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「手伝うよ」という言葉も「おまえは仕事が出来ない」という非難に感じる~BPDの不可解な思考回路

これはまだ長男が赤ちゃんだった頃の話しです。ある日の夕方、まだ会社で仕事をしている私に突然BPDの妻からメールが届きました。

BPDの妻>子供が泣いてる

家に居るはずのBPDの妻です。子供とはきっと一緒にいる長男のことでしょう。その長男が泣いている、泣いているのだからあやせば良いのではないか?普通そう思いますよね。

一緒に居るのは妻の方だし、私はまだ会社で仕事中なんだから子供をあやしたりは出来ないし。そんなことをメールしてきて、いったいどうしろというのでしょうか?するとすぐさまもう一度メールが届きます。

BPDの妻>子供が泣いてる

まるで、すぐに返信しない私を非難するように全く同じ文面です。その場に一緒に居ない私に子供が泣いている事実を伝えて、いったいどうしろと言うのでしょう?そんなメールをしている時間があるなら、すぐに子供をあやせばいいのに…そう思い、私は少しイライラしました。しかし私は、その感情はぐっと押さえて返信します。

私>どうしたの?

BPDの妻>泣いてる。ミルク飲まない。泣いてばっかり。こんな子いらない。死ねばいい

即座に過激な文字列が返ってきました。我が子に対する『死ねば良い』という内容にドキッとしてしまいます。親なら当たり前ですよね。しかし私は同時にうんざりした気持ちになります。それは、BPDの妻のこういう過激な発言は、この時が初めてではなかったからです。

普段の…BPDの症状が出ていない時の妻は、普通に話が出来る、どちらかといえば社交的な明るい女性です。しかし何がきっかけで突然こうなるのか?『死にたい』『殺したい』『何もかもどうでも良い』そういう発言を繰り返し、全く理解出来ない言動を繰り返します。

鬱病のように何も出来なくなるのではなく、むしろ活発に怒鳴り、不機嫌を振りまき、怒りを露わにし、周りを非難し、まるで何かのスイッチが切り替わったかのように突如として怒り出すのでした。そしてこうなるともう何を言っても止められませんでした。

私>自分の子供だよ?死ねば良いということないでしょう?

私は自分の思いを素直に返信しました。普段の妻ならば分からないはずは無い言葉でした。しかし…

BPDの妻>無理、産まなきゃ良かった

私>ミルク、飲みたくないときもあるよ。あやしてみてあげて

BPDの妻>無理、無駄。いくらやっても泣き止まない。こんな子いらない。うるさい、外に捨ててくる

我が子を捨てると言われて、私は即座に怒りがこみ上げました。それと同時に心臓の鼓動が早くなり、どうして?なぜ自分の子供にそんなことを言うの?と疑問符と怒りばかりがこみ上げてきます。しかし私は、その感情をぐっと抑えて、再度返信します。

私>どうしたの?何かイライラすることでもあったの?

妻のイライラする雰囲気がメールからでも伝わってくるので、私はそれをそのままストレートに聞いてみました。しかし今度は返事が帰ってきません。育児ノイローゼ?…そんな言葉が頭をよぎったこともありました。確かに長男は私たち夫婦にとって初めての子供。しかも結婚したばかりで、妻にとっては引っ越しや新しい生活に慣れる間もなく出産と育児、ストレスにならないわけがありません。

しかし私の目には、育児ノイローゼなどではないことは明らかでした。なぜなら、妻のこんな態度は子供が生まれる以前、いや結婚する前からしばしばあったのです。

『アルバイト先の従業員の態度、頭にくる。殺してやりたい』

『専門学校の先輩、許せない。家に行って火を付けてやる』

ともすると町中で肩がぶつかった相手にさえ『あいつ許せない、殺さないと気が済まない』という発言を私にだけしました。そして当時の私が『嫌な相手だね、でも殺したいというほどではないのでは?』と素直に思うことを言うと『どうして味方になってくれないの?』と一瞬で敵視され、『はいはい、全部私が悪いのね。分かった、もう二度と話さない』とぷいとそっぽを向いてしまう、というようなことがしばしばありました。

別に敵になったわけでもとがめたわけでも無かったのに、いったいどう言ったら良かったのか?私はとても悩みました。

BPDの妻>パパが早く帰ってこないからいけないんだ。だからこんなに泣くんだ

しばらく応答が無かった携帯に突然また妻からメールがきました。しかも今度は子供が泣く理由を私のせいにしています。全く何の根拠も無い理不尽な言いがかりで、再び仕事に集中しようしていた私は更に腹が立ちました。仕事に集中することは私のためだけじゃないし、生活のためにしていることです。その仕事を邪魔するようなことをして、どういうつもりか?私は心からイライラしていました。

しかし、仕事への集中力も阻害されて、これ以上妻のメールに返信し続けながら今日の仕事に戻るのも困難だと思いました。そして、それ以上はどう答えて良いか分からずに『帰るから』とだけ返信して、とにかく帰宅の準備に取りかかりました。

BPDの妻>嫌だ、帰ってくるな!

