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ノンデザイナーが作る、人生初のポスター制作全記録。

生まれてはじめて、B1ポスターを制作しました。

41年も生きてますから、人生一通りのことは経験してきたつもりでした。でも人生初って、まだまだあったんですね。B1ポスター制作は、はじめて。というか、B1じゃなくてもポスターを作ったこと自体がはじめてでした。


しかも私は、ライター・編集者。
デザイナーではありません。


私はデザイン会社、株式会社NASU(ナス)で、編集だったり、コミュニティ運営だったり、一言で言うと広報的なお仕事をしています。大学卒業後は10年事務職でした。その後いろいろあって人生を見つめ直すことになり、フリーランスのライターに。その頃、お仕事を依頼したり、依頼いただいたりでお世話になっていた、デザイナーの前田高志さんの会社NASUで2020年から働くようになりました。

なぜノンデザイナーの私が、B1ポスターを作ることになったのか? その全過程を私の心の動きを含めて書いてみます。




「ポスター展」の開催が決まる

「ポスター展」の起源は、北海道にある寺島デザイン制作室にあります。スタッフさんがクライアントワークではない自主制作で、ポスターを作って展示しているというもの。

代表の前田さんが、この取り組みに激しく憧れをいだいていたことは知ってました。思ったことは、数秒後にすぐツイートする人なので。


ほぅ、そういうものが存在するのか。当時はその程度にしか思っていませんでした。ちなみにこのツイートでは、2022年開催とされていました。それは、叶っていませんが、もう一年時が流れて2023年に実現することになりました。

弊社は代表含め9名の小さな会社です。しかし、機動力、面白がる力においてかなりパワフルであると手前味噌ですが思っております。その源泉は、やはり代表の前田さんです。

うちの代表がやると言ったら絶対にやることになる。そして、その一見無茶振りとも思える試みは、絶対にやった方が力がつくし、何より絶対楽しい。かくしてNASUのポスター展プロジェクトは始まりました。


私もポスターを作りたい。

4月ごろポスター展が、NASU創業5周年の位置付けとして開催されることを知りました。

であれば、私的に意味合いが全然違う。私もしっかりコミットしたい。

補足すると、弊社はデザイン制作会社なのに日頃から謎にイベントをやりまくっています。イベントごとに担当者を割り振っていて、イベント当日も手伝える人が参加という感じ。もちろん自社のイベントだから、どのイベントにおいても当事者意識が必要なのは変わりないけど、要は普段のイベントは最小人数で参加・進行しているんです。

そういう経緯があったから、ポスター展が創業の周年とは関係ないイベントだったら、私はPR面でのみ関わればいいと思っていました。でも創業記念だったら話は別です。

私もポスターを作りたい。

ただ、ポスター展の企画を進めていた当初は、デザイナー職ではない私と私の後輩の中山さんは、制作に参加しない案もありました。心の奥がザワザワしたのを覚えています。


デザインは、デザイナーだけのものじゃない。

私たちが制作に参加しないのは、別に排除してるとかそういうことじゃないというのは十分にわかってます。というか、むしろ大変では? の配慮や心配の方が大きかったと記憶しています。でも、私も後輩もNASUの一員なのに、創業イベントに当事者として参加しないのはおかしい。

NASUって、職種の垣根がなくて緩やかなんです。今となっては一応一番社歴が長い社員なので、それがNASUがNASUたらしめる理由の一つだと思っていて。つまり職種の差はあれど、本質的には全員デザイナーであるのスタンス。だからこれまで自分に全く縁がない世界でも、飛び込みたい、ここにいたいと思った。

NASUに入った時から自分に課しているのは、職種の壁を作らないことを率先して体現すること。

自分もデザイナーであるという意識で行動することでした。

ロゴの造形とか専門的じゃないかいぎり、アイデア出しや社内コンペがあれば、前のめりで参加してます。


デザインや写真のことでも、「わからない」と自分から壁をつくらない。今はわからなくても、わかる努力をやめない。それが、代表の前田さんが『勝てるデザイン』の中で書いている「デザインはデザイナーだけのものじゃない」の姿勢そのものだと思っているから。(こんなnoteも過去に書いてた。)


