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なぜ無名の素人が自分の話をしているだけのYouTube動画が、10万回再生されたのか?

編集者、コミュニティマネージャーの浜田綾です。この度、大人気YouTube番組の『街録ch』に出演しました。

『街録ch』と言えば、元テレビ番組のディレクターである、三谷さんが街行く人にインタビューし、その人の人生を聞いていく番組です。週刊誌の中吊り風のサムネイル画像を見たことがある人も多いのではないでしょうか?

これは、私が出演した際の動画です。サムネイルにパンチがありますね。思わず気になる。まだ見てない方がいらしたら、もしよかったら見てください。

さて、街録ch全体を見ていただけたらわかると思いますが、芸能人や有名な方の動画がたくさんあります。また、一般の方でももっと強烈で強いエピソードを持ってる方もいる。その中において、私は全く有名ではありません。過去にそこそこ強いエピソードは持ってるけど、いたって普通の私の動画が10万回再生を超えてるって、ちょっとすごいことだと思うんです。

もちろん私がすごいわけではないです。私は素材にすぎず、三谷さん、そしてこの番組への出演を後押ししてくださった弊社代表の前田さんの力です。

私の普段の仕事の一つは、オウンドメディアの編集長です。こんな風に無名のコンテンツをヒットさせたことに興味があります。というわけで、今回の私が出演した動画を題材として、なぜ無名の素人が自分の話をしているだけの動画が10万回以上も再生されたのか? を研究してみます。


①コピーの妙:34歳人妻でデビュー

街録chといえば、サムネイル。ヤジウマ心をくすぐるコピーとバナーがとにかくすごい。私の場合何になるのだろうと楽しみにしていました。

ちなみに、有名人とそうでない人とでは、サムネイルのパターンが違います。有名人の場合、名前である程度の視聴が見込めるので、名前をバーンと大きく出すわけですね。

対して私のように無名の人の場合、名前を出したところで全く引っかかりません。むしろノイズかも。だからこそ、無名な人はその人のエピソードの中で強い言葉を持ってくるわけですね。

事前に三谷さんに私の経歴を伝えた際、パワーのあるエピソードとキーワードをピックアップしていました。

<自分で提出した、パンチのあるキーワード>
*13歳で一家夜逃げ
*出会いのきっかけは泥酔
*ダメOLから取締役へ
*人生を「勝てるデザイン」

コピー力のなさが恥ずかしい…。これは全然再生されないですよね。

実際はこうなりました。じゃん!

某金融会社令嬢
→そうきましたか…確かに夜逃げをするまでいい暮らしをしていたと思うのであってますが、自分では「令嬢」って言葉は絶対出てこない。

犯罪組織でボロ小屋転落
→ちょっと心理的に抵抗があった部分です。犯罪組織が特に。いや、これも全部事実だし私は全く問題ない。ただ、母が見たら何か言いそうだなとだけひっかかりました。でも私の人生の実録だから私が決めるべきだから。

ボロ小屋転落も意外でした。というのも私の中で「夜逃げ」が来ると思ってたんですね。でも考えてみたら街録chってもっと強烈な人生を過ごしてきた人がたくさんいるので、たぶんその中で「夜逃げ」ってあってもそこまでインパクトないのかなと思いました。

次男出産後34歳ど素人で
デビューしたのは…
→最高にうまいコピーで、ただただ感服しております。文字のタイトルの方には「人妻」って入ってますから(笑)。

どなたかがコメント欄に書いてましたが、AVデビューでもしたのかと一瞬思いますよね(笑)。もちろんデビューしたのはAVではなく、ライターとしてです。クラウドソーシングを使って文字を書くことでお金をもらった年のデビューが34歳だったんです。

いやぁでもすごい。三谷さんは、クリックさせたくなるコピーの天才だなと改めて思いました。


② ゴール設定の明快さ:40歳で夢が叶った

今回の街録chへの出演は、ある意味裏技です。弊社の代表でデザイナーの前田高志さんが、以前クラウドファンディングで動画を作ってもらえる権利を購入していたようです。そのリターンを使わせてもらいました。