BPDの妻>帰ってくるな!仕事しろ!帰ってきたら死んでやる

そんなメールが繰り返し送られてきましたが、私は妻のせいで帰らなければならなくなった腹立たしさもこめて、再び『帰る』とだけ返信して家路を急ぎました。

私のそれまでの人生、それは失敗もあったし、後悔する出来事もありました。しかし、その度になんとか乗り越えてここまできました。でも妻のこの態度だけは何を言っても、何をしても全く改善の兆しはありませんでした。それどころか日に日に回数も増えて、過激さも増しているようにさえ感じていました。

そしてその度に、私はどうすることも出来ないまま無力感に苛まれて、そのストレスは毎回毎回どんどんと蓄積され私の胸を重く辛い状態に追い込んでいきました。すると、身体を動かすのがだんだんとおっくうになっていくような感じで、日常のいろいろなことに気力が無くなっていきました。何をしても『楽しむ』と言うことができなくなっていったのです。

帰宅客でごった返す通勤電車の中、普段なら流行の小説や自己啓発本に集中して自分を楽しませていた私ですが、今は学校帰りの女子高生達の楽しそうな笑い声ですら腹が立ちました。どうして俺がこんなに辛いのにあんなに楽しそうなんだ!、そんな理由でイライラするほど、私の心は混乱していたのです。

ところが一時間ほどかけて家に着くと、まだ8時だというのに明かりは全て消されていました。出かけた?…子供がいるのにそんなはずはないと思い、そっと鍵を開けて家に入ります。リビングは静まりかえり妻の姿はありません。そのままそっと廊下を抜けて寝室へ行くと、妻と子供はいつものように並んで眠っていました。寝たふりなどではない、しっかりと寝息を立てて眠っているのでした。

仕事を切り上げ、急いで帰宅した私の努力は何だったのか?それまでのイライラした気持ちは何だったのか?あのメールの後どうなったのか?いろいろな疑問がありましたが、その時はまず眠っている妻にひと安心して、深いため息が出ました。

怒りを露わに過激な言葉をぶつけられたり、それに対する私の態度を非難されたりすることがないだけでも、私の心は安心したのです。そしてこの時私は、イライラした気持ちもあったのですが、ここで妻を起こして問題を再燃させるよりも、安らかな夜を選択したくなりました。私は静かに寝室の扉を閉めると、足音を立てないように階下へ下りてシャワーを浴びました。そして缶ビールとカップラーメンで夕食を済ませると、台所に残っていた洗い物も一緒に洗いました。

そう言えばと思い出し、翌日が資源ゴミの日だったのでそれらをすぐに出せるように袋につめて、洗濯機のタイマーが翌朝すぐに干せるようにちゃんとセットされていることも確認して、最後に翌朝妻の気に障るよう物がないかどうか、台所や洗面所を十分にチェックして眠りにつきました。ところが、翌朝は強く部屋の扉を締める音で目が覚めました。

その時子供は既に泣いています。いや、今の怒りのこもった扉の音に驚いて泣いたのかもしれません。その怒りに満ちたバタン!という音は、妻が私を起こすためにわざと発したものでした。私は一瞬何が起きたのか理解出来ませんでしが、ぼんやりした目であたりが朝であることを確認すると、仕方なく起きあがりました。

昨夜あんなに頑張って妻の機嫌が良くなるようにしたのに…何もそんな起こし方をしなくてもいいじゃないか…私は昨日のイライラと怒りが再燃します。しかし、とりあえず隣で泣いている子供を抱き上げて、よしよしと落ち着かせるようにあやしながらそのままリビングに向かいました。すると妻は、それと入れ違いにリビングを出て洗濯物干しへ、私を無視するようにそそくさと立ち去ります。まるでイライラした感情を全身で表現しているかのように無言、無視で私の横を通り過ぎたのです。

俺が何かしたのか?それに何も子供にまで当たらなくてもいいじゃないか…私はそう思いましたが、それでも妻は育児で疲れているのだから仕方が無いと自分に言い聞かせて、仲直りしようととにかく優しく声をかけました。

私「おはよう」

BPDの妻「・・・」

無視して全く反応しない妻。わざと聞こえないふりをして洗濯物を干すことに集中しているようです。私は仕方なく、子供をベビーベッドに戻して、妻がイライラしながらしている洗濯物を干す作業を手伝おうとします。すると妻はいきなり怒りをぶつけるように怒鳴りました。