「私もポスターを作りたいです。創業記念だからこそ参加したい。全員が参加すべきだと考えます。NASUってそういう会社だと思います」

代表の前田さんに伝えました。こういう熱い、いや、時にめんどくさい主張にも耳を傾けてくれる前田さんに感謝しています。その結果全員参加の流れになったので、企画面で見直しが発生しまったけど、一緒に考えてくれたポスター展制作チームの水上さん、村山さん、小賀くんにも感謝しています。


私に何ができる?

やりたい!参加したい!多分なんかできます!と情熱だけで言ったはいいが、そこに勝算はあったのか? いや、ない。というか、まだそこまで考えられてない。何を作るのかは全くの未定でした。

石橋を叩いて渡るという言葉がありますが、私の場合、これや!と思ったら石橋を叩くことは一切せずに猛ダッシュで橋を渡り始めるところがあって。(だから途中で躓く)今回もまさにそうでした。だからみんな心配してくれたのにね。

過去に前田さんが書いてくれたイラスト。この体当たり感が私っぽい。


作品かぁ。その時なんとなく頭の中にあったのは、弊社が運営するコミュニティ前田デザイン室で過去に行った「UN-CHA」のような、デザイナーとノンデザイナーの共創。言葉やアイデアを作ってそれを形にしてもらうイメージでした。

それ以上のアイデアがなく考えあぐねていたところ、前田さんよりヒントをいくつかいただきました。

・文体模写
文体模写ーそれはその人になりきって文章を書くということです。ビジネス書の多くは、著者にインタビューをして、それをライター(ブックライターと呼びます)が原稿にします。弊社の代表、前田さんの『勝てるデザイン』は前田さんの言葉を私が文章にしました。もちろん、そこに編集の片野さんのお力が入って読みやすく、いい文章になってます。なので、私にとって文体模写は一つの武器。

・セルフツッコミ
私はボケるよりはツッコミタイプ。自身にも容赦無くツッコむ。過去の自分い突っ込むこんなnoteも書いてます。ただ、これって自分のツッコミどころ満載な投稿だからできることなんですよね。確かにこれも自分が得意な切り口の一つ。

ただ、今思えばこれらっていずれも得意技であって、今回課されている偏愛とは違うんですよね…。でもそこに気づかず、最初は文体模写で進めることにしました。今回のポスター展のテーマは「自己探究」。好きなクリエイティブ偏愛を追求しつつ、共通テーマ「NASU」にも繋げる。だから、私が好きな文体で書く人の模写をしようと決めました。



岸田奈美さんが、もしNASUを紹介したら

(完成度30%の日)

ポスター展の進捗は、全員の足並みを揃えるためにデキバエシステムで進み
ました。前田デザイン室でもよくやってる進め方です。(デキバエシステム自体は以下の意味なんですが、これ以降は完成度と書きます。)

デキバエ30%→企画の方向性が見える
デキバエ50%→全体の方向性が固まる
デキバエ80%→100%の仕上がりで
デキバエ100%→80%でのフィードバックを踏まえて完璧に


完成度30%はGW明けだったかな。ポスター展のことを考えなきゃ!というわけで、最初作ったのは、文体模写でした。私が大好きな作家でありNASUとの接点もある岸田奈美さんの文体模写です。

奈美さんが使いそうな言葉は熟知してるし、過去の発言も調べていたので、奈美さんのエッセイを下敷きにさせてもらい「もしNASUと成してくれたクリエイター岸田奈美が、NASUを紹介したら」というテーマで書きました。


NASUの屋号の由来を聞いたら、デザインの概念がぶっ飛んだ話


NASU(ナス)という会社を知っているだろうか。
「アメリカの〜あの宇宙に関するところだよね〜」と思った人は、「アメリカ航空宇宙局NASA」の話をしているので、一旦宇宙に想いを馳せるのを中断してほしい。

