スカートでもズボンでも 小説「パンツ・プロジェクト」

 中学生のとき、制服と校則って理不尽だなあと思っていた。自転車で通学するときにスカートは面倒だし、たとえ6限目の授業が体育でも、下校時は必ず制服に着替えること、というよく分からない決まりもあった。私はスカートなんて嫌いだったけれど、穿いて学校に通った。女の子はスカート、男の子はズボンを穿くことになっていたから。

「パンツ・プロジェクト」の主人公、リヴ・スパークスが通う学校にも制服がある。男子はズボン、女子はスカート。主人公はそんな決まりに疑問を持つ。リヴはトランスジェンダーであり、スカートではなくズボンを穿いて登校したいと強く思っていた。これは、リヴの思いと行動が変化を起こしていく力強い小説だ。

 リヴは、「男子はズボン 女子はスカート」という決まりはおかしいと抗議を始める。最初はスカートの下にズボンを穿いて。それが駄目なら校長に話をしに行く。それでも聞いてもらえなかったら……と、リヴはどんどんアクションを起こしていく。諦めずに次の方法を模索するところがリヴのすごいところだ。そして、「男子がスカートを穿いてもいいのでは」「トランスジェンダーでなくても、スカートを穿きたくないと感じている人はいるかもしれない」とリヴ自身の考えも深まっていく。

〇SOGI(性的志向と性自認)

 LGBTsという言葉は広まっているけれど、SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity 性的志向と性自認 の意)はまだあまり知られていないのでは。私は、SOGIという言葉の方が好き。LGBTsというと、「ヘテロ(異性愛者)だから私には関係ない、LGBTのことよく分からない」という言い方をよく耳にするから。私自身は、生きている限りジェンダー、セクシュアリティは誰にでも関わってくることなので、全員に関係することだと思っている。それに性自認と体の性が同じでも、性表現は違うこともあるし、ジェンダー、セクシュアリティはそんなに簡単にカテゴライズできるものではないとも思う。

 この本は、SOGIを考えるためにぴったりだと思う。文体から見ると、多分ティーン向け。10代の時にこうした本に触れられるのはいいことだと思う。それに、どのように行動し変化を起こせるかがこの本にはしっかりと書かれている。

〇アライ(Ally)であること
 
 リヴの隣の席の生徒ジェイコブはこの小説のキーパーソン。学校で初めてリヴの味方になる存在、アライ(Ally)だ。セクシュアリティでリヴをジャッジすることなく、制服規定を変えるのに共に尽力する。ジェイコブから学ぶことも大きいと思う。あとがきで書かれているように、この小説は周りの人間(特に大人)の言動の大切さやその影響の大きさにも触れている。ジェイコブのお母さんがフェミニズムを学んでいる一方で、リヴに差別的な態度を取る生徒のジェイドが親の言動を真似している、というのも示唆的だ

最後に

 私も、リヴのように何か行動を起こせばよかったなと今更ながら思った。校則には理不尽な点が色々あったけれど、どこかで変わらないと後にその学校に入る子も苦しむことになる。そんなことに今やっと気が付いた。



作品情報

「パンツ・プロジェクト」
作:キャット・クラーク 訳:三辺律子 あすなろ書房

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Haruka

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