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『呪われた町'Salem's Lot』前日譚

スティーブン・キングはクトゥルフ神話が大好きだ。
ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの一連の作品や
『ウィアード・テイルズ』の愛読者だった。
インタビュー映像のスティーブン・キングはいつも饒舌だが
クトゥルフ神話の話をすると、一段と輝いている。
目もキラキラ。

「死霊伝説」のタイトルでおなじみの「Salem's Lot」
その前日譚にあたるのが
『呪われた村<ジェルサレムズ・ロット>』(:Jerusalem's Lot)
2021年に全10話のTVドラマにもなった。
製作陣のスティーブン・キング愛からか、隅から隅までハイクオリティ。
ゴシックホラーの作の仲間入りと言っても過言ではない。
小説が短編なので、ストーリーはドラマ用に再構成。
原作を微塵も損なわず、それどころか・・・
長くなりそうだ。
ドラマの話は置いといて、だ。

ラヴクラフト作品の定型をきわめて忠実に踏襲

執筆:1967年
発表:1978年(短編集『深夜勤務 Night Shift』収録)
『呪われた町』(1975)の後に発表されている。
1967年ー大学2年の時、
ゴシック文学の授業の課題として提出しA判定を貰う。
判定を出した教授の目は確かだったよ。
(同じ頃に書いた『死のロングウォーク』は新人賞に落選。
 ある意味、出版社らしい結果だなあ)
大学生くらいの年齢ならば
大好きな要素を詰め込んだ創作に熱意を注ぎたい!

呪われた屋敷への帰還。
魔導士の家系。
頽廃した集落。
夜に聞こえる叫び。
壁の中の鼠。
粘液質の化物。
禁断の魔道書。

思い切り クトゥルフ神話の「定型」です。

スティーブン・キングの作品に出てくる 架空の町。
ラヴクラフトが作品に架空の町を創造したことに倣っている。

思い切りクトゥルフ神話をモチーフにした本作。
物語の発端となるロバートとフィリップのブーン兄弟。
クトゥルフ神話の作家にならい。
ロバートはロバート・ブロックから。
フィリップはハワード・フィリップ・ラヴクラフト。

その兄弟が立てたのが「チャペルウェイト邸」
それを受けついたのがスティーブン(キング)
それを相続して住み始めるのがチャールズ。
語り部であり本編の主人公。
チャールズ・ブロックデン・ブラウンはアメリカン・ゴシックの祖。

ブーン兄弟、魔導書をめぐりケンカになる・・・
クトゥルフ神話でおなじみの
魔道書「妖蛆の秘密」(De Vermis Mysteriis)


物語の前半は短編「壁のなかの鼠」(ラヴクラフト)をベースに進行。
「星から訪れたもの」(ブロック)
「闇をさまようもの」(ラヴクラフト)から考えると
召喚しようとした邪神はナイアルラトホテップ!

外宇宙から来たナイアルラトホテップは不定形であり、変幻自在。
『IT』のペニーワイズも太古に外宇宙から来ていたな。
流れとしては、ナイアルラトホテップということに?
特に言及してはいなかったと思う。
ただ、ペニーワイズもダークタワーから来て、
ダークタワーから漏れ出てきた怪物たちは
クトゥルフ神話の邪神や怪物だし・・・

頭の中で切り離して文章が考えられない!!
致命傷!
・・・・
ま、いっか。
本の感想も あらすじも たくさんの人が書いている。
1つの小説から「思う事」をつらつらと書いていてもいいじゃないか。
アリだな。

映像化されて。
町の住人を掌握し(狂信的に変貌させる)吸血鬼のヴィジュアル。
歴代の吸血鬼のヴィジュアルとの間を
上手く繋いでくれているように思う。

歴史として一番最近になる「呪われた町'Salem's Lot」(2004年)
吸血鬼がルトガー・ハウアーだったのは、
スティーブン・キングが「ヒッチャー:The Hitcher」(1986年)の
ジョン・ライダーに邪神的な魅力を感じたから、と聞いた。
伝え聞いただけなので真偽の程は不確か。
そんなにおいを感じても不思議はない。

短編なので、気楽に手に取りやすいかと思う。
ドラマ版が非常に秀逸。
こちらを今はオススメしたいかなあ。











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