元任天堂デザイナー前田高志さん率いる、デザイン会社NASUの話だ。
前田さんと言えば、私のWebサイト「キナリ」のデザインディレクションや、キナリ読書フェスのロゴデザインを制作してくださったお方だ。キナリ読書フェスのロゴデザインをお願いした際は「なんかドーンッて本で盛り上がるかわいい感じで」みたいな語彙力が壊滅した説明から、120000%想像力を爆発させてすげえロゴを作ってくださった。

デザイン制作のためにヒアリングをしてもらった際は、森田一義アワーか?ってくらい前田さんは聞き上手で、私が延々とオチのない漫談を話し続けるという地獄に付き合ってもらったにも関わらず、すごく優しくて強くて、楽しい時間にしてくれた。ちなみに前田さんは、父が眠たい時の雰囲気と似ている。だからとっても話しやすい。それでいて、ものすごいプロフェッショナル。そんな方に興味を持って話を聞いていただけたことが嬉しかった。

それから、私が2020年に会社を辞めて作家になった直後、前田さん率いる前田デザイン室の雑誌『マエボン2』の旅レポ取材を受けた。この人は絶対有名になる、取材するなら今だ!という前田さんのシックスセンスが働いたらしい。私にとってマエボン2は出世本である。

NASUの説明をするために、ここまで500文字を使って前田高志さんとの思い出を語り始めたので、みなさんは動揺していると思う。ちゃんとここから本題が始まるので、安心して聞いてほしい。

(以下略。もし全文興味がある方は、ポスター展の会場で声をかけてください!)

うん、なかなかよく書けてると思う。

ただ、奈美さんのお名前を借りてる以上、確認をとった方がいいだろう。ここで猛烈な不安が襲ってくる。ダメって言われたら振り出しに戻ってしまう。というか、岸田奈美さんもコルクさんもお仕事でやりとりさせてもらったことはあるし、知らない仲ではない。つまり相手からしたら断りにくい関係性である。断りにくいお願いをしている時点で社会人として、というか大人としてあかんやん。

なのに勢いで書いてしまった。なんでこれを書く前に気づかなたったのか……。自分に嫌気がさしますが、石橋を叩かず渡る性格なので仕方がない。


0%への帰還

(完成度50%提出の日)

岸田奈美さんの文体模写でいけるなら、早く確認を出したい。でも、なぁ……と決めかねていたところ、前田さんが一言。

前田:「すごくよく書けてるけど、確認出しにくいね。向こうのメリットがないから」

浜田:「ですよね……。奈美さんのメリットを入れる? ドラマの宣伝とか……」

前田「そうなんだけど、そうするともう自己探究ではないよね」


うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!
たしかに。
たしかに。
TASHIKANI!!!!!


今回は、自分が偏愛しているクリエイティブの手法や表現をNASUモチーフで探求するというお題です。だけど、もはや自己探究ではない。ということは、別のアプローチを探さねば。デキバエ50%の日に企画がひっくり返ってしまいました。

すごろくで、振り出しに戻るを引き当ててしまった時のような気分でした。まぁ自分の考えの浅さのせいなんですけどね。


「なるほど構文」で勝負

根本的に企画を見直すことになり、改めて自己のクリエイティブ偏愛を探し始めました。でもそんなものあるのだろうか……、と考えていたところ、弊社のオウンドメディアである「NASUメディア」で以前「スーパーマニアック」という、要は自己偏愛に関する記事を2回書いたことを思い出しました。この経験は大いに役立つことに。

ライター古賀史健さんのnoteをライター目線で解説してみた。


仕事に効く『相棒』。わたしは辛い時、これを観る。

ライターの古賀さん、それからテレビドラマの『相棒』。どちらも私が愛してやまないものです。ここに偏愛のヒントがあった!今回フォーカスしたのは、ライターの古賀史健さん。私が尊敬しているライターさんです。スーマーマニアック記事では、古賀さんが使う言葉の美しさ、使い方が好きで、それをライター目線で解説する記事を書きました。

