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宇宙からの色 もしくは 異次元の色彩<The Colour Out of Space>


ペニーワイズ誕生


我が愛しき作家スティーブン・キングや
「ヘルレイザー」の原作者クライヴ・バーカーも
熱狂的な愛読者であったHPラヴクラフト。
1900年前半からの数々の作品群は
現在も各分野への多大なる影響力を持つ。

スティーブン・キングに関しては
『全作品映像化計画』が順調に進み
連打で映画やドラマ化。
リメイクやリブートで花盛りだ。

クライヴ・バーカーも
「ヘルレイザー」のリメイクに乗り出している。
あの世界観を
現在の映像技術で観ることができるのは嬉しい限り。

『カラー・アウト・オブ・スペース
   -遭遇-:Color Out of Space』(2019)
原作:H・P・ラヴクラフト「宇宙からの色」
ニコラス・ケイジ主演で映画化された。

田舎町アーカムに飛来した奇妙な隕石。
そこから始まる奇妙な事件。
目撃し体験した農夫から
測量士が聞いた話に基づいた短編小説。

1927年発表当時の評価・評判ともに
非常に芳しくない。

自信を持って完成させたラヴクラフト。
あまりにもショックだったようだ。
次回作まで
しばらく間が空いている。

宇宙規模の邪神と その影響を扱うラヴクラフトの作品。
映画化される際
モンスターパニック映画になったり
ただのゾンビ映画になったり。
原作の根幹どこいった?!な事が多い。

その中で 数度映画化されているのに
かなり忠実に
映像化され続けているのが
Color Out of Spaceだ。


邦題は『宇宙からの色』
また『異次元の色彩』と訳されている。
単体のストーリーとしては「宇宙からの色」
ラヴクラフトの世界観としては
「異次元の色彩」 かな?
近年はストーリー中の「認識できないナニか」を指す。
タイトルが名前そのものになった訳だ。


過去の映像化作品

『襲い狂う呪い:DIE MONSTER DIE!』(1965)
 悪霊の棲む館 (TV)

ストーリーは実に原作に忠実。
エドガー・アラン・ポーの
映像化作品を彷彿とさせる品の良さを感じる。
原作の時代と系統を考えると
この辺りの作風とは相性が良い。



『デッドウォーター:THE CURSE』(1987)

ストーリーは原作通り。
事件の原因は隕石から出てきた謎の液体?と
ちょっとだけアレンジ。
影響を受けた動物や人間がドロドロ。

ドロドロ具合は
古さも手伝って
かなり気持ち悪い。

「死霊のはらわた」に代表される
ドロドロして気持ち悪い方向の映画が多かった時代だ。

2は映画自体の続編、原作とは関連がない(らしいが未確認)



『Die Farbe』

ドイツのインディーズ映画。
(PAL版DVD・Blu-rayリリース済)
現在 日本のAmazonでは探せなかった。
公式サイトでは 今でも購入できる模様。

日本語字幕を付けた方のお話によると、

大学の卒業制作として始まったが
プロジェクトが大きくなって
独立系映画会社を設立した。

ゴシックホラー系統の知人を頼って
無事鑑賞。

もしかしたら
これが一番原作通りではなかろうか。
低予算にも関わらず
出演者の確かな演技力と
意図したモノクロ映像が
ラヴクラフトらしさと
ゴシックホラーの良さを引き立てる。


もし鑑賞されるなら
最初に紹介した
最新映像化作品の 
『カラー・アウト・オブ・スペース
   -遭遇-:Color Out of Space』(2019)を
どうぞ。

原作に忠実であり
現代版としての、なかなかよいアレンジとなっている。
H・P・ラヴクラフトへの敬意と愛着。
新しいゴシックホラーの系譜に連なる映像化となっている。
「ニコラス・ケイジらしさ」も
存分に発揮されている。

ラヴクラフトの死後
マイクル・シェイによって
『The Color Out of Time:異時間の色彩』(1984)発表される。

ラヴクラフトによって書かれた小説「異次元の色彩」
現実に起こった事件だった。
人物の名前、
そして
事の顛末をフェイクとした。
この認識できないソレは
まだ地球にいる。

地球の生物の生命力と恐怖を糧とし
人間の目には
奇妙な色彩にしか見えないソレ。
直接 生物を喰らう時には
異形の獣に変化するソレ。


太古の時代
極彩色の光として
地球に飛来したペニーワイズ。
最新版の「IT」では
本体が蜘蛛に酷似した姿で
登場している。
ラブクラフトの
宇宙規模の「異形の神」には
光と共に
地球へと飛来した
蜘蛛に似たモノがいる。


原作から 逸脱した映像化が多い
H・P・ラヴクラフト作品。

「クトゥルフ神話」として
その世界は広がり続け
様々な変化をしながら
引き継がれていくのだろう。

中には
H・P・ラヴクラフトが化けて出そうなものもある。
いや卒倒するかも知れないが。

ただ
各分野の制作者たちは
ラヴクラフトが生み出した
「その世界」が大好きだ。
そこだけは間違いない。

この先 もしも
映画監督の元にH・P・ラヴクラフトが
「なに作ってんだよ、違うだろ!」
とでも言いながら 
化けて出てくるようならば。

監督は 泣いて喜んで
きっと そのエピソードを
映画化してくれるんじゃないか。

ちょっと期待している。

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