去年の年末、ふとした瞬間に前田さんに聞かれたんです。

「綾さん、昔夜逃げしたって言ってたけど、その話は知られていいの?」と。

それ自体は、ツイートやブログでも言ってるので全く問題ないです。社名は出したくないですが…と言ったところ。

「よし、綾さん街録に出よう! 綾さん今年は自分が前に出て活動したいって言ってたよね。それに綾さんが街録に出たら、前田デザイン室や勝てるデザインの話に絶対なる。それは僕にも還ってくる話だから」とのこと。

なるほど、確かに。とはいえ、このリターン20万円したそうなので、それを使わせてもらうことがありがたいけど、私で大丈夫なのか? とドキドキしました。

私は基本的に物おじしませんし、度胸がある方なのですが、今回ばかりは大丈夫かな…と何回も思いました。大丈夫かな? というのは、至って普通の私が出て誰が興味を持つのだろうか。あまりにも再生されなさすぎたら申し訳ない。こういう気持ちです。いやでもせっかく頂いたチャンスなのだから、やろうと心が決まりました。

今回の最大のミッションは「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」に『勝てるデザイン』を投票してもらうことです。だから、公開日も投票の締め切りである10日に間に合うように。三谷さんには短期間でハイクオリティな動画を作っていただきました。心から感謝です。

つまり、最初からゴールはここだったんです。

私的にも現時点で一番大きな実績は『勝てるデザイン』ですから。このゴールが明快だったから、話をしやすかったです。

話が上手とコメントいただいたのですが(嬉しい!)、それは多分ゴールが決まってたから逆算しやすかったんです。これがただなんとなく自分の人生について語るなら、もっとだらだら話してたはず。

あと、コメントで「この人、仕事ができると言いたいのね」みたいな意見もありました。全然思ってないけど、もしそう感じさせたとしたら、おそらく何者でもない私がここへ出演している根拠をちゃんと話さなくちゃという焦りがでていたのかもしれませんね。反省です。


③編集力:泥酔から結婚の話はいらない!

これは、今回取材を受けて一番すごいと感じたところです。最初に三谷さんからは、自分の人生を箇条書きで教えてくださいと言われました。ちょうど以前『勝てるデザイン』の年表で自分年表を作っていましたので、それをもとに箇条書きにしました。

私の年表はこちら。もし興味がある方は見てみてください。

https://twitter.com/hamadaaya914/status/1404132681416204297?s=20


①でも書きましたが、私の人生導き出したパワーのあるエピソードとキーワードはこちらです。

<自分で提出した、パンチのあるキーワード>
*13歳で一家夜逃げ
*出会いのきっかけは泥酔
*ダメOLから取締役へ
*人生を「勝てるデザイン」

改めてコピー力のなさが恥ずかしい…。ただ、言いたいのはそこではなくて、このうち3つは、言い方が変わってるけどまぁ同趣旨というか、世夜逃げして苦労しました。やる気のない時期もあったけど、一念発起しでいい感じで働いているという内容になってますね。

でも一つサムネイルにも入ってないしエピソードもカットされていることがあります。それは、夫との出会いのきっかけは泥酔の部分です。

私は、夫となかなか面白い出会い方をしてるんです。20歳の時に泥酔して駅を徘徊しては、電車に乗る→降りてまた徘徊をしていた時があり、危ないなこの子と思って救出し、家までタクシーで送り届けてくれた人が夫です。結構面白い話だし、人生のハイライトだから入るかなと思ってたんです。

でも蓋を開けてみたらこの要素はないと。だめって言いたいのではなく、むしろ逆です。これこそ編集力だなと。大事なのは、苦労もしたし、親のいいなりになってたけど、34歳になってようやく自分の人生を切り開くようになったこと。そこに泥酔の話は不要なわけですよね。


つまり、無名のコンテンツをヒットさせるには、

読ませたくなるコピー
明快なゴール設計
編集力

この3つが必要だというわけです。当たり前かもしれないけど、毎回これを保つのは難しい。でもそれが編集者の仕事でもありますもんね。自分が記事を作る際も、この3つを常に意識せねば。改めて痛感しました。



さいごに

街録chでもお話しましたが、私がライター・編集者として関わった書籍『勝てるデザイン』は、読者が選ぶビジネス書グランプリ2022のリベラルアーツ部門にノミネートされています。40歳で夢がかなった書籍です。

『勝てるデザイン』を読んだり、このnoteを読んだりして、共感していただいた方は、よかったら投票をお願いします。

こちらから、投票できます。


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