付いている


手を握って起こす
30分くらいで「もう無理」と伝える
紙袋にビニール袋をいれてくれていた
「用意してるから大丈夫」

いやだと首を横に振る
「分かってるよ。ぶちまけるよりマシくらいに思ってて」

残りの時間、無心で耐えきった

バスから降りて
「もう無理ッ…!」と言って
停留所から1番近いトイレに向かって走る、荷物は彼に預けた

個室に入って荒い息が整う前に便器の前に座り込んでパシャッ!!と水ばっかり出てくる

少しして彼が入ってきて「大丈夫かー?ちょっと開けてー」

へたり込んだまま鍵を開けて「ねぇ、ここ女子トイレだよ…」
「この歳になったらもう気になんねぇよ」
「まだ出そう?」背中をさすってくれる

首を縦に振って便器を抱える
バシャバシャとやっぱり水しか出てこない

「なぁちなみに朝飯は?」
「水」

「昼飯は?」
「炭酸水」

「全部水じゃねーか」笑

「まぁでもちゃんと乗れた、何度も言うけど段々と慣れるから大丈夫だ」

「あ、練習始まるか、ちょっと連絡するわ」
電話相手は女子の同回生、出席管理をしている。

「もしもし?ごめん今こっちのキャンパス着いたんだけど、りょうとバス一緒でさ…あぁ、うん。そう、めっちゃ吐いてる。もう動けそうにないから休ませてやっていい?」

「それはいいんだけど。大丈夫なの?ちゃんと歩けそう?道端で倒れない?アンタ責任持って送って行ってよね」と電話口から聞き慣れた声が聞こえてくる


「じゃぁ行こうか、立てそう?」
「うん」

自然に荷物はもってくれている

「とりあえず俺の家の下宿でいい?
医務室よりマシだろ?
寝てる間は俺練習行くし今日バイトもないから
好きに休んでてくれていいよ」

「…まぁいいか、いつものことだし」

ちなみにここから徒歩5分だ
部屋に入って適当なジャージとTシャツを用意してくれる
「外着とかベルトとか締め付けしんどかったら着替えて休めよ」 

「なんかあったら電話して」と言いながら何かを思い出したのか風呂場へ行き洗面器にトイレットペーパーを敷いたものを用意してくれた

「もし汚しても無理に片さなくていいからそのまま寝てな」

じゃぁ行ってきます

「うん、行ってらっしゃい。あのさ、帰ったらちょっと大事なこと伝えたい」

「分かった。」
あ、寝れなかったら漫画でも読んでろよな
そう言って鍵を閉めていった

そう言って借りたジャージに着替えてふかふかの布団にくるまって眠った
まだ酔っていて視界がフワフワする
横になる前にバスタオルを敷いてくれた

お茶を少しずつ飲んでうつらうつらしていたら、やっぱりまたすぐ気分が悪くなる
寝起きで思うように身体が動かず洗面器を使う

そのままでいいからな
…と言われていても見られたくない。
トイレに行って処理してまた横になる。


電話がかかってきた
「練習終わったから帰るけど晩飯どーする?
何か食べれそう?」

「紙パックの…」

「りんごジュースな」笑
「あとプリンならいけるか?」

うん。ありがとう。と言って電話を切る。


ただいまー!
と元気いっぱいで帰ってくる。

「あれ?洗面器」ペーパーがなくなってることに気がついたらしい
