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8年ぶりの出産・次女にはお尻の穴がなかった

お腹の中に、忘れ物をした娘

2013年に長女を出産したあと、2人目を希望するもなかなか授からず、夫婦で不妊治療に向き合った数年。この間のことについてはまた追々(気が向けば)書こうとは思っているが、すっ飛ばして今回、授かった二女の出産について、書き残しておこうと思っている。

21年7月に迎えた、およそ8年ぶりのお産。もうなんだかいろんなことがセピア色の記憶になっていて、無事に産めるかどうか…妊娠当初から、不安の方が勝っていた。それでも、待ちに待った娘との対面だ。緊張もするけれど、元気に迎えよう!そう決心していた私。だが、今回の出産は少々イレギュラーなこと続きだった。

今回から数回にわけて書くのは、私のばたばた「お産レポ」と、そんな渦中で気づいた、これから作文教室の子どもたちと関わるとき、大切にしたいな、と思ったことについて。

◆お尻の穴が…ない!?

予定日より2週間ほど早めに生まれた二女。単刀直入に書くと、産まれてきた彼女、なんとまぁ、お尻の穴があいてなかった

鎖肛(さこう)と言う言葉を、今回、私は初めて知る。読んで字のごとく、肛門が閉鎖されている状態のこと。産まれてくる赤ちゃんの、およそ5000人に1人くらいの割合である状態らしく、何とも引きの強いおなごではないか。

鎖肛とは?

予定より300グラムほど小さかったことも影響し、低血糖気味であるも、大きな声で泣き、助産師さんたちからも「元気やで!」と言われ、そのときは一安心だった。ただ、後から考えるとこのとき、本来は予定されていたはずの「初乳を与える」という手順がなかった。

出産を終えて這々の体。あんまり深く考えていなかったが…鎖肛が疑われたから、お乳はあげられなかったんだなと今、振り返って気づく。(飲んでも、うんちが出来ない→お腹が破裂する恐れあり!)

産後しばらくして、なぜか小児科の先生が登場された。「低体重やったからかな?」と、この時もさして気にせず。バタバタと過ぎる分娩台での産後2時間。その間も、周りにおられる方と話したり、胎盤を写真に収めたりww横に眠る我が子を観察したり。

「鼻は私に似ちまったかぁ。」
「毛は長女よりフサフサやな。」
「手を吸いまくってて、可愛いなぁ。」

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などなど、あくことなく眺めた。このあたりで、こんどは産婦人科の先生が来られ、「ちょっと低血糖やから、連れてくねー」と娘を連れていずこへやら…

ぼんやり時計を眺めていると、ここで再び、小児科の先生と産婦人科の先生が。

「何なんやろう。なんでこんな入れ替わり立ち替わり先生がくるんかな。」

すでにこの時なんとなーーーーく「通常」ではない雰囲気を感じていたのだろう。身体が自然と「きた!」と硬くなった。

「お母さんごめん、産後で疲れてるところなんやけど、ちょっと小児科の先生からお話があるから聞いてもらえますか?」

子どもを産んですぐ、小児科の先生にこう言われて緊張しない母はいるのだろうか。そして、ここで、「鎖肛」についての説明を受けることになった。

・お尻の穴が空いていない状態がみられる。精密検査するためにNICUのある病院へ搬送したい
・今なら大学病院が受け入れ可能
・お母さんはこのままここで待機
・入院手続きなどがあるので旦那さんには直接、次の病院まで行って欲しい

戸惑う頭ではありつつも、これらのことを丁寧に説明いただき、納得して娘を先生たちに託した。産んで2時間、早々に娘と離れ離れ…。こんなこと思ってもなかったよ。

そこから夫に連絡…夜はすでにふけていたが、実母とともに、病院に向かってくれた。(心配性の母はこの時すでにフラフラだったようで。高速の白線はふむわ、ETCありとなしのゲートを間違えそうになるわ。許せよ母…)

ひとり個室に戻った私。「ゆっくり休んでね」と言われたけれど、寝れるわけは、ない。見ても良いことはないと分かってはいるけれど、「鎖肛」でネット検索…産後は目が悪くなるというのにね…。

正常な位置に肛門がない状態…肛門がないのだから、当然そのままにしておいたらうんちが出せないじゃないか。大変なことになると、朦朧とする頭でもわかった。どうしよう、どうなるんやろう。

◆生後すぐの手術が決まる

鎖肛であった場合、まずはストーマと呼ばれる人口の肛門を作る手術が必要なケースが多いよう。鎖肛には、その状態により、高位、中位、低位、と区分があって、高位に近くなればなるほど、術後の排便コントロールに時間がかかるとのこと。(低位であれば、人工肛門は不要なこともあるみたいで)

肛門が形成されるのは、妊娠2か月頃。その頃に何らかのトラブルがあり、肛門に続く道が、お尻にまで到達しなかったと、後に小児外科の先生に説明を受けた。したがって、その付近に位置する他の臓器(腎臓とか膀胱とか)も、何らかの影響を受けている可能性はあるようで、それが他の合併症となってあらわれるケースも、ある。

調べると、もう、震えるばかり。病院に向かってくれた夫と母からの連絡を待ち、夜中までまんじりともせずに過ごす。この時の気持ちは、悲しいとか…そんなゆるい感情ではなくて…

恐怖。

書くこともはばかれることを想像しては打ち消し、祈った。でもどこか現実感なくて、ふわふわもしてて…。

午前2時前、ようやく電話があり、

・やはり鎖肛であること
・手術が必要なこと
・どの程度の手術が必要かは翌日の検査次第
・他の懸念事項は今のところ見られない

とざっとしたことを伝えられる。この段階でわかりうる病気は他にはなさそうと判明し、いくらか楽になるけれど…不安は残る。

電話越しに母が「先生に聞いたらな、絶対治る病気やからって言ってくれはったよ!思い詰めたらあかんからね!」と、まるで自分にも言い聞かせるように声かけをしてくれた。夫も「命に関わるような病気じゃないから、大丈夫。ちゃんと寝るんやで」と労ってくれ。

涙腺は崩壊。この時、ようやく本気で泣けたのだった。

いやはや、産後は怒涛の育児が待っていると思ってたけれど、こんな衝撃波は思ってもいない。いったいどうなるのだろう…不安のまま、空が白んでいくのを眺めているしかなかった出産直後でした。(つづく)


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