なので、記事の中でも書いている「うっとりワード」を散りばめて書こうと。ただ、結構な長文となると、単語のみで意味のある文章を形成するのは難しく。土台となる文章についても考える必要があるなと。

そこで再び古賀さんのnoteに戻ります。私が古賀さんのnoteの中で特に好きなのは、これらのnote。

https://note.com/fumiken/n/n21da9c048b18

https://note.com/fumiken/n/n0e2fe1f479f5

https://note.com/fumiken/n/n279b08d475d9


「〜〜という言葉がある」からはじまり、一つの言葉や言い回しについて探究し、古賀さんなりの独自解釈が述べられているnote。これが好きだなと。一般的によく言われている言葉だけど、深く突き詰めている姿勢もいいし、なにより読み終わって古賀さんの視点を知ったあと「なるほど!」となる。脳のアハ体験というか。これ、私のクリエイティブ偏愛だなと。

というわけで、古賀さんのnoteの中でもこれらの表現を「なるほど構文」と勝手に命名し、「なるほど構文」を追求することにしました。


「為せば成る」を、なるほど構文に

私なりのクリエイティブ偏愛、なるほど構文を使ってNASUを表現する……。やることが見えてきたのはいいけど、何について書こうか……。悩みました。オーソドックスに弊社NASUの屋号の由来である「為せば成る」はどうかなと。文句なしでNASUを表現しているから。

「為せば成る」について言葉の意味を追求し掘り下げ、独自の解釈を交えるなるほど構文で書いてみました。

「為せば成る」という言葉がある。

どんなことでも、強い意志をもって実行すればやりとげられる、という意味だ。座右の銘にしている人も少なくないだろう。「為せば成る」だけでなく、そのあと続けて「為せば成る なさねばならぬ何事も」というフレーズで用いられることもよくある。

とてもいい言葉だと思う。しかし、時に「やる気があれば必ずやりとげられる」とか「強く願えば叶う」というような、どこかスピリチュアルというか、根性論的な類の紹介のされ方も多いように感じる。実際、この文章を書くにあたりインターネットで「為せば成る」の意味を調べたところ、言葉の意味紹介とともに拳を高くつき上げて、周りの人を鼓舞する男性のイラストが添えられていたページを見た。ガッツポーズをする写真も多くあった。「ファイト〜!一発!」と雄叫びをあげ、鼓舞するあのコマーシャルのような、気合をいれる言葉のように使われていることがあるようだ。おそらく「強い意志」の部分がフォーカスされすぎているのだろう。

気合いや根性がいけないわけではない。私自身、どちらかと言えば、気合と根性に頼りがちな人間だよなという自覚すらある。しかし、気合と根性は永続的ではない。今風に言えばサスティナブルではない。長い人生を思えば、気合いだけで、成すことはできないのだ。

成す、つまり成功するのは、気合いではない。行動するからだ。
「為す」というのは、英語で言うところのDO。動作、行動を示す。だから「為せば成る」というのは、行動すれば、成功するよ、というごくごく当たり前の話であることに気づく。強く願えば叶うであろうという、スピリチュアルでも根性論でもない。行動を積み上げるからこそ叶う。

そう考えると、為せば成るをイラストで表すなら、拳を上げる人ではなく、例えば机に向かってコツコツと積み上げて努力する様のほうが正確な意味を表しているのではないかと思う。大きなおせっかいだけどね。

今日も成すために、気合いではなく、コツコツと為していこうと思う。

うん、悪くないけど…。

・私的には「なるほど!」が小さい
・脳のアハ体験には程遠い
・独自解釈がない

テーマには沿ってるけどね。というわけで、これは結果的にボツ案となります。ぐぅぅぬぬぬぬ。難しいな。



言葉の綾

言葉の独自解釈…と思った時にもう一つの案が浮かびました。「言葉の綾」です。私はNASUに入る前、3年くらいフリーランスのライターをやっていた時代があるのですが、その時の屋号が「コトバノ」でした。「言葉の綾」に由来します。ちなみにこの屋号は、前田さんの発案です。

