ウンコ、バックドロップ
先ほどの出来事である
育児にウンコは付きものである
息子はまだオムツをしている
最近やっと尿をトイレで出来るようになった
だが以前としてウンコは事後報告である
それもウンコサーチ能力が高い私が先に発見する
人よりも嗅覚がいいようです
オムツにしていたので
「替えるよ〜」と
新しいオムツをとりに行って
おしり拭きを用意していると
息子が膝あたりまでオムツをおろして
「ええの、出た」
謎の感想と達成した表情だった
はいはい、見事な一本糞
そこに夫がきて
「オムツ買えよか〜」といつもの具合で
ヒョイと寝かせて足を持ち上げた
ウンコがINしたオムツごと
お分かり頂けるだろうか
ア、アカン!!
膝まで下ろしてることに気がついていない
重力には逆らえないウンコが落下する
予想落下地点は息子の顔
ここからはスローモーションに見えた
夫婦2人で同時に手を伸ばした
私がウンコをキャッチした
初めての共同作業のようだった
ケーキ入刀はしていない2人の悲しい共同作業
自分の息子のウンコなんてただの食べ物のカス
汚くなんてない…
…こともなく念入りに手を洗う
ザブザブ洗っている時に昔飼っていたワンコの
ウンチ処理の時の温もりを思い出した
*
時は遡って今日は例の甲状腺検査で大学病棟へ
夫も一緒に来てくれる
待ち時間が長いんだな
採血でグイグイ血を抜かれてグヘェとなり
検査結果が出るまでまたカフェで待機する
研修医とナースか一緒にお茶していて
明らかに出来ていた
だってデートの約束とかしてるんだもん
キャッキャうふふ
職場恋愛って案外バレバレなんだな
私たちもそうだったのだろうか
初々しくて胸がときめいた
ソイラテうめぇ、ノンシュガー
*
検査結果は散々で
チラージンの効果がほぼ出ていない
まじか、胸がざわつく
一回5000円の採血に懐も痛む
チラージンはチラーミィみたいで好き
薬のシートもピンク色なのよね
色違いじゃん〜
他にこれといって効果の出る薬がないので
少し増量された
*
帰り道に100均へ行く
洗面所の収納に必要なファイルボックスが欲しかった
夫と選ぶ
ことごとく割れる意見
夫はピンク推し
私はブラウン推し
洗面所の流しの扉の色に合わせようよ
とブラウンの意見が通った
夫「え?洗面所の流しの扉?何色だっけ?」
と言っていた
もうすぐここに住んで5年だぞ
しっかりしてくれと笑う
あと日用品や収納グッズを選べるのが
なんだか初々しくて楽しい
新婚時にはお互い忙しくて
ほぼ私が買ってきたり組み立てたりしていた
*
帰りの車で
「なんでブラウンばっかなの?」
と聞かれた
自分でもよく分からないが1番しっくりくる
大きな家具や家電は選べるなら暗色系にしている
シーツもブラウンだ
…。
しばらく考えてハッとするが
口には出さなかった
元カレの影響だ
シーツは白の実家だったが、同棲先(下宿先)で茶色の寝具に包まって寝た時になんだか妙に落ち着いたからだ
だからか本能的に求めてしまうのかもしれない
未熟な時期にいいなと思ったものって一生引きずるものだと悟った
*
大学時代iPod touchに音楽を入れていた
ガラケーとiPhoneの谷間に購入した
そのiPodはまだ動く
最近よく聴いている
Spotifyのバックグラウンド再生など便利なものが出てきても結局、2008年に引き戻される
ボカロ最盛期
カメラロールには大学時代が
ギュウっと詰まっていた
合宿に文化祭に、卒業式
誰にも見せれないような日常までも
*
もうお互いに別の家庭を築いているし
今更何とも思わない
だけど共通の友人の結婚式で再会した時に
思わず手を取そうになった
後ろ姿だけで私だと気付いて声をかけてくれた
いつもシングルベッドを私に奪われて
固い床に来客用の布団で眠っていた彼
白いお米が似合う青年だった
祖父がお米とカリフラワーを作っていた
どっちも白い
*
大学がある県で転勤の無い職に5回の面接を
通過して内定が出ていた
ESを一緒に考えた
私との未来を考えてその職を選んだと言った
あとは彼の地元の地銀にも出ていた
全国とはいかないがそこそこ広い範囲で転勤がある
あっという間に選ぶ時期になった
*
本当にやりたい方にいけばいい
そう思って見守った
彼は地元に帰る選択をした
それでいいと私は思った
私はその気になればどこでも働ける資格を手に入れていた
当時はこんなに持病を患うとも思わなかった
08年の健康だったあの頃に戻れるなら
全財産失ったっていい
彼に付いていって転勤族として
しばらく色んな場所で働くことだって
きっと悪くなかったはずだ
*
なぜあの時別れてしまったのだろう
酒癖の悪さとギャルブル癖が原因だが
長い目で見れなかった私も幼かった
だけど息子のウンコひとつでここまで
笑い合える夫と出会えたのはここに来たからだ
だからどっちにいってもきっと幸せだったはず
大学の卒業アルバムは時々見る
悲しくなることはないけど戻りたいと思う
iPod touchも時間を巻き戻す一つのアイテムだ
戻れたらきっと噛み締めるように
1日1日を過ごすと思う
1日中ゴロゴロしてゲームをして
ベッドでダラけて過ごすこともきっとない
たぶん
でもそれがモラトリアムってもんじゃないの?
なーんて。
いつかまたみんなで会えたらいいな
卒業式で撮った写真の場所で集合
おしまい
無印良品のポチ菓子で書く気力を養っています。 お気に入りはブールドネージュです。