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マリオの映画を観て泣く。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、愛が詰まった映画だった。

ネタバレを含みます!
ぜひ映画を観てから読んでみてくださいね。

ただただ楽しむために、エンタメ体験をするために、マリオの映画をふらっと観に行くつもりでした。公開日にこの映画を観に行った次男と夫が、面白かったと言っていたし。近い知人もこぞって見ているので、気になって。みんな面白い!よかったよ!って言っていたしね。

見終わった結果の感想は、楽しかったのはもちろんなんだけど、予期せず感極まって泣いてしまった。

好きな映画3つを聞かれたら『ALWAYS 三丁目の夕日』『アイ・アム・サム』『ライフ・イズ・ビューティフル』を迷わず挙げるのが私。それくらい、愛、とりわけ家族愛の映画が好きな私からすれば、この映画はただのエンタメじゃない。たくさんの愛が詰まっている映画でした。


母から息子たちへの愛

映画の冒頭、ニューヨークのブルックリンに住む、配管工のマリオとルイージは、会社から独立。仕事を得るために、大金をはたいてCMを作ります。

CMというより映画か? というくらいの超大作を。勝負に出たんだと思う。しかし、周りからは不評。CMを馬鹿にされます。こんなCM作っても仕事来るのかよと。会社にいたほうがよかったのでは? とも。しかし、マリオとルイージの母は違いました。

馬鹿にしてくる輩を相手にルイージが「CMを見て連絡来たもんね!」意気揚々とスマホを見せるシーンがあります。連絡の主はマリオとルイージの母からの「こんなイケてるCM見たことない!」の感想。この辺、母ですよね。母はいつなんどきも子どもの一番の味方。どの国でも、どの時代でも、どんなときも。


ちなみに、冒頭部分を見ての驚きは、マリオの職業が配管工だったことです。私の中では、マリオ=オーバーオール姿で戦う人のイメージだったから。それとイタリア訛りの英語を気にしたり、パスタ食べてたりして、イタリア系の設定であることも知らなかった。でも確かに「マンマミーア!」って、マリオがよく言ってるもんね。という前提条件を理解できる設定が最初にあってよかった。私のマリオに関する知識はそれくらい乏しいってことです。


ルイージからマリオへの愛

独立するも、母以外は理解してくれない。父は特に。「弟を巻き込むな」とまで言われてしまう。しかしそんなマリオに「巻き込まれたと思っていないよ」と言い、寄り添いうのが弟ルイージ。

キノコ嫌いなマリオが、キノコのパスタが夕飯に出て困っていると「僕、食べるよ」とさっと皿を差し出すルイージ。そこに不機嫌そうにキノコだけルイージの皿にマリオの兄弟の構図が微笑ましかった。孤立し、夜ご飯を食べずに自分の部屋にこもっている様子を見て、パスタを差し入れするなど、本当に甲斐甲斐しいルイージ。兄マリオの行くところには常についてゆく、弟ルイージの健気さ。

でも、ただ健気なだけじゃなく、ルイージにとって兄のマリオは、常に先を行くヒーローなんじゃないかな。だから巻き込まれたと感じず、自分の意思で兄について行くことを選んでいるように見えました。ここにも愛がある。


マリオからルイージへの愛

水道工事の現場に走って向かう道中、マリオはゲームの世界から飛び出てきたノリで軽々と柵や塀を乗り越えます。注目したいのは、後ろを付いてくるルイージのために、扉を開けて通りやすくしてあげていたところ。自分は道なき道を切り開くが、後ろをついてくる弟への優しさを忘れない。

物語の分岐点となる、配管事故の現場に向かうシーン。マリオとルイージは異世界にワープするのですが、ここで二人は離れ離れに。ここからは、主にマリオの世界にフォーカスして物語が進みます。とにかくルイージに再会することのみを糧に困難に立ち向かい続けるマリオ

全体的に楽しくテンポ良く進むので、重たさを感じさせないけれど、マリオのルイージへの想いの強さは、禰豆子のために強くなる鬼滅の刃の炭治郎にも匹敵するくらい。それくらい兄弟の絆、愛を感じました。

ピーチ姫のきのこ王国への愛

この映画を観てかなり衝撃的だったのが、ピーチ姫の強さです。ゲームによってはアクティブなピーチ姫の姿も見られると、帰宅してからネットで見たのですが、いかんせん私がそこまで詳しくないため、ピーチ姫=マリオに助けられるのを待つお姫様のイメージでした。

ところがどっこい。この映画では、きのこ王国を守る強く、美しく、知性あふれる女王様。国民への愛が溢れていて、その愛が強さに変わっているんだと思う。マリオと共に戦うパートナーとして輝いていました。ぶっちゃけポテンシャルだけならマリオより上では? と感じたほど。