BPDの妻「やめて!触らないで!早く仕事行けばいいじゃん!」

私「どういうこと?」

BPDの妻「どうせ見捨てて居なくなるんだから!仕事行けば!」

私「手伝うよ」

BPDの妻「いい!」

私「どうしてそんなことを言うの?手伝うよ」

BPDの妻「いいって言ってるでしょ!」

私「・・・」

今度は私が答えられなくなりました。一体どうして私は怒りをぶつけられているのか、全く理解出来ませんでした。仕方なく私は洗濯機のそばを離れて自室に行き、会社に行くための身支度を調えます。洗濯物を干し終わった妻は、今度は忙しく子供のミルクを用意しています。そんな妻を尻目に、私は仕方なく妻とは一言も言葉を交わすことなく家を出たのでした。早足に駅まで歩き、いつもより一本遅れて通勤電車に乗ります。しかし電車に乗ってすぐに妻からメールが届きました。

BPDの妻>いつもそうやって見捨てて行くんだね

私>見捨てたりなんてしてない。手伝うって言ったよ?

BPDの妻>そんなに仕事が大切なら、結婚なんかしなければいいのに

私>仕事に行けと言ったのは自分でしょう?

BPDの妻>あっ、そう。いつもそうやって私のせいにして。全て私が悪いんだね

私>悪いなんて言ってない

BPDの妻>言ってる。私がどんなに困ってても何にもしてくれないくせに

私>手伝うと言ったのに、手伝わせてくれなかったのはそっちでしょう?

BPDの妻>それならこれから全部自分でやれば?仕事なんかやめればいい

私>何言ってるの?

全く会話がかみ合わず、イライラと腹立たしさだけがつのりました。

BPDの妻>誰も何もしてくれない、いつも一人。みんな見捨てていく。もう無理。死にます。もう帰ってくるな!

私>だから手伝うって言ったよね?どうすれば良かったの?

BPDの妻>うるさい!私のこと責めてばかり!

私>・・・

そのままメールは途絶えたのでした。こんな状態での出勤、職場に着いても私の心の中はずっと晴れませんでした。もちろん妻に対する怒りもあります。でも子供がどうしてるのか?とても気になります。しかし、まさか妻が虐待するようなことはないと信じて、なんとか仕事に集中していきました。そして昼過ぎの仕事中、私がメインスピーカーとなるとても重要な会議の直前、再び妻からメールが届きました。

BPDの妻>子供が泣いてる

(まただ。この重要な会議の前にどうして?)私は怒りがこみ上げてきました。

私>これから大切な会議でメール出来ない

私は即座にそう返信しました。

BPDの妻>わかった、やっぱり見捨てるんだ。みんな同じ。もう二度とメールなんかしない。帰ってくるな!

(ああ!全くもう、何なんだ!俺にどうしろって言うんだ!)私は返信する間もなく、会議に突入した。すると私がたくさんの人の前で話している間、再びポケットの中でぷるぷると携帯が振動しました。妻のメールの振動パターンなのですぐに分かります。

それも一通ではなく、連続して何回も何回も、怒りを表すかのように続けてメールが着信しました。しかしまさか、部長を前に仕事で発表している最中に携帯を確認することなど出来るわけがありません。仕事中の私がどのような状況なのか全く配慮しない妻のメールに心底腹が立ちました。その後も何十回と携帯が振動しましたが無視するしかありませんでした。そしてなんとか会議が終わった後、慌ててトイレに入ってこっそりとメールを確認します。すると…

BPDの妻>死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい・・・

こんな【死にたい】だけのメールが無数に届いていたのでした。そして、その後には、まるで自分が死ぬのは私がメールに応答しないせいだと言わんばかりの言葉の数々。

BPDの妻>無視無視無視無視、無理、何も出来ない。何も出来ない。もう死ぬしか無い。返事しないのは、死んでもいいんだね。見捨てるんだね。さようなら。無視するならはじめから返信しないで。仕事すれば他は何もしなくて良いから幸せだね。一生仕事してろ。もう帰ってくるな

一方的に送りつけられた無数のメールには私に対する非難の言葉が並んでいました。こちらがどんなに大切な仕事をしていたのかなど考えもしない。家族のための仕事などとは全く思わない、私はその理不尽な態度に心底腹が立ちました。

BPDの妻の言動・・・こんな感じです。

こんなエピソードは別に珍しいことではなく、わりと日常的にあることでした。こちらがどんなに助けようと手を伸ばしても、受け入れられない状態。子供が泣き止まないのは自分のせいだ、周りはみんな出来てるのに自分だけ出来ない…自分だけが落ちこぼれ…とBPDの妻は心の中で自分を非難するようです。

そして『手伝うよ』という言葉さえ『おまえは無能だから子育てなんか出来るわけない』と非難されているように感じるみたいです。著しい自己肯定感の欠如と、強烈な認知の歪み…これこそがBPDの特徴だと私は思います。

※2024.3.13更新
※この記事は別のブログ「はる書店」で公開していたものを再編集したものです。


BPDの妻の介護にはとてもお金がかかります。もし私の記事を読んで、ためになった、良かった、共感した、などありましたら、お気持ちだけで良いのでサポートよろしくお願いします。