「ごめん、間に合わなくて使った」
「いいって、しんどかったな」

「とりあえず水分摂って」とリンゴジュースをくれる。

俺は今日は珍しく自炊だよ〜。
肉うどん作っている。

もう起き上がれるようになっていたので
「ずいぶん機嫌がいいね、いいスコア出たの?」と話しかける

「別に〜。これから半年毎日のように一緒に通学嬉しいだけ〜」と言いながら肉を茹でている

「迷惑かけるのに?」
「もー慣れました」

「美味しそう。ちょっと食べたい」

「おっ、食べれそう?良かった。体力戻さないとな。もうちょい元気になったら焼肉行こ?食べ放題のとこ」

「いいよ、今回のこと本当に感謝してる。奢る」
「同期なんだから割り勘でいいよ」

「私の方がちょっと早く産まれてるし、おねーさんに任せなさい」
「数時間だろ?」

彼と私は誕生日が同じだった
血液型も食の好みも漫画の趣味まで似ていた
違うのは性別だけだ

「そういえば話って何?」
「うん、前話した先輩ともう実質別れてる」
あとは鍵とか返すだけ

実質?まぁ深すぎる話なので省略した
夏前くらいには全部済むと思う

「分かった、期待して待ってる」
「とゆうかあの日からずっと待ってた」

「気分大丈夫?食べれるだけでいいぞ」
いい匂いがする
久しぶりの固形物を食べる
何週間ぶりかな

「水とかゼリーばっかりだったから
何かすごく美味しい」

「よく噛めよ」

いつもの1/3くらいの量で箸がとまる
もっと食べたい気持ちはあるのに身体が拒否していた

「ごめん、残してもいい?」
「いいよ。俺食べるし。よく食べた方だよ、えらいえらい」

子どもみたいに褒められる
恥ずかしい

少しして胃が異常に痛む
心配をかけるからそれは伝えずに
ちょっと横になっていい?と布団の中で身体をくの字にして耐える

ちょっと洗い物してくると部屋から出ていく
IHコンロでお湯を沸かしている

熱湯を入れられる容器にお湯を入れてきて
タオルを巻いて渡してくれる
「ほら、お腹温めな。久しぶりに固形物入れたからかな、痛むか?」
ぬくい、ありがとう…実家の猫抱いてるみたい

「ごめんな、ちょっとデリケートなこと聞くけど、もしかして女子のアレ?普通の胃痛?飲む薬変わってくるから…」

「普通の胃痛の方だよ、予定日もうちょっと先」
「気ぃ使わせてもてごめんね」

当時、生理が重くて練習中もよく腹痛と貧血を起こしていた。
痛みで動けなくなったり、出血量が多くてかなり気まずい思いもした


胃薬をもらって飲む
痛い…痛いと声が出る

「効き始めるまで少し時間かかるからなぁ」
「大丈夫、大丈夫。もうちょいで楽になるよ」

「おかあさんみたい、安心する」
フッと意識が途切れた

次に起きた時には21時頃だった
薬が効いてきてかなり楽になる
「おっ、起きた」
彼は珍しくメガネをかけて課題をやっていた

Excelに手こずっていた

課題文を見て基本例題か…と懐かしく思う
「どこでエラー出てるの?」と聞く
この範囲を選択して出力しようとするとエラー文が出ると頭を抱えていた
何度も同じ操作をしてエラー音が出ている