(再び、公式アカウントの動画をお借りします。ピーチ姫のすごさがわかると思う。)


キノピオ達の自己愛

きのこ王国の住人である、無数のキノピオ達。自分の身を守ることはできないけれど、どこまでも(自分たちは)かわいいの一点突破で主張する潔さ。

自国がクッパに狙われていると聞いた時の反応は「(ぼくたち)こんなに可愛いのに!」。死にかけた時の言葉は「死ぬには可愛すぎる!」。自分たちたち=可愛い=だから守られるべき、を全面に出してくる自己愛の強さよ。うんうん、確かに可愛いは正義。間違いない。

とにかく可愛く、明るく、自己肯定感の強い集団を見ているようで、全く嫌味がなかった。だからピーチ姫はキノピオ達を守りたいんじゃないかな。


クッパからピーチ姫への愛

これも私がマリオのゲームに詳しくないからなんですが、クッパって単純にマリオの敵ではなくて、ピーチ姫が好きなんですね。知らなかった。

この映画でも、極悪キャラとして描かれているし、実際そうなんだけど、理由はただただピーチ姫への愛。純粋ですよね。それはもう熱烈に、ピーチ姫へのラブソングの熱唱は、純粋なんだけど、ピーチって言いすぎてウケる。映画館でも笑いの声が周りから聞こえた瞬間でした。

(うちの次男もこの歌が一番面白かったと言ってた。)

悪を倒す映画の悪党の設定って、自国の世界征服とか何らかの恨みとか、どうしてもネガティブなものになりがち。スーパー戦隊や仮面ライダーですらそうですよね。

でもクッパはシンプルにピーチ姫が好きなだけで、悪さをする理由が、ただピーチ姫と結ばれたいからという愛だったなんて。この映画がカラッと明るくポップな印象なのは、行動の源泉となる部分が深い愛だからだと思いました。


まさかの涙腺崩壊

さて、ここまで愛を起点として物語をさらってきましたが、クライマックスで私の涙腺が緩みます。

それは……マリオがクッパからスターを奪おうとするも、クッパの炎にやられそうになっていたシーン。ここでルイージがマンホールを盾にして、クッパの炎からマリオを守ります。

ここで私の涙腺が崩壊する。うぉぉぉぉおぉぉぉぉぉおおおぉお。

だってルイージって、兄想いのいいやつですが、基本兄ちゃんの後ろばっかついて行ってる子だったじゃない。兄ちゃんに助けられることを待ってる次男坊が、ここぞのシーンで兄ちゃんを守り励ます頼もしき存在になってる。ようやった!ルイージ!私自身が男の子二人の母親だから、息子達を投影してしまいました。


兄弟の愛

私の話になりますが、私、一人っ子なんです。両親の愛を一身に受けて育ってることは自覚しつつも、その重さに疲れることもありました。もちろん兄弟といっても、必ずしも仲がいいわけではないことを知っています。中にはいがみ合う兄弟だっていますよね。それでも私からすれば羨ましかった。親でもない、友達でもない距離感の人物が家庭内にいるっていいなと。

そんな、ないものねだりの気持ちがあったので、自分が家族を持って子どもを産むときは絶対に兄弟を作ると決めていました。


この子達が共に育つ様子は、私にとって癒しでもあり、新たな生態系を見ているようでした。だって私は、兄弟喧嘩をしたことないから。取るに足らないどうでもいいことで兄弟喧嘩できるなんて、私からすれば、異文化。

二人のやりとりや、じゃれあう姿は、愛おしい。

血が繋がってるだけで、仲良くしろと言われる義理はないと思うけど、でもやっぱりお互いを大事に思ってくれたら嬉しいな。


話をマリオの映画に戻すと、私が感極まったシーンはもう一つあって。ルイージが炎を防いでいる間、マリオはスター(あの無敵になるやつです)を取りに行くんだけど、一人で行くのではなく、ルイージと手を取り一緒にスターを取りに行きます

ここで、涙腺崩壊の第二波が来る。うぉぉぉぉぉぉおおおおぅおおおおぉお。マリオもええ奴や。ええ兄弟や。これぞ、スーパーマリオブラザーズやと。



兄弟で助け合う。

知恵を出し合う。

寄り添う。

私にはそういう存在がいなかったから。それが羨ましくてあなた達を産みました。

知るか!恩着せがましいわ!と言われたらそれまでなんだけど…、マリオとルイージのように、いざとなったら協力して生きてくれたら、母はとっても嬉しい。



よろしくね!スーパーハマダブラザーズ!




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