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小さな恋のメロディ

おいでませ。玻璃です。

私の小学生生活もあと一年。
小学6年生になった私はばあちゃんの家での暮らしやバス通学にも慣れ、毎日充実した日を過ごしていた。

小学6年生ともなると友達同士、恋バナで盛り上がる。
この頃の私の恋と言えば、他のクラスの「前ちゃん」こと前田くん。
背がすらりと高く、少し面長でイケメンタイプ。
学校の放課後に活動するサッカー部に所属していてスポーツ万能。
勉強はクラスが違うのでよくわからなかったが、モテモテボーイだったと思う。男子同士ではその面長な顔とすらりとした雰囲気で「馬」とも呼ばれていた。同じ馬でも私にとっては農耕馬とかではなく、キリリとかっこいいサラブレット。

でも、前ちゃんとは一度も話したことがない。
ただ放課後のサッカーを見学に行き、星飛雄馬のお姉さんのように物陰から応援しているだけだった。
でも、同じクラスのサッカー部の男子たちにはバレバレで、

「お前、前ちゃん好きなんやろ?」

と、よくからかわれていた。

そのからかってきた同じクラスの山根くんが

「今度練習見に来たときにガムでも渡せば?オレ渡してやろうか?」

と言ってくれた。
このガムというのはこの頃流行っていた「クイッククエンチ」。

スポーツの時など、酸味のあるレモン味のこのガムを噛むと唾液が出てきて口の渇きを潤わせてくれると人気のガムだった。
今でも思い出すとジワッと口の中に唾液が広がる。

このガムを手に友達と夕暮れの校庭へ。
お日様が斜めに移動し、オレンジがかった空の下で5年生と6年生の少年たちが大きなかけ声をかけながらサッカーボールを追いかけていた。

「前ちゃんどこかな?」

いくら探してもいない。

「お?本当にガム持ってきたな?残念ながら前ちゃんは休み!」

後ろから息を切らした声がして、振り返ると山根くんが走って私に教えに来てくれた。

「え~!!」

ということで、私のガム作戦は戦わずして負けが決まった。

「じゃ、コレあげる。」

私は山根くんにクイッククエンチを渡してその日は帰った。
その後ガム作戦を再挑戦することなく、卒業まで告白することもなく終わった私の前ちゃんへの恋。
この恋の思い出は、修学旅行の写真販売でこっそり一枚だけ買った友達と写る前ちゃんの写真が一枚。

思えば私の恋心の始まりは、小学2年生から4年生までは同じクラスの山中くん。
彼も細身のすらりとした長身だった。その痩せた身体であだ名は「ガイコツ」。スポーツはそこそこできていたと思うが山中くんはそれよりもお勉強ができていた印象だ。
山中くんとはよく席が隣になっていたので、話がいつも盛り上がって自然と幼い恋心になっていった。
5年生でクラスが離れて、なんとなく山中くんとは話すこともなくなり、私の恋心は前ちゃんへと移動していった。

時はぐっと先に進むが、私の夫も長身でスラリとして足長。
顔も面長でイケメンタイプ。
初対面では感じたのは

「白馬に乗って王子様が現れた」

ドラマのワンシーンのように交差点の向こうから歩いてくる夫の周りはキラキラと輝き、スローモーションのようだった。

ん?もしかして私の好みのタイプは小学生の時から変わっていない?
おそらく、私の丸顔&太りやすい身体と反対のDNAを小さな頃から本能的に求めているのかもしれない。
今もイケメン雰囲気を留めていてくれる夫に感謝。
読者の皆さんの好みのタイプはどんなタイプ?

ではまたお会いしましょう。



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