言葉の綾ってどうも悪い意味で使われることが多いけど、屋号にするにあたりいろいろ調べたところ実はそうでもない。いい言葉なんですけどね。あ、じゃあこれについて書けばいい。深く掘り下げられるし、私なりの解釈も添えられる。

ただし、大きな問題が。今回のポスター展のテーマは「自己探究」ですが、もう一つ共通テーマ「NASU」があります。会社のNASUでもいいし、野菜の茄子でもいい。そこは自由なんですが、言葉の綾の場合NASU要素が0パーセントなんですよね。あと、そもそも綾って自分の名前だから、自己主張が強すぎることも気になってました。(でも結果的にこの案で進めたけど)


交わらない2つの文章

(完成度80%の日)

完成度80%チェックの日、80パーセントだけど、実質100パーセントを目指す日です。やりたいことは見えた。でも私は困っていました。

「為せば成る」は、テーマに沿っているが、なるほど!が少ないし自分的にも満足してない。「言葉の綾」は、内容的にはいいがNASU要素がない。

ここを解決できないままデキバエ80パーセントの日を迎えてしまったからです。困った私は……、2つの文章を1つのアートボードに収めて提出しました……。

おい、そのままやんけ!って感じですね。でももうどうしたらいいかわかんなくて。社内のチェックの時にもこの話をして「2つの文章を出す方向で進めようかと思いますが、2つ出す意味もあんまりないし迷ってます」と。

みんなの反応的にもやはり「言葉の綾」の方がいいねと。水上さんが「言葉の綾に為せば成るを足したような感じにしては?」と言ってくれたので、またもや勝算はないけど「たしかに!やってみます」と勢いで言いました。いい加減戦略性が欲しいとこれを書いてて思った。


綾は「綾なす」に出会った。

(完成度100%の日)

完成度100パーセントの日。前日の夜から「為せば成る」と「言葉の綾」の合体を試みました。が、なんかしっくりこない。いかんせん違う要素を二つ盛り込んでるので無理やり感が拭えない。でも私がやらねばならぬことはこれなのだ。

何回か書いては消し…を繰り返しているうちに集中力が切れ、綾の意味を再度調べます。綾を使った熟語についても調べていたその時


綾なす


という言葉を発見しました。

「綾なす」?どゆこと?そんな言葉あるの?まじで? 綾なすという言葉は確かに存在する。意味を調べたところ「さまざまな色や模様で飾り、形づくる」とのこと。意味もなんかいい。つまり、よくする、付加価値をつけるってことでしょ? めちゃいいやん。私がNASUでありたい姿とも言える。


よっしゃ!言葉の綾の文章の中に「綾なす」を入れたら、全てがうまくいく気がする。この時確か深夜2時くらいでしたが、謎にハイテンションでした。自分自身が脳のアハ体験ができたから。

マイナーチェンジを重ねたものの、デキバエ100パーセントの朝に出したものが現在ポスター展で飾れている私の作品です。タイトルは「綾なす」。そのまんまですね。

完成した全文は、ぜひポスター展の現地で読んでみて欲しいです。



noteで読むような没入感を

今回はポスターとしてのアウトプットなので、内容が決まればそれでよしではありません。ポスターのレイアウトにしないと。何度も原寸大で出力し、壁に貼って読みやすさを追求しました。

ノンデザイナーあるあるかもしれませんが、読めなかったらどうしよう?と考えてしまい、最初はかなり文字が大きめでした。

ただ文字を置いただけ。読みにくすぎますよね。

でも展覧会で飾るから、基本的にお客さんは近くで見ます。それに余白があった方が美しい。みんなにアドバイスをもらいながら、見やすさと読める大きさの文字を探りました。

そうしているうちに、私はnoteで読むような文章を目指していることに気づきます。note。まさに今書いてるこのプラットフォームですね。noteは、全体的に余白があって、文章を読みやすい見え方になっている。noteで読むような没入感のあるポスターを目指す。ゴールが決まりました。

