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歯医者さんのこと。そして相談することについて。

長男アキトのかかりつけの歯医者さんは心療内科の先生からの紹介だ。

アキトは嘔吐反射がある。
治療してもらう時、吐き気がしてしまう。
私はこれがなかなか理解出来ず、我慢するしかないね、と言い聞かせてきた。

幼い頃から通っている歯科で、何度も嘔吐反射の為、治療が中断した時、「口が開けられるようになったら来てください」と言われた時は、うちの子は歯医者にも診てもらえないのか、うちの子がヘンですみません、くらいの気持ちだった。

その頃の私は自己肯定感が自分と息子たちに関して、共に最低だったから、反感やら怒りすらおぼえることができなかったのだ。

その頃の記憶はぼんやりとしており、その後の歯科治療をどうしたのかは覚えていない。

いつだったか、アキトが「歯が痛くなってきたなぁ」と言い出した時、たまたま心療内科の受診日で、「あ。相談してみよう」と思えた。
そして、今の歯医者さんを紹介してもらえたのだ。
いろいろな障害を持つ人にも対応してくれる歯医者さんなんだよ、そう言って教えてくれた。
帰り道、「相談して良かった」と晴れやかな気持ちと安心感でいっぱいになったことを憶えている。

それからアキトは大きく口を開けなくてはならない時は「笑気麻酔」を使って治療してもらっている。
でも、使わなくても治療できることが増えてきた。
安心感と信頼感なのかもしれない。
私も安心して治療室へ送り出すことができる。

ナツキもその歯医者さんに通っている。

初めて受診した時、
「お母さん、この子の歯、虫歯だらけやで。大変やで」と担当のおばちゃん先生に言われた。
このおばちゃん先生は院長先生の奥様で、身体も声もおっきくて豪快な先生。でもあったかい先生なのだ。

「実は小中とずっと不登校で歯科検診も受けてませんし、歯医者さんも数年ぶりなんです」
そう言った私の顔をじっと見て、そしてぱっと大きな笑顔をナツキに向けて、
「よっしゃ。しっかり治していこな!」と言ってくれた。

ナツキはその時の虫歯はしっかり治療して、今は定期的に検診に通っている。

私は相談することが苦手だ。
それは相談して嫌な思いをしたり、傷ついたりしたことが多かったから。
そして、その時間が長かったから。

でも、この歯医者さんのことから少し楽な気持ちで相談できるようになった。
こんなことで、と思われるかもしれないが、私には大きな分岐点だったと思う。

今はこの人に相談してもいいかどうかという自分の直感に従うことにしている。
だから、たとえその時に嫌な思いをしてもあまり後悔はしない。
しくじったなぁ、と思うくらいだ。

自分を信じることができるようになってきたということかな。
少しの成長。
でも大きな一歩。

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