「あのね、エラー音が出た時は連打してもダメだよ。パソコンが違うよって教えてくれてるの。間違いを見つけてあげなきゃね」

選択している範囲調べるキーを押して間違いや余計なセルが入っていないか確認した

あ、あった
ここの余分に結合されてる
消したらいけると思うで
やってみて

「お、おう」と言い成功した
「良かったね」

「何でできんの?これ専門学部の課題だぞ?」

「基礎じゃん。高校でそうゆうのに特化した学部で資格も持ってる。大学でもその資格のおかけで単位は授業と試験免除で認定単位もらってるよ」

「まじか…認定単位って都市伝説やと思ってたわ。エリートじゃん。また教えて?」

「うん、いつでも聞いて」
分かる範囲で教えるね  

これくらいいつも助けて貰ってる分に見合わないけどねと笑う


泊まってく?何もしないよ。
彼の何もしないは本当に何もしないことは知っている。俺、床で寝れるから。

「それ何度も聞いたよ。うん、そうする」
「ねぇ、一緒に寝る?」

「ダメ。明日は俺2限からだから。お前休みだよな?朝一旦帰って練習来いよ、1回生の面倒もちょっとは見てやって。」

「ちょっと癖がある子もいるし注意できるのお前くらいだろ」

「どんな癖よ?」

「男子の方、経験者でスコア低い先輩に明らかに態度悪い」

「え〜…2.3発しばいたらよくない?」

「今の時代ダメですぅ」

「まぁ、どうしたらええか考えとくわ」


深夜、別れた彼と揉めた原因の夢をみる
「そんなややこしい血筋の家とはアカン」
耳にこびりつく差別用語

夢の中であぁーー!!と言って飛び起きる
嫌な汗をかく

痛い…お腹が痛いし何だか気持ち悪い
洗面器に吐いたら起こしちゃう

なんとか同期を起こさないように
静かにキッチン側に移動して
そっとトイレにこもる

完全に出せば楽になるはずと何度か水を流している音で彼を起こしてしまった

「大丈夫か?開けてい?」

「ダメ…お腹と胃が痛くて…その下してて…」

「分かった、湯たんぽ替える準備してる。あっちの部屋にいるから気にせず使って」

めちゃくちゃ下してて止まらない
吐き気も強くなってきて焦ってトイレの中にゴミ箱ないか探す

無い
アレは男子学生の部屋には無い

もうヤバイ ドアを叩く
バタバタと走ってくる音がして

「どうした?」
「ごめん…洗面器取ってほしい」
「わかった、ちょっと我慢しろよ」

ノックされて「持ってきた、開けれる?」

口いっぱいなっていて返事が出来ない

「開けるぞ」

「ほら、ここ、吐いて」
胃がひっくり返ったのかと思うほど
どんどん出てくる
全然消化出来てない

苦しい、汚い、恥ずかしい
色んな感情が混ざってぐちゃぐちゃだ
「ごめん、せっかく作ってくれたのに…ごめん」

「大丈夫、ちょっとタオルとか取ってくる」
その言葉にTシャツで隠れているとはいえ、下半身なにも履いてないことに気がつく

バスタオルを太腿から上にかけてくれて見えないようにしてくれた

「洗面器片してくるから口ゆすぐのちょっとだけ待ってね」

ビニールをかけてくれていたからか処理も早かった

水を持ってきてくれて
「はい。すすいで。あともし汚しちゃっても掃除するから、お腹落ち着いたら出てこい、横になったほうがいい」

「わかった…」
情けなくて出られなかった

しばらくしてノックされて
「冬用の毛布被っとけ。もどすと冷えるから。あと本当に気にすんなよ。汚れもんは洗えば済むことだし」

「消化の悪いもん食わせた俺も悪い。ごめんな」

「水ちょっと飲むか?」
あと胃薬時間空いてるからそろそろ飲めるからと言う。

痛いは痛いが下すのはちょっと落ち着いてきた

「そっちで飲む」

「分かった。ゆっくりでいいよ。」

いつになく優しい

恥ずかしくて目が見れなかった

眠れないなりに横になれば
疲れで少しずつ意識が薄らいでいく
「一応横向いて寝ろよ」と
寝付くまでずっと背中をさすってくれた

翌朝、頬をつつかれて起こされる
「そろそろ起きろ」
「…うん。」
起きる気配なし

「いいかげん襲うぞ」

「そういうの、やめな?似合わないし
同意は取らないとダメだよ」

ぱっちりと目が開く

「嘘だよ」
「何年も大事にしてきたものそんなことで崩すわけない」

あの時のポロシャツ着てくれてる
すっかり色褪せていたけどいい色になっていた

昨日の洗濯物ももうベランダに干されていて昨日のことは本当だったと急に実感が湧く

その後彼の助けもあり、少量であれば多少食べ物を食べてもバスに乗っても大丈夫になった
本当に慣れてきた

むしろ行き帰りの時間、必ず会えるのがとてもホッとする。

彼のおかげですこしずつ体重と安定を取り戻していけた

1人でも乗れそうだなと思えるくらいになった
伝えると「だめ、一緒に行こう、何があるか分かんないでしょ」と言われる。

必然的に練習場に行くタイミングも帰るタイミングも同じになる。
「なんかあの2人いつも一緒にいません?」と後輩にからかわれていた。

同期の子が「昔からそうだよ。今にはじまったことじゃない。1番仲良し同期じゃない?付き合ってないのにね」と嗜めてくれる。

「正直、羨ましいね。」と呆れつつ見守られていたらしい。

「でも、あいつらすごい大喧嘩したことあったんだよ。しかも殴り合い。仲直りするまでに周りからすごい説得されて最後は2人とも大泣き。今やから笑えるけど」

それはまた別の話

卒業後、仕事の出張で飛行機も1人で平気で乗れるくらいになった。高速バスも平気だ。

あの時、手を引いて大丈夫と言ってくれた彼のおかげだ。無事に単位も取れたしずっと隣にいてくれてすごく頼りになった。

結局4回生の後期日程まで一緒に通学した。

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無印良品のポチ菓子で書く気力を養っています。 お気に入りはブールドネージュです。