最後のデキバエチェックでは、実際にギャラリーに飾ってお客様目線でみんなに見てもらいました。すると前田さんから「ギャラリーで実際見る高さで文章を読んでもらうなら、下の方に文字があるとかがまないと読めない。だから下は開けた方がいいかも」とアドバイスをいただき、下の余白もしっかりと持たせることにしました。

前田さんや水上さんにアドバイスやIllustratorの使い方を教わりながら、文字組も自分でやりました。これもnoteを意識して読点のあとをしっかりと開け気味にするなど工夫を重ねています。デザイナーの方からすればまだまだ甘いと思うのですが、その辺も見てもらいたいです。


誰もが自己表現していい。


人生初のポスター制作の制作過程全てを書きました。

前田さんが、なぜポスター展をやろうと言ったのか? 今ならわかる。今回のテーマ「自己探究」も影響してますが、ポスター制作を通して得られたもの、経験が大きすぎる。というか、会社の仕事の一環でこれをさせてもらえるってめちゃくちゃ有難いですよね。

みんなで文化祭のノリ的に作れて楽しかった!

まず、私の場合、言葉の探究を通して自己のありたい姿に辿り着きました。自分がなぜNASUにいるのか? NASUで何を成したいのか? についてを期せずして考える機会になりました。

自分との向き合いを通して自己理解が深まったのも大きい。こんなに自分に向き合ったのは初めて。私自身は、ブログやエッセイを書くのが元々好きだから、自分のことを書くこと自体は苦手ではない。でも自己の偏愛に深く向き合ったことはなく、この制作を通してとことん自分に向き合ったことは、何よりもの自己理解につながりました。

あとは、作る楽しさ、苦しみ、喜びを得られたこと。ポスター制作は、苦しかったけど本当に楽しかった。私も制作する選択をしてよかった。私は自分がよかったと感じたことは、すぐに人におすすめしてまわりたくなる性格なので、今は全人類にクリエイティブ偏愛を追求したポスター制作をおすすめしたい気分です。

自分はクリエイティブな仕事をしてないから……。と思う人が多そうですが、本質的にはそこはあんまり関係ないと思う。クリエイティブな偏愛って本来きっと誰もがもっていて眠っている。それに気づくか気づかないか? その差だけ。私も会社のこの企画のおかげで、41歳になって人生ではじめてポスターを制作できたから。

私が作ってもいい。
あなたが作ってもいい。

作る楽しさ、喜び。
デザインは、みんなで楽しむもの。


私たちのポスター展が、みなさんの奥に眠るクリエイティブ偏愛の扉を開くきっかけになれば嬉しいです。

大阪なんですが、来ることができる方は、ぜひ会場にお越しください。私たちのクリエイティブ偏愛を感じてみてほしいです。自己の偏愛に深く潜れたとき、見てくれる方の心にも何か届くと信じています。

9000文字を超える長いnoteを最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



ポスター展で、たくさんの方にお会いできてうれしかったです!



宣伝!

ポスター展の最終日に開催された、寺島デザイン制作室の寺島賢幸氏と弊社代表前田さんとのトークイベントの動画を期間限定で販売中です。

寺島さんは弊社代表の前田さんがずーーーっと憧れていた人であり、ポスター展のパイオニアなんです。 寺島さんの会社ではもうずっと通常業務をしながら自主制作でポスター展を開催されてきました。会社員時代の前田さんは、その取り組みを見てずっと憧れていたのだとか。

自社でポスター展を開催するにあたって、いつかお話できたらいいなと思っていたところ、いろいろなご縁のおかげでなんと1回目のポスター展のゲストに来ていただくことができました。

時をポスター展の最終日に戻します。

デザイン会社を経営する社長二人の話すデザインをしながらなぜ、自主制作でポスターを作るのか? について話をしているトークイベントの動画を期間限定で販売しています。デザイナーの育成方法や、逆にもっと力をつけたいデザイナーの方におすすめです。



写真:久本晴佳 、小賀雪陽


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