畑菜穂子

フリーライター。グルメ、教育、採用、保護者向けの性教育などの記事を書いています。編集も…

畑菜穂子

フリーライター。グルメ、教育、採用、保護者向けの性教育などの記事を書いています。編集も少し。阿部サダヲさんとシソンヌじろうさんが好き。Twitter:@haricona

最近の記事

記憶で味わう

マックは薄味で、キムチは辛さのみ。 先月、コロナになった。熱や体の痛みに苦しんだものの、それよりも悩まされたのが、治った後の咳喘息だ。声を出すとゴホゴホ。出さなくてもゴホゴホ。ちょっとした刺激で喉がピクピクっと反応し、咳を出す体制に入る。夜中であろうがうがい中であろうがお構いなしに咳が出る。そして、一度出るとなかなか止まらない。 このままだと生活に支障が出てしまうので、近所の呼吸器科で飲み薬と吸入薬をいくつか処方してもらった。そのうちの1つに新薬があった。薬剤師さんは丁寧

    • おかずのレイヤー(料理好きへの道#5)

      昨日は冷蔵庫でしばらく眠っていたナスと生協の冷凍パラパラミンチ肉を使って麻婆茄子を作った。後はぬか漬けとトマトを切れば完成。おかずが足りないような気もするが、我が家には前日の残りのゴーヤチャンプルーともやしのナムルがあるのだ! 料理はあまり好きじゃない。できればしたくないし、自分だけのためにごはんを作ることはない。でも、嫌いまではいかない。 今のところ料理とは付かず離れずの関係性を保っているが、緊急事態宣言が発動する少し前から週末以外はほぼ毎日夕飯を作っている。外出もまま

      • 隕石が変えてくれたこと

        素朴なおはぎくらいの大きさの石だった。 自宅で仕事をしていたら、ベランダの方から「ゴンッ!」という音が聞こえた。外を見たら窓ガラスにヒビが入っていて、ベランダには大きな石が転がっている。どうやらさっきの音は、この石が窓にぶつかったときのものらしい。 たまたま在宅勤務だった夫に状況を説明したものの、なぜ石が飛んできたのかが全く分からない。私たちが住んでいるのはマンションの2階。細い通りに面しているけど、コンクリートの高い柵を超えてベランダの窓に石を当てるには相当なテクニック

        • おまんじゅうの匂い

          玄関前の小路のようなところに植えたラベンダーがでろんと広がってしまったので、剪定のつもりで何本か切ってみた。どうせなら「匂いを楽しみながら、ドライにしよう」と思い、麻紐で結んでトイレにつるしてみる。うん、いい感じだ。「トイレがちょっと変わったから、後で見てみて」と娘にも伝えた。 我が家のトイレには、便器の向かい側にドアのついた棚がある。一番下の段はちょっとしたものを飾れるスペースになっていて、陶器製のげっ歯類の置物2体(その動物が苦手なので固有名詞はかけない)や切り株のコー

        記憶で味わう

          落合信子さんと西荻窪の記憶

          「そばを冷やすときは、箸を使う」 茹でたそばをざるにあげ、水にさらす度に落合信子さんの教えを脳内で反芻する。ご本人から直接言われたわけではなく、バラエティ番組か何かで落合家を訪れた際に、信子夫人がコツとして説明していたのを見ただけだ。箸を使うのは、手の温度でそばがぬるくなるのを防ぐためだったように思う。 箸を使う理由はうろ覚えだし番組を見てから20年以上は経っているはずなのに、なぜか私はそのアドバイスを忠実に守っている。一応言っておくけど、野球はほとんど見たことがない。

          落合信子さんと西荻窪の記憶

          「カタツムリ人間」(一番古い記憶:短文バトル3)

          頭がカタツムリの全身で体は人間。あるとき、近所のスーパーの店員さんや買い物客が突然謎の生き物に変わっていた。レジ打ちをするカタツムリ人間(仮称)にギョロリとにらまれてこわくなり、店のすみっこに隠れたところで目が覚めた。「ああ、夢だったのか」とホッとするシチュエーションを初めて経験したのは、このときだったのかもしれない。一緒にいたはずの母がカタツムリ人間になったかどうかは覚えていない。

          「カタツムリ人間」(一番古い記憶:短文バトル3)

          思いやりとか当たり前とか

          バスや電車で座席に座っているときに、体調の悪そうな人やお年寄りなど「すわってもらった方がいいかな」と思う人が乗ってきたら、できる範囲で席を立つようにしている(「できる範囲で」というのは、自分の体調やその人との距離などによって変わってくるから)。その人に「どうぞ」と言うときもあれば、車両を移動するフリをして立つこともある。 いい人アピールをしたいのではないし、「思いやり」ともちょっとちがう。 10年以上前にロンドンを訪れたとき、店舗や公共施設の出入り口で次に通る人のためにド

          思いやりとか当たり前とか

          いつも脳内に「はるな愛」を(料理好きへの道:番外編)

          「夕飯を作りたくない」。頻繁に、どころかほぼ毎日のように感じていることだ。普段の「作りたくない」が10のうちの2〜4くらいだとすると、一気に10まで振り切れてしまうことが月に何度かある。 一度振り切れてしまったら、簡単レシピなどで目にする「野菜を切って、ちゃちゃちゃ〜と炒めて…」の「ちゃちゃちゃ〜」すらしたくない。買ってきた惣菜を食器に移してレンジで温めることだって御免こうむる! つまり、「夕飯の支度」に関する行動を全拒否してしまう日があるのだ。 嫌な日は作らなきゃいいだ

          いつも脳内に「はるな愛」を(料理好きへの道:番外編)

          おやさい天国(#料理好きへの道#4)

          自然が多く、道が広い。娘の就学を機に23区外へ転居してから、料理…ではなく自転車に乗ることが好きになった。そもそもの目的は、新しい環境に体を慣れさせること。「慣れない新生活」から「日常」へ切り替えるために、知らない道を自転車で走り回って物理的に体を慣れさせる作戦を思いついたからだった。 風を感じ、鳥のさえずりを耳にしながら走るのは、癒やしよりもワクワクする感じに近い。表情には出さないものの、私の脳内ではちびまる子ちゃんが「ひゃっほう!」と叫びながら小躍りしているくらいテンシ

          おやさい天国(#料理好きへの道#4)

          なまけん坊!万才(料理好きへの道#3)

          「料理が嫌いじゃないけど好きになれない」。ことあるごとにこのフレーズを使い、隙あらば外食したい派の私に変化が訪れた。4月に入ってから現在まで、外食が少なくなっているのだ。 理由の一つが、3月末に23区外へ引越しをしたこと。保育園から家まで徒歩5分以内、すぐそばに商店街がある環境から、飲食店のある最寄り駅周辺までは大人の足で徒歩17分かかる場所…つまりは「超絶不便な地域」へ転居した。 大人の足で徒歩17分なら、子どもの足では1.5倍はかかる。料理をすることと平日の夜に駅周辺

          なまけん坊!万才(料理好きへの道#3)

          Yさんと御三家(料理好きへの道:番外編)

          前回の投稿から随分日にちが経ってしまった。今回は番外編。 保育園の遠足があった11月から2月ごろまでは、週に3日くらいのペースで外食を取り入れながら日々のごはん作りと向き合っていたように思う。3月に入ると引っ越し関連の手続きや卒園パーティーの準備、確定申告などで慌ただしくなった。忙しさに比例して外食の機会も増える。加えて、同じ年長クラスの母達と「もうすぐ卒園なんて、寂しいね」と、迫り来る別れを惜しむように夕食を共にしていた。 そのうちの一人にYさんがいる。人見知りの激しい

          Yさんと御三家(料理好きへの道:番外編)

          お弁当作りは澤部流で(料理好きへの道#2)

          保育園の親子遠足まで、あと1日。毎年家族で楽しみにしている行事である一方、お弁当を作り慣れていない私にとっては大きなプロジェクトの一つでもある。前回も書いたように、私は料理が好きになれない。なかでも、親子遠足のお弁当には特に高いハードルを感じる。それはなぜなのだろう。 改めて考えてみたところ、3つの要因があることがわかった。 1)「お弁当を作って、冷まして、詰める」までを出発時間までに終わらせられるのかが心配 2)彩りや食品の傷みなどを気にしながら複数のおかずを作る行為

          お弁当作りは澤部流で(料理好きへの道#2)

          自分のためにごはんを作ること(料理好きへの道#1)

          冷凍パスタ、ノンカップタイプの即席麺、前日のうどん、冷凍庫にあったカレー、なし。 平日に自宅で作業する日の私の昼食を書き出してみた。カップ麺でなく器に入れてお湯をかけるタイプの即席麺を選んだのは、「ひと手間かけた」という自分への言い訳が欲しかったからだ。しかも、生協の「化学調味料無添加」のノンカップ麺ときた。だからなんだっていうわけでもないのだけど、インスタントでも健康には気をつかっていると思いたい自分の小ささが悲しい。 私は料理が好きじゃない。夫と娘がいるから作っているけ

          自分のためにごはんを作ること(料理好